こんなところにも捜査対象が!

 出張時ビジネスホテルで資料を作りながら、夜食にカップめんを食べようと、お湯をそそぐためにフタを開けた。すると、そのふたの裏に何か書いてあるではないか(図1)。日清食品が進めている「お湯と生きるプロジェクト~インスタントラーメンのお湯でもSTOP温暖化」の取り組みを知らせるものだ。インスタントラーメンを食べるためにお湯を沸かす際、日本で1年間に排出されるCO2の総量は、約37万トンにもなるそうだ。同社の試算によると、もっと効率的にお湯を沸かすことによって、約37万トンのCO2排出量の約60%、22万トンも削減できるという(2008年に食べられたインスタントラーメンが52.5億食という世界ラーメン協会のデータより計算)。

図1●捜査対象となったカップめんの裏ぶた

 このケースの省エネを、コスト視点でもう少し調べていくと以下の通りだ。

(1)必要以上に沸かす理論損失:43%
(2)無効な火炎、調整不良、管理損失:23%
(3)蒸発分のエネルギー損失:5%
(4)無価値時間消費管理損失:14%

よく見ると、省エネはやりつくしてない!

 あるプロジェクトにおける会合の最初と最後に「目標達成は通過点、省エネルギーに終わりなし!」という言葉を唱和している。省エネ活動に、終わりはないのだが、現状、やりつくした感が漂っているケースが多い。しかし、CSR(企業の社会的責任)観点などから企業の省エネルギー活動の継続や発展は必須課題である。

 当然のことであるが、省エネに限らず、改善の始まりは「問題を発見」することにある。特に、エネルギーの場合は損失(ロス)を見つけながら潰していくことで成果が出てくる。省エネに対する意識を持つような改善をすれば効果が上がると言われているが、今現在、本当に意識改革だけで省エネがサクサク進まない。意識改革も大事だが、次のステップとして「気づく」視点を鍛えることが重要だ。日ごろからコストリダクションの中にいる読者には、60%以上の省エネの可能性があるというインスタントラーメンの議論は、驚異的な数値で現業では到底無理だと思われるのではないだろうか。しかし、この例にあるように、視点を変えれば、大幅な省エネが可能になるケースは、意外に沢山ある。視点を整理する技術を磨けば、数多く損失に日々「気づく」ようになる。

お茶を飲む時だって