サブタイトル:第9話 [家庭教師VSニンフェット!頭令兄妹誕生の秘密です!!]
- 1991年6月3日、長崎県、海岸。
雲仙普賢岳が噴煙を上げ、溶岩ドームを日ごと膨れさせているのを対岸に臨む、町があった。
読売巨人軍の野球帽を被った少年はただ一人、小学校の放課後、海沿いの防波堤の上にいた。小脇に教科書を抱え、黒いランドセルを腹側に抱えていた。ランドセルには、乳児が一人入っている。乳児のために、教科書を手に持っている。
その時であった。
海上を低く覆う雲の上に光が走った。火山ではない。もっと上。
光と少年の目が合った。
少年はランドセルを光とは逆の方へ放り投げようとした。が、その手を離す間もなく、雲を割いた光は少年を貫いた。
光が爆ぜた。
少年の体はクォークよりも細かく粉砕され、衝撃はランドセルの中の赤子も飲み込み、同じく分解した。
光それ自体も震え、慄き、飛び退き、少年のまとっていた物以外には何事も起こさず、海中へ消えた。
が、宇宙の果てから飛来したその光と、消えた命の鳴動は雲仙普賢岳の溶岩ドーム崩壊の引き金となり、大規模火砕流は数十人の人間を焼き殺した。それは大きく報道されたようだが、瞬きほどの間に海中に没した光と少年を知った地球人はいない。
これが、後に頭令兄妹となる9歳と0歳の地球人と、黒色遊星周辺諸国連邦の宇宙人のファースト・コンタクトであった。
Jack IN
ぼくの住んでいる町はいつもまっくらです。町の建物は全部灰色です。石でできています。
ぼくは家のうらに歩いて行きました。せまくて暗い道の横に、檻がたくさんつんであって、その中の犬がほえました。
いきどまりのかべに、灰色の顔と手首だけをかべの木のあなから出した人がいました。
ぼくはその人にごはんをあげました。ほんとうはいけないことです。なぜなら灰色の顔の人はゾンビなので死刑になるのを待っている人だからです。
その人はぼくに「おぼっちゃん、ありがとうございます」といいました。
おおきい男の人がぼくの後ろにいました。
男の人はぼくに「えさをやっているのはおまえだったのか。おまえも死刑だ」と言いました。
男の人は檻を開けました。黒い犬がたくさんぼくにかみつきました。ぼくは動けなくなりました。とてもいたかったです。
灰色の人は男の人に「おぼっちゃんはわるくありません。わたしのよごれをうつしていません」といいました。
男の人は大きなおので、灰色の人の首を切り落としました。
男の人は大きなおので、ぼくの頭をわりました。ぼくは死にました。
Jack OUT
そして、頭令倶雫の夢と頭令そらの魂のファースト・コンタクトでもあった。
後書き:この夢はid:nuryougudaが実際に当時体験した物である。