トランプ政権

日本人研究者も米入国禁止に… 過去にシリア滞在、国連からの「招待状」考慮せず

 テロリストの入国阻止などを理由に米トランプ政権が入国禁止政策を進める中、国連関連の教育分野ハイレベル会合に招待されていた日本の研究者が、シリアへの渡航歴を理由に事前の電子渡航認証(ESTA)申請を却下されていたことが27日、分かった。

 事実上入国を拒否されたのは広島大教育開発国際協力研究センターの吉田和浩センター長(教授)。吉田氏は長年、世界各地で教育現場の現状を調査し、問題点の改善に尽力してきた。

 日本国民は短期渡米の場合、査証(ビザ)が免除されているが、2009年以降、ESTAの承認が条件となった。さらに15年には11年3月1日以降にイラク、イラン、スーダン、シリア、リビア、ソマリア、イエメンに渡航歴がある場合、ビザ免除プログラムを利用できなくなった。

 吉田氏は今回、国連総会議長から28日に行われる会合の「招待状」が届いていた。しかし11年5月に約2週間、調査のためシリアに滞在していたため、「判定がつかない」との言い回しで、承認を拒否された。「国連総会議長の招待状も考慮しない」と告げられたという。

 これまで同様のケースでは入国できていたといい、米側が規定を厳格に適用し始めたことがうかがえる。吉田氏は「腑(ふ)に落ちないし、こういう判断がずっと続くとさまざまな支障が出てくるかもしれない」と危惧。今後、被害者が続発することが懸念されている。

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