サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

サイボウズは2月14日、第16期(2012年12月期)の決算・事業説明会を開催した。この中で、代表取締役社長 青野慶久氏は、今後もグループウェアに注力し、特にクラウドサービス「Cybozu.com」の事業拡大を最優先する意向を示した。

サイボウズでは、16期から決算期を1月31日から12月31日に変更しており、今回発表された業績は2012年1月~12月の11カ月分となっている。

青野氏は決算期変更の理由を、グループ内で決算期を統一することによる一体経営の推進と、今後の海外展開をにらみ、連結会社の決算を統一し国際財務報告基準(IFRS)に対応するためだと説明した。

16期の同社の売上高は、41億4,000万円で、前期比で8,500万円の減収だが、2-12月の11カ月で比較すると、前期比5.8%増となっている。一方、営業利益率は前期の15.8%から12%へ低下。その理由を青野氏は、クラウドへの投資が増えている点と開発人員を増強している点を挙げた。

16期決算のダイジェスト

ただ、投資は今期もクラウド関連のサービスや広告宣伝を中心に積極的に行う予定で、青野氏は、今期は創業以来最低の利益率になるとの見通しを示した。

17期の業績予想

そして、「クラウド事業をいち早く立ち上げていくことが必要だ。我々はクラウドを片手間ではなく、背水の陣でやっている。インフラ基盤も自社開発しているのがサイボウズの強みだ。クラウド事業は、現在、単体では赤字だが、開発力に自信があるので早期の黒字化を目指したい」と述べた。

同社の有料クラウド契約社数はすでに3,000社を突破し、前期のクラウドサービスの売り上げは約2.6億円だという。青野氏によれば、このままいけば、1~2年で黒字化できる見通しだという。

青野氏は、同社のビジョンを「チームワークを向上させるグレープウェアメーカーを目指し、売上げや利益よりも利用者数にこだわり、世界中で使われるようなソフトウェアを作りたい。それが、我々の思いだ」と説明した。

今期の戦略は、これまでと大きな変更はなく、グループウェア事業に注力して、クラウドサービス「Cybozu.com」の事業拡大を最優先するという。ただ、パッケージ製品も並行で重視し、クラウドへの移行を推進していく。

製品別では、サイボウズOfficeやGaroonはノーツからのマイグレーションを促進するほか、提携関係にあるマイクロソフトのSharePointユーザーの取り込み、Garoonのパワーアップキッドを提供し、大企業における乗り換えを推進していく。中小企業に関しては、開発力を活かして他社製品との機能差を拡大、スマホアプリやリモートサービスなども提供し、シェアで他社との差を拡大したいとした。

サイボウズOfficeやGaroonの戦略

サイボウズOfficeでは年4回の改善とともにメジャーバージョンアップを予定。Garoonでは、クラウド版で2回、パッケージ版で1回の大規模バージョンアップを予定しているという。

PaaSサービスのKintoneでは、これまでの販売パートナーに加え、アドオン機能を提供するアライアンスパートナーとの協業も拡大。また、海外展開も推進し、年内に米国、中国で販売体制を整えるという。

青野氏によれば、Kintoneは次の時代の主力製品に育てていく予定で、そのため、今年も機能追加を積極的に行い、ソーシャル対策として、Kintone People機能とKintone Space機能を来月提供する。また、ビッグデータ対応として、扱えるレコード件数を10万件レベルから100万件レベルに拡張するほか、分析機能としてグラフ化機能も追加していく予定だという。なお、Kintoneでは、3回のバージョンアップを予定しているという。

「Kintone People」は、ツイッターのようなつぶやき機能

「Kintone Space」はプロジェクト単位で情報共有を図る機能