名匠スコセッシが提示した、「日本よ、これが映画だ。」な映画。 | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio

名匠スコセッシが提示した、「日本よ、これが映画だ。」な映画。

まず、この映画はアメリカ映画であることを踏まえて語ろう。
日曜日、ワタクシはマーティン・スコセッシ監督の最新作「沈黙-サイレンス-」を鑑賞。
自らクリスチャンである遠藤周作(1923-1996)の代表作を、
キリスト教団体から抗議が来た「最後の誘惑」が公開された1988年に、
スコセッシ監督が翻訳版で出会い、長年温めてきた企画を実現。
「沈黙」の映画化は、1971年に篠田正浩監督が手掛けて以来2度目ですが、
そこはスコセッシ監督、チャレンジ精神に溢れ、
切支丹弾圧が激しくなってきた江戸時代初期の日本を再現し、
これでもかといわんばかりに、日本の負の歴史を炙りだしていて、
2時間40分を感じさせなかったわ。
日本側キャストの多さに、これアメリカ映画?って思った位やわ。

島原の乱が収束した後の日本。
イエズス会の神学者であるフェレイラ師が、
布教に来ていた日本で弾圧に屈し棄教(キリスト教を捨てる)した知らせがローマに届き、
フェレイラ師の弟子であるロドリゴとカルペはマカオを訪れ、
漂流の目にあったキチジローの手引きにより、日本の長崎に密入国することに成功。
現地の隠れキリシタンたちから多大な歓迎を受けたが、長崎奉行所からマークされ、
キチジローの裏切りにより、ロドリゴは捕えられた。
この後、ロドリゴは隠れキリシタンへの残酷な折檻や、フェレイラ師の真実を目撃することになり、
究極の選択を迫られることに。

どちらかと言えば、遠藤周作が伝えたかったことを、スコセッシ監督なりに解釈していたことに驚き、
残酷な拷問シーンや処刑シーンで度肝を抜かれ、
宗教論より、真の真理を説くことを、ロドリゴ・プエリトのカメラワーク&BGMほぼ無しで代弁し、
正直、「タクシードライバー」や「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のような娯楽性はないが、
今の日本映画が失ってたものが「沈黙-サイレンス-」の中にあったといっても過言ではないでしょう。
これぞ「日本よ、これが映画だ。」な映画やわ。

ロドリゴを演じたアンドリュー・ガーフィールドは、
主演を務めた「アメイジング・スパイダーマン」の時より、真摯に役に向き合い、
日本での布教の難しさを体現していて、強烈な印象を残しました。
日本側のキャストも、窪塚洋介がキリストを裏切ったユダ的役割をこなし、
海外では名の知れた浅野忠信や加瀬亮、
ピーター・ブルックのカンパニーの重鎮・笈田ヨシ、
監督としての代表作である「鉄男」シリーズで海外で名を轟かせた塚本晋也、
英語のセリフも難なくこなしたイッセー尾形も、其々の役割をこなしていたわ。
あと、片桐はいり、頭脳警察のPANTA、
EXILEのAKIRAや、プロレスラーの高山喜廣もチョイ役で出てたわ。
スコセッシ監督、粋やね!

どちらかと言えば、江戸時代初期の日本って、
ローランド・ジョフィ監督がカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した「ミッション」(1986)に似ていて、
長崎の隠れキリシタンの村は、パラグアイ国境付近のグアラニー族の村と状況が同じ。
「ミッション」のガブリエル神父と、「沈黙-サイレンス-」のロドリゴ、
共に布教先でのキリスト教の布教に人生を捧げているのも頷けるわ。
あと、「沈黙-サイレンス-」でフェレイラ師を演じたリーアム・ニーソンは、
「ミッション」でフィールディング宣教師を演じており、
「ミッション」の日本での配給を手掛けた日本ヘラルド映画は、
後に角川書店グループ傘下に入り、KADOKAWA(角川映画部門)に再編され、
「沈黙-サイレンス-」の日本での配給を手掛けることに。
めぐり合わせすぎやん。




◆映画DVDもハッスル価格で提供!全品送料無料!→楽天ブックスは品揃え200万点以上!