ユーロ圏失業率10.3% 10月、過去最悪を更新
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)統計局が30日発表した10月のユーロ圏17カ国の失業率(季節調整値)は10.3%と前月比で0.1ポイント上昇し、1999年の単一通貨ユーロ導入後の最悪水準を更新した。債務危機が実体経済に波及。収益悪化に直面した企業の人員削減が相次ぎ、雇用悪化に歯止めがかからない状況だ。
EU27カ国の失業率は9.8%と前月比で0.1ポイント上昇した。さかのぼって比較できる2000年以降の最悪水準だ。
ユーロ圏の失業率は08年のリーマン・ショック後に急上昇し、10年前半に10.2%をつけた。リーマン後は各国が財政出動を伴う雇用対策を打ち出し、雇用維持を支援した。現在は各国の財政が厳しく、失業率が上昇しやすくなっている。
国別にみると、スペインが22.8%と過去最悪水準を更新。ポルトガルが12.9%、イタリアが8.5%と南欧諸国はいずれも上昇した。ドイツは5.5%と前月比で0.2ポイント低下。フランスは9.8%と前月と同水準だった。
短時間勤務で仕事を分かち合う「ワークシェアリング」で低失業率を誇ってきたオランダが、前月比0.3ポイント上昇の4.8%。失業率が最も低いオーストリアも4.1%と、前月比で0.2ポイント上昇した。南欧から経済競争力のある北部欧州へと雇用悪化が波及しつつある。
雇用悪化が直撃しているのは25歳未満の若年層だ。10月はユーロ圏で21.4%、EU27カ国で22.0%。スペインでは48.9%とほぼ2人に1人が失業している計算だ。米国と比べて労働市場が硬直的な欧州では中高年の従業員の解雇が難しく、若年層にしわ寄せがいきがちだ。