経済学者のErik Brynjolfsson氏が唱える「生産性パラドックス(英文)」によると、コンピュータはどんどん発達してきているのに比べ、人間の生産性はそれほど変わってないのだそうです。そればかりか、テクノロジーを使えば速くできるからと、作業を先延ばししてしまったり...。この傾向を打破するには、あえてテクノロジーを使わないことを、米lifehackerでは提案しています。

 何時間もコンピュータの前で仕事をしている人にとっては、ほんの数クリックで関係ないことを始めてしまうことも可能です。書類作成してたはずなのに、いつの間にかウェブサーフィンしてた...という経験は多くの人にあるのではないでしょうか? 実際、先延ばしするための「取引コスト」はゼロと言えるでしょう。

生産性を上げるには、基本的には整理整頓が鍵ですが、これではどうやって気が散るのを防ぐのか? というところまでは踏み込んでいません。たいていの場合、生産性の大きな向上が見られるのは、「GTD」のテクニックを使ったときではなく、非生産的な行動をやめたときだったりします。つまり、多機能デバイスの機能の一部しか使わなかったり、使うのをやめたりしたときなのです。

以下では、どのようにテクノロジー使用を最低限にするかを説明します。

1. ホワイトボードとノートを使う

アイディアを出すことがあなたの仕事である場合、大きめのホワイトボードを買いましょう。コンピュータからは離れてください。そうすることで、ほとんど無意識に関係ない作業へ流れていくことを防げます

部屋を移動して仕事をするなら、各部屋にノートを置いておくこともお勧めします。アウトラインを考えたり、計画を立てたり、ブレインストーミングをするときには、コンピュータではなく紙のノートを使いましょう。


2. 気が散ってしまうサイトはブロック、iPadを使う

ソーシャルネットワーキングサイトやニュースブログなど、ハマって読み始めてしまいそうなサイトは、Firefoxなら「Leechblock」、Chromeなら「StayFocused」のようなツールを使ってブロックしてしまいましょう。どうしてもブラウジングしたくなったら、iPadで閲覧し、終わったら仕事部屋の外に置いておきましょう


3. ゲームはブロックし、ゲーム専用マシンを使う

仕事や勉強に使うマシンでゲームもすることにしていると、ちょっとの休憩のつもりが長時間もゲームをしていた...という事態を招きかねません。

それを防ぐ一案としては、同じマシンでもいいですが、ゲーム用に別のアカウントを作るというものがあります。パスワードは、長くてタイプしにくいものを設定してください。それでも長時間ゲームをしてしまう場合は、WiiやPlaystationなどのゲーム専用機を買って、コンピュータではゲームをしないようにしましょう。


4. 自分を「機内モード」にする

飛行機に乗っている間に仕事をしたら、意外とはかどった! という経験はありませんか? 飛行機の中では、メールやテキストの送受信は基本的にできませんし、電話もかかってきません。一人で乗っていれば話しかけてくる同僚もいないので、気が散る元をシャットアウトすることが可能です。そこで、一日に何時間かは自分を「機内モード」にし、インターネットを切って、携帯電話ももちろん機内モードにして過ごしてみてください。

自分を「機内モード」にするのに最適な場所は、図書館です。調べ物があったら、本で調べたり、どうしてもウェブを利用したいときには図書館のマシンを使ったりすることができます。


5. あえてコンソール

元記事を書いたMatthew Might氏は、現在ユタ大学のコンピュータ学科の教授なのですが、大学一年のときに「Unix的生活」を身につけたかったので、「Xウインドウサーバー」を使わないで、あえてコマンドラインを使うようにしていたそうです。ウェブは「lynx」、メールは「mutt」を使ったりしているうちに、「IDE」なしでデバッグできるようになったとのこと。コンソールだと作業に集中できて、いろいろなことを学びながら作業効率も上げられたのだそうです。


6. 新聞を購読する

近頃は、ニュースはオンラインで読めるからと、紙の新聞の購読を止める人が増えてきていますが、Matthew Might氏は紙の新聞派だそうです。彼は、毎朝ウォールストリートジャーナルを、夕方にはニューヨークタイムズをダイニングテーブルに広げ、5分間ざっと目を通すそうです。あとで読みたい記事を切り抜いて、リラックス中に読んだり、エクササイズ中に読んだりもしています。

時間を決めて新聞を読めば、仕事中にニュースを気にしなくてもよくなりますし、短時間で読みたい記事だけ読むようにすれば、あなたに特に関係ないニュースをだらだらと読んで、無駄な時間を過ごさなくてよくなります。


7. ケーブルテレビを解約する

テレビも気がつくと何時間も見てしまうものですね。アメリカの場合、人気の番組のほとんどは「Netflix」、「Hulu」、iTunes、「Amazon」でストリーミングされていたり、レンタル・購入ができるので、ケーブルテレビは解約してしまいましょう。

Matthew Might氏はテレビに「Mac Mini」を接続して、ケーブルテレビ代を一ヶ月に100ドル節約することができたとか。Mac Mini代を考えると、7ヶ月で減価償却したことになります。ちなみに、このMac Miniは、彼のゲーム機でもあるそうです。


テクノロジーはどんどん多機能化し、便利になって生産性が上がってきていると思いきや、気が散る材料も実は増えてきていたのですね。みなさんは、多機能デバイスとどのように付き合っていますか? ぜひコメント欄で教えてください。

Boost Your Productivity: Cripple Your Technology(原文/訳:山内純子)