edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞の早期退職制度に68人応募 退職金は1億近くのケースも

 朝日新聞社が募集した9月30日付の希望退職に、68人もの社員が殺到した。会社側の想定よりも応募者が多く、幹部が大量に抜ける事態となった。退職後、本来の定年である60歳まで勤務した場合に得られるであろう収入の半分を退職金に上積みするという、異例の厚遇のためだ。
 例えば、現在50歳で年収1500万円の人は、その10年分の1億5千万円を2で割った7500万円が50歳時点での通常退職金(約2千万円)に加算されるため、支給額9500万円という浮世離れの大盤振る舞いだ。(中略)
 今回、応募した社員の内訳は、30人が編集部門、残り38人が販売・広告など。会社としては、この先、電子新聞へのシフトなど、新聞の発行形態がどう変わろうと、取材・編集という作業は必要となるため、編集部門は極力温存したかったようだが、あにはからんや、編集部門が最多の早期退職者を出す格好となった。(中略)なかには大阪の編集局のナンバー2といった幹部も含まれており、朝日社内を覆う悲観の深刻さを物語っている。(中略)
 会社は秋以降、「転進支援制度」の第2次募集をかけ、来年3月末にも30人程度、今回と合わせて100人規模の削減を目指している(以下略)。
 (FACTA 2010年9月 「浮世離れ」朝日新聞の早期退職に社員殺到)

 先日メモした朝日新聞の早期退職制度の第1陣の応募人数について、FACTA9月号が内情を報じている。それによると、会社の想定を超えた応募があり、特に編集部門の応募が多く、人事に穴が開くほどの事態になっているとのこと。幹部クラスも多く抜けているとのことで、大阪本社の編集局ナンバー2(編集局次長の中の1人ということだろう)まで含まれているそうだ。
 それにしても、退職金はてっきり「年収の半分×60歳までの年数」と思っていたら、そこに通常の退職金まで支給されるとは恐れ入った。さすが流動資産を1000億持つだけあり、一時的な支出は甘受しても、なんとかして人員を減らしたい意志が伝わってくる。ただ、FACTAの記事にもあるように、読者にとっては「そんなに余裕があるのなら、購読料を値下げしてくれ」としか思えないだろう。穿った見方をすれば、こういう金額を貰うのを当然の権利と思っている人たちが、これまで朝日新聞の編集方針を支えてきたんだなあとも受け取れる。
 これまでメモしてきた朝日新聞の動きをまとめると、今後朝日がどういう方針で経営していくつもりなのかがはっきりと浮かび上がってくる。

人員削減

中高年社員を異例とも言える厚遇で減らす

都市圏に機能を集中

地方支局を統合、名古屋と福岡の2本社の機能縮小、委託印刷や共同輸送によるインフラコスト削減

地上戦からへ空中戦へ

販売店ベースの勧誘営業から、GLOBEやドラえもんなどのイメージ戦略・教育分野への進出

新聞社から総合情報産業のプレーヤーに

テレビ局との業務統合、KDDI・テレ朝への速報ニュース配信、デジタル分野への進出
一見して非常にスマートな経営戦略のように見える。これに「地方新聞社の買収」が加われば、欧米のマスメディア企業が10年以上すでに実現してしまった、タイムワーナーやニューズコーポレーションなどに代表される「メディア・コングロマリット」そのもののようにも感じたり。