東京の地下鉄千代田線・根津駅の構内で10月22日午後9時30分ごろ、酒に酔った60代の男性が、誤って線路に転落した。その際、すぐさま非常ベルを押し、線路に降りて救助を行った後、名乗らずに立ち去った若い男性が、東京大学博士課程に留学中の韓国人、イ・ジュンさん(32)だったことが明らかになった。

 救助から3日後の25日、再び根津駅を利用したイさんは、構内に張られた今回の転落事故のビラを見たが、来日から3週間ほどしかたっておらず、日本語で書かれた詳細が分からなかった。しかし、そのビラは構内に多数貼られており、線路に落ちた人を救った時刻などが書かれていた部分は読み取れた。気になったイさんは、携帯電話のカメラでビラを撮影し、大学で友人に尋ねたところ、警察や地下鉄がイさんを探しているという事実を知ることになったという。

 韓国のメディアも、この救助活動について相次いで報じている。イさんは、今回の事故に対し、「道で転んだ子どもがいたら、誰でも起こしてあげるだろう。そのようにごく当然のことをしただけ」と語っている。

 2001年1月、東京・山手線の新大久保駅で韓国人留学生の李秀賢(イ・スヒョン)さんと日本人でカメラマンの関根史郎さんが、ホームから転落した男性を救助するため線路に飛び降りたところ、進入した列車にはねられ、3人とも死亡するという痛ましい事故があった。

 韓国メディアは9年前に日本で発生した事故を連想させる出来事がまた起こったが、今回は幸いにも救助者や救助された人など全員が無事だった。この美談に日本中が感動に包まれたと伝えている。

 イさんは、偶然にも大学で交通工学を専攻しており、日本政府招請の国費留学生として選抜された優秀な学生だという。東京の地下鉄と消防署から、来週にも感謝状を受ける予定。(編集担当:李信恵・山口幸治)



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