Thursday, August 4, 2011

関西広域連合、福島・宮城・岩手のがれきを大阪湾に埋め立て受け入れを検討

え、何だって?

8月3日放送の「たね蒔きジャーナル」での京都大学小出裕章さんの発言(書き起こしをこのブログからいただきました)に、

でもこうした汚染された瓦礫が日本中で処理される、焼却されたり埋め立てられたりしていくという事はある意味放射性物質を日本中にばらまいてしまう状況にはさせませんか?

-- そういう事になるわけですね。ただもう福島の原子力発電所の事故が起きてしまって、大量の瓦礫がもうすでに生じてしまっているし、瓦礫だけではなくて大地自身が既に汚されてしまっているわけです。私はよくこれまでも聞いていただきましたけど、世界は変わっているのですもう。日本のこれまでの法律なんて全くもう適用する事すらができないという、そういう状態に今私達は生きています。放射能が日常的にどんどん生活環境に出回ってくるという事は避けられないと私は思います。

リスナーの方からご質問が来ておりまして、「関西広域連合で兵庫県が被災地の瓦礫を神戸港に埋め立てるという話を聞いたんですが、私は神戸港で働いていますが汚れないんでしょうか。心配です」と、これは詳しくどういう事かと言いますと、兵庫県の知事さんがこういう事を仰っていまして、兵庫県の知事さんは関西広域連合で広域連合長も務めていらっしゃいます。それで被災地の瓦礫の処理について、一定の条件の下、受け入れるという話を今提案しているんですね。それで近畿の廃棄物で大阪湾の沖合いを埋め立てる計画がありまして、この枠組みで受け入れましょうという提案です。それで受け入れるのは木屑などチップにした物、或いは既に焼却された後の灰です。この灰の基準は放射性物質が1キログラム当たり8000ベクレル以下の灰だったら受け入れましょう。この灰は泉大津市の沖、神戸の沖に埋め立てるという相提案が出ております。これについてリスナーの方は心配していらっしゃるんですが、小出先生はどう思います?

-- 私も心配です。ただしこれまで原子力をずっと日本という国は利用してきてしまって、高レベル或いは低レベルというゴミを大量に作ってきてしまったんですね。例えば低レベルと呼ばれているゴミ。比較的汚染度の低いゴミは青森県の六ヶ所村に押し付けてきたのです。それで東京の人も大阪の人もそれに目をつぶってこれまで過ごしてきたわけですけれども、今、福島の原子力発電所の事故を受けて大量の放射性物質がもう既にそこいらじゅうの環境のばら撒かれてしまっているわけで、それを一体どうするかという本当に困った問題、本当にどうして良いかわからない程の問題を今私達は突きつけられています。それで私はこれまでに言ってきた事に従っていうなら、そういう汚染したゴミは東京、或いは大阪、或いは神戸でもいいですけれども、大都市に住んでいる私達こそ今責任を取らなければいけないと思います。

つまり、『いままで目をつぶって知らんふりをしてきた、あるいは知ろうとしなかった都会人が悪い、だから日本中に放射能汚染ごみがばら撒かれても、今までの無責任の罰として甘受しなくてはいけない。』

これは納得がいきません。せっかく深刻な汚染は免れた関西をわざわざ放射能で汚して、それのどこが今までの「知らんふり」に対する「償い」になるんでしょうか?

日本全国で被曝すれば、どういうわけかそれが償いになるんでしょうか?誰に対する償いでしょうか?東京、大阪、京都、神戸の人々が被曝すれば、福島の人は溜飲が下がるんですか?

今でこそ焼却灰の埋め立て基準は8000ベクレル・キロ以下ですが、環境省は既にこの値を10万ベクレル・キロへの引き上げを検討中で、それでさえ、もし焼却灰がその超ゆるい基準を超えても、他の低濃度の灰と混ぜる、あるいは高濃度の放射性ごみを低濃度のごみと混ぜて燃やして、基準以下になればOK、とする予定なのです。

関西広域連合(なんだかやくざのなわばりみたいですね、失礼)のウェブサイトにはこの件に関する報道資料は見当たりません。それで、ニュースを探すと、日経新聞の記事がありました(日経新聞からは既に記事は消えているので、このブログから取りました)。7月22日頃の記事のようです:

近畿などの7府県で構成する関西広域連合は19日、大阪湾で造成中の埋め立て地に、東日本大震災で発生したがれきの一部を受け入れる案をまとめた。広域連合が復興支援を進める岩手、宮城、福島の3県に近く提案する。3県で発生したがれきは2200万トンで、100万トンまで受け入れられるとしている。

案は広域連合で防災を担当している兵庫県が中心となってまとめた。がれきのうち、大まかな分別が終わったものを不燃物と可燃物に分ける。このうち可燃物は東北から船や鉄道で運んで、関西のごみ焼却施設で埋め立てることや、被災地の焼却炉で処分した灰を関西に持ち込むことを想定している。

近畿の府県などで運営する大阪湾広域臨海環境整備センターが神戸市沖などで建設を進める埋め立て地を活用する。実際にがれきを受け入れる場合、関係する府県や市町村との調整が必要だとしている。

原発、あるいは廃棄物処理を受け入れることと引き換えに、自治体は多額の交付金を受け取ってきました。南相馬市長が交付金の辞退を申し入れましたが、原発建設予定地、というだけで受け取れる交付金というものがある、ということのほうが驚きでした。

わざわざ汚染を自分の県、あるいは関西広域に引き受けることで、金銭的なメリットが自治体にあるのでしょうか?汚染を住民に我慢させる代償はあるのでしょうか?

原子力安全委員会の斑目春樹氏は東大教授だった2005年に、放射性廃棄物処理場の設置について、「結局、お金でしょ」と笑っておられましたが、さて、福島原発事故の後でも「結局、お金」なのでしょうか。

2 comments:

  1. スミマセン。今回は匿名で。。。

    この小出氏、原子力村八分の人間の振る舞い。

    なぜ、汚染していないところまで、汚染させるのか。
    正当な理由が全くない。

    死なばもろとも

    日本がなくなる・・・なぜ、海にしずめる。
    福島の広大な大地があるではないか。

    なぜ、それをいわないのか。

    やはり、似非学者なのか。

    もう60年近く生きたから、自分はいいのだろう。しかし、子ども、子孫に対する責任はどう取るのだ。

    やはり、きみも無責任の集団である原子力村の一員に過ぎないのだな。

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  2. 7月26日に、神戸沖に埋め立てると言っている「大栄環境(株)神戸市東灘区」に問い合わせメールを出したのですが、いまだに無しのつぶてです。電話もつながらないです。引き続き、関西広域連合の自治体へ問い合わせと抗議を続けていきます。

    小出氏は、食に関しても同様の意見を『週刊金曜日2011/6/10』に寄せておられますが、私はこれに関しても賛成できません。
    「どんなに放射能で汚染されていても、福島の農業と漁業を支えるために、大人が引き受ける」
    これは福島のためでなく、東電のためになるのではありませんか?

    1億近い年収の東電幹部は、汚染食品なんか食べないでしょう。
    小出氏のような自覚的な人以外、買いたたかれた安い汚染食品を食べるのは、お金のない人です。原発問題は貧富の差の問題です。

    小出氏は、反原発を40年戦い続けた立派な信念の方ですが、氏の論理は、「運動会でみんなで手をつないでゴールイン」し「通知表に成績を書かない」日本の教育と同じです。

    原因を追究し、因果関係を明らかにすることが、さらなる原発事故を無くすことにつながると思います。

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