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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「ホウレンソウの期待値」を刷りあわせるという方法もあり。

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新入社員が最も叱られる(と言うか、注意される)ことの一つに「ホウレンソウがなってない!」というのがあります。

●タイミングが悪い(遅すぎる、早すぎる、まめすぎる、まめじゃなさすぎるなど)
●方法が違う(メールで言うな、口頭で言うな、電話で言うななど)
●相手が違う(私じゃなくて●●課長あてにすべきでしょ、なんで俺に知らせてくれないんだ、など)
●内容がダメ(そういうことを知りたいのではなくて・・など)

ま、要するに、「5W1H」のあらゆる部分で違う、いかん!と言われているわけです。

新入社員に聞いてみると、「自分ではホウレンソウしているつもりなんだけど、しょっちゅう注意されます」というケースも多い(もちろん、本当にホウレンソウしない人もいます)。

あまりに注意されすぎて、とうとう、
「トイレ、行ってきます!5分で戻ります!」
「トイレから戻りました。5分過ぎてスミマセン」
なんて報告までするようになったりして(実話です)。

「トイレなんか勝手に行ってこーい」
「じゃ、どういうことをどのレベルでどんな風にホウレンソウすれば・・・」(涙目)という展開もあります。

一口に「ホウレンソウしろ!」というけれど、実は、上司や先輩の「ホウレンソウの期待値」は人それぞれなんですよね。

「細かく知りたい」人もいれば「おおざっぱに状況だけわかればよい」人もいる。上司や先輩の癖というかタイプにかなり影響されるのがホンレンソウです。

もちろん、相手が新人か、あるいはベテランかによっても、その期待値は変化します。

だから、「ホウレンソウがなっとらん!」「じゃ、どうすれば・・・いいんですか・・・(涙目)」というやり取りを何度もするよりも、まずは、「ホウレンソウの期待値」をきちんと刷りあわせることが必要なんじゃないかと思います。

たとえば、上司から、「私は、こーゆう”ホウレンソウ”が好きだから、そういう風にやってね」と言う。

上司が言わないなら、部下が「どのような”ホウレンソウ”がお好みですか?」と尋ねる。

その意識合わせがあれば、「ホウレンソウがなっとらん!」ということで揉めることもやきもきすることもだいぶ減るのではないかと思うのです。

実は、これ、新入社員に限った話ではなくて、ベテランでもそうなんですよね。

私は最近、異動を体験し、新ボスにつきました。これまでのボスと「ホウレンソウ」の期待値が全く違う・・・。違うらしいことに気付くのに数週間かかりましたが、完全に違うとわかりました。
これまでのボスに対するものと同じようなホウレンソウをしていたら、なにか違うのですね。(いい、悪いじゃなくて、とにかく、「違う」)

新ミッションは、明日7/1から本格稼働で、今日夕方キックオフを予定しています。

どういう”ホウレンソウ”がお好みか、ちゃんと聴いて、自分のスタンスも決めようと思っています。

ところで、10年ほど前の話ですが、当時、部下が一人いたことがありまして、彼女は、大ボスに「ホウレンソウのことで叱られた」と、小ボスの私に泣きついてきたことがありました。

「ホウレンソウってなんですか?ポパイが食べるものならわかるけれど、意味が分からなくて」と真顔で言ってました。

転職組の彼女は前の職場でも”ホウレンソウ”(という言葉)を習うことなく、当社にキャリア採用され、ここでも当然ながら”ホウレンソウ”とは、という基本は誰も教えることなく数年。

大ボスに叱られて、「ポパイならわかるけど」と思ったそうです。

「ホンレンソウ」=「ポパイ」という連想自体が、すでに「昭和のかほり」ですけれども(笑)。

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