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桜ゼミナール 2月 講師:中野 剛志氏 『TPP亡国論』

日 時:平成23年2月27日(日)午後2時~
講 師:中野 剛志 氏 (経済産業省、京都大学助教)

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桜ゼミナール 3月 講師:東谷 暁氏 『ちょっと待てTPP』~日本人の心と生き方を考える~

日 時:平成23年3月6日(日)午後2時~
講 師:東谷 暁 氏 (ジャーナリスト)

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『三橋貴明のTPP亡国論 -暴走する「尊農開国」』
 
第一回 『「平成の開国」意味分かって言っている? TPPとは「過激な日米FTA」にほかならない」』 掲載中!


 先日、藤井聡氏や中野剛志氏などと飲んだ際に、藤井先生が、
「利他主義者(正直者)が生き残り、利己主義者が排除されるためには、国家間の競争が必要だ。競争がなければ、利己主義者だけが生き残る。究極的なグローバリズムは、国家間の競争が消えるため、利他主義者が排除される可能性があり、極めて(世界にとって)危険だ
 というお話をされていました。


 そのとき、わたくしの頭の中に思い浮かんだ国は、もちろん中華人民共和国でございます。とはいえ、それはわたくしがユーラシア大陸の東に浮かぶ日本列島に住んでいるためで、他の国の方々であれば「別の国」を思い浮かべることでしょう。(韓国人は「日本こそ利己主義だ!」とか言うのでしょうが)


 というわけで、本テーマに関して藤井聡先生に論文をご投稿頂きました。(何と贅沢なブログでしょう)


◆◆◆ご投稿「「TPP」で世界は亡ぶ(京都大学教授 藤井聡)」◆◆◆


 我が国にはどういう訳か、「自由貿易は善」であり、その自由貿易の対立概念である「保護貿易は悪」であると、頑なに信じて疑わない人が多い。こういう人々は、例えばTPPへの加入がどれだけ我が国の国益を損ねることを明示しても、どこかで「本来は、TPPへ加入すべきなのだ」という信念を捨てきれないようである。その背景には、「自由貿易は全体の利益に繋がる一方で、保護貿易は一国の利益に資するものにしか過ぎない、したがって、保護貿易は“不道徳”だが、自由貿易は“道徳的”だ」という思いこみがあるようだ。つまり関税が存在することそのものが彼らにとって「悪」なのであり、その完全撤廃をもたらすTPPは「善」なのである。


 しかし、「過激」な自由貿易は、究極的には日本を含めた様々な国々を「亡ぼす」。それは次の理由による。


1)それぞれの国々のローカルな諸産業・諸企業は、それぞれの国々の雇用を守ると同時に、ローカルな文化、伝統、慣習を保存させる機能を持っている、
2)一方で、過度な自由貿易の導入は、それぞれの国々のローカルな諸産業・諸企業を、グローバルな諸企業との競争に晒す事を通して、衰退させ、最終的に壊滅させる、
3)それ故、「過激」な自由貿易は、各国の伝統、文化、慣習を破壊し、そして、最終的には雇用を喪失させることを通して、その国を根底から熔解させ、究極的には「亡ぼす」。


 自由貿易がこうした「亡国」のリスクすらもたらすものである以上、それを「善」と呼ぶこと自体、不道徳であると言えそうだ。

 しかし、自由貿易の「不道徳性」は、こうした「亡国」のリスクを各国にもたらすからだけなのではない。過激な自由貿易は「亡国」どころか「世界を亡ぼす」リスクを高めてしまうのだ。

 その理由は、「進化論」、とりわけ集団と個体のそれぞれでの2つのレベルでの淘汰過程を想定する「階層淘汰論」と呼ばれるものから演繹される(※)。少々複雑な論証となるが(一つ一つの論理展開は単純なものであるので)、以下にその概要を説明することとしよう。


1)我々の社会には、自分勝手な「利己主義」と、他人を思いやる協力的な「利他主義」の二種類がある。企業で言えば、金儲けの事ばかりを考え、時に顧客を裏切るような「裏切り者」の企業が「利己主義」で、金儲け主義に走らずに顧客や労働者の幸福を願う気持ちを忘れない「正直者」の企業が「利他主義」だ。
2)利他主義と利己主義が直接競争をすると、究極的には「利己主義」が勝利し、「利他主義者」が「淘汰」される(つまり、「正直者はバカを見る」)。したがって、彼らが閉じた国の中にいるなら、利他主義者は「淘汰」され、最終的にその国は「利己主義者ばかりの国」となる。
3)しかし、「国々の競争」があれば、状況は一変する。なぜなら、「利己主義者が優越する国」(裏切り者の国)では人々は協力せず、奪い合い、多くの富を生み出すことに失敗し「貧しく」なっていく一方で、「利他主義者が優越する国」(正直者の国)は、人々が協力し合い、多くの富を生み出し「豊か」になっていく。だから、「国々の競争」があれば、長い時間の果てに「裏切り者の国」は「正直者の国」に敗れ、「淘汰」されていく。
4)つまり、「個体同士の競争」では「正直者」が淘汰され、「集団同士の競争」では「裏切り者」が淘汰される。だから、世の中に「正直者」と「裏切り者」が共存しているのは、「個体同士の戦い」と「集団同士の戦い」の双方が同時に存在しているからなのである。
5)ところが、過激な自由貿易の推進、グローバリゼーションの徹底は、「国境」を熔解させ、この世界から「国々の競争」を消滅させ、「個体同士の競争」(たとえば企業間の競争)を激化させていく。
6)これはつまり、この世界に「正直もの」が生き残る重要な契機が一つ失われてしまう事を意味している。その結果、過激な自由貿易の推進=グローバリゼーションによって、世界が「利己主義者」に支配されることを加速する。つまり、グローバリゼーションによる国境の熔解によって、「裏切り者=利己主義者の暴走」に歯止めがきかなくなるのである。こうして、この世から「正直者」が姿を消し、世界は「裏切り者=利己主義者」で埋め尽くされていくこととなる。
7)その結果、世界中で裏切り合いや奪い合いが横行し、世界全体が「貧しく」なり、世界中の人々の幸福水準が大幅に低下してしまう。


 この様に、人々が協力し合い、人々が安心して豊かに暮らすためにどうしても求められている利他主義や正直者、ひいては思いやりや道徳といったものは、「個体間競争」と「集団間競争」の間の「適切なバランス」があって初めて、この世から全て蒸発することなく存続していくことが可能となるのである。


 そして21世紀の現在、そうしたバランスを保つためには「国境」は不可欠なのだ。


 国境が無くなれば、国家という次元の「集団間競争」がこの世から消滅する。そうなれば、個体間競争だけになり「正直者の企業」がこの世に生き残ることができなくなる。結果、グローバル企業だけが生き残り、世界中の人々が不幸な暮らしを強いられるようになる。

 例えば世界各国の労働分配率(売り上げに占める賃金の割合)は、グローバリゼーションが進行するに伴って、低下し続けている(例えば、中国や韓国は、その具体例だ。そして、TPPに我が国が加入すれば、我が国の国民も早晩、そうした憂き目に遭うであろうことは間違いない)。これは、労働者達の豊かな暮らしにも配慮する「正直者企業」が、グローバリゼーションの進行によって、企業利益のみを追求する裏切り者企業に敗北し、「淘汰」されていく現実を意味しているのだ。


 つまり、国境をなくす程の「過激」な自由貿易の推進は、一つ一つの国々を亡ぼすだけでない。この世界において、あらゆる次元の「正直者」を駆逐し、「裏切り者」をはびこらせることとなる。そして究極的には、TPPに象徴される過剰な自由貿易は、世界中の人々を不幸の淵に突き落とし、世界そのものを亡ぼす危険性を秘めているのである。


 これこそ、自由貿易に潜む「不道徳さ」の本質なのだ。


 だからこそ、「自由貿易はとにかく善きことなのだ」などという陳腐で軽薄な思いこみや、「平成の開国」などという、空々しい勇ましさなるものは、「不道徳の極み」と唾棄すべきものと見定めねばならないのである。そして、日本の存続のみならず、この世界の存続そのもののためにも、我々は「個体間競争と集団間競争の間の適切なバランス」、ひいては「適度な自由貿易と保護貿易のバランス」を考え続けなければならないのである。

※ (この理論の詳細は『なぜ正直者は得をするのか』(幻冬舎)を参照されたい)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆投稿終わり◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「個体同士の競争」では利己主義者が勝利するが、「集団同士の競争」では利他主義者が勝利するというわけです。中国のことわざに、「中国人1人では龍であるが、3人集まると虫になる。日本人1人では虫であるが、3人 集まると龍になる」というものがありますが、利他主義者ばかり(要はお人よし)の日本人が、一対一で中国人と争ったら、そりゃあ勝てないでしょう。ところが、集団同士の争いになると、状況は変わってくるわけです。


 集団同士の競争を実現するには、ある程度は「国境」というものが意識されなければなりません。ところが、新自由主義やグローバリズムは、国境を取り払う(ボーダレスワールドとか呼んだ日本人がいますが)ことで、トリクルダウン理論を実践しようとしたように思えます。結果、アメリカなどで所得増加分の過半を人口の0.1%が獲得してしまうという、凄まじい格差環境が生まれました。


 先日のエントリー「底辺への競争  」では、ジョン・グレイ氏やアラン・トネルソン氏の言葉を紹介しました。また、以前の「 ただ、日本が繁栄さえすれば  」では、フランスのルモンド紙の論説(保護主義というタブー)をご紹介いたしました。


 世界の各先進国では、すでにグローバリズムや自由貿易主義への見直しが始まっています。何しろ、覇権国家アメリカが「雇用! 雇用!」と引きこもり状態に入りつつある以上、当たり前です。

 そして、「今回のグローバリズム」が終了し、ある程度「国境」「国家」が「回復」した世界においては、ほとんどの産業が過当競争状態で残り、政府の資金調達(国債発行)を自国で賄い、国民の文化や言語の統一性が極端に高い日本は、滅茶苦茶有利な立場だなあと思うわけです。


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