たぶん、これ以上にカンタンなフォトブックサービス、ありません。

撮りためた写真を整理、活用する方法としてフォトブックサービスが盛り上がっています。でも、いざ作ろうと思ってみたらレイアウトが面倒だったり、写真が多すぎてどれにするか迷ったりして、挫折してしまった方もいるのでは。

今回紹介する「おまかせ!フォトブック」は、そんな挫折をした方にぴったりのサービス。写真の選定やレイアウトはすべて「おまかせ」で、やることはたった2つ。フォトブックに入れたい写真をサイトからアップロード(または専用のUSBメモリにコピーして郵送)すること、表紙のパターンを選ぶこと、それだけです(詳しくはこちら)。

フォトブック挫折組の上司Yさんに勧めてみた

「おまかせ」を不安に思うかもしれませんが、まずは完成品を見てみてください。以下は「興味はあったけどレイアウトが面倒で、時間もないから試せなかった」という、ワーキングマザーな上司Yさんが作ってみたフォトブックです。

140529omakase_photobook_2.jpg

専用ケースに入って郵送されてきます。ちなみにこの箱、レンズの部分が切り取れるので、お子さんのおもちゃにもなります。

140529omakase_photobook_3.jpg

A5サイズより少し大きめ。しっかりした上製本なうえに、クリアケース付きで保管もしやすい。

140529omakase_photobook_4.jpg

全20ページで、180度いっぱいに開く作り。紙面は光沢ラミネート加工されているので、少々の水ならこぼしても安心です。

Yさんは届いたフォトブックを手に「息子からずっと『僕のアルバムが欲しい!』と言われていたけど、なかなか時間がなくて...これで昔の写真を見ながら話ができるし、喜んでくれそう」とほくほくの笑顔。今回は生まれた時からの写真をザックリと150枚ほど送って、120枚が採用され、家族の思い出が紙面いっぱいに詰まった一冊になりました。

便利でラクだけど、ハテナも多い(だから聞いてきた)

さて、勧めた私も笑顔になれる出来でしたが、ふとした疑問も。「おまかせ」はたしかに便利だけど、写真はどういう基準で選ばれているのだろう。サイトには「全工程を手作業で製作」とあるけれど、それにしては単価がお手頃では...など、気になってきたことがいくつか。そこで実際に、運営会社のシグナルに聞いてみることにしました。

同社CTOの松本圭司さんに「ぜひ製本している現場にいらっしゃいませんか?」とお誘いをいただいたのは、千葉県の木更津にある「地域作業所hana」。そこは精神や知的、身体のいずれかにハンディを抱えた方たちが利用者として働く福祉事業所でした。その一角で、おまかせ!フォトブックはたしかに1冊ずつ、人の手で製本されていたのです。

「家族の会話が増える」新規事業をはじめたかった

140529omakase_photobook_5.jpg
株式会社シグナル CTO 松本圭司さん(左)、地域作業所hanaの初芝小百合さん

もともとシグナルはウェブマーケティングを手がける企業。そのシグナルが「社会貢献につながるような新規事業を立ち上げたい」と考え、辿り着いたのは「家族の会話が最近は減ってきている」という思いだったそう。会話を増やせるサービスを検討する中で、「アルバムを中心に家族が集まれるようなサービスを作ろう!」と数年前から盛り上がってきていたフォトブック事業に狙いを定めました。

松本さんは同業他社のサービスをいくつも試す中で「レイアウトや入稿作業がどこも難しい」「価格に見合うクオリティのものが少ない」という不満を抱きます。だからこそ、おまかせ!フォトブックは誰でも簡単に作れ、保管ができ、高級感を持たせながらも納得できる価格であることを目指していくことになりました。

具体的には「3000円に見合うものをつくる」ことを目標に、仕様などを詰めていったそう。現在、おまかせ!フォトブックの価格は送料・決済手数料など込みで1冊4400円(税込)より。「選定やレイアウトをする時間」もコストと考えてみれば、この金額は決して割高ではないでしょう。

ベトナムでレイアウトデータを作成。データはすべて人力でチェック

まずはレイアウトの簡略化からスタート。写真を選ぶ基準について、松本さんは「最も大切なのは構成を考えることです」と言います。

松本:社員のみんなで、誰のものかわからない写真を持ってきて実験をした結果からもわかったのですが、写真が100枚あったとして、中から20枚を選び出すとします。すると、実は誰が選んでもだいたい同じような、笑顔がステキだったり景色の良かったりする写真を選ぶ傾向があるんです。だから、レイアウトは写真単体よりも構成を意識しています。あえてブレている写真を使うこともありますよ。連続して並べることで、紙面に「動き」が表現できるからです。

「たくさんの写真からピックアップすると誰もが似通る」という感覚を得た松本さんは、中国など複数の外国でもテストをしてみると、同様の結果が得られたのだそう。そこで、コストを下げるために海外でデータを作成することを決めます。写真を座標軸と数値で指定する「慣れるほど速くなる」という独自のレイアウトツールを設計・開発。現在はベトナムの企業と提携し、データ作成を依頼しています。

ベトナムから納品されたデータは、すべて松本さんがチェック。写真がそぐわない場合などはSkypeでその都度に修正指示を出します。完成したデータは日本国内で印刷され、その後、製本のために地域作業所hanaへ送られます。

製本作業は福祉事業所にとって相性の良い仕事だった

さて、時計の針を少し戻します。サービス開始当初は自社で製本していたものの、受注が増え、製本業務を対応してもらえるパートナーを探していた矢先のこと。松本さんと地域作業所hanaは共通の知人を介して知り合います。

地域作業所hanaは、何かしらの障がいがあるため一般的な就職が難しい人に向け、製菓や農業、雑貨製造などの仕事を提供する「就労継続支援B型」にあたる福祉事業所。「社会貢献」が念頭にあった松本さんは、問題なく製本が行えることを試してみたうえで、地域作業所hanaを今後のパートナーに決めます。

140529omakase_photobook_9.jpg
地域作業所hanaの一角に専用の製本作業場がある。
職員の目が細やかに行き届く、コンパクトな職場。

初芝さんは「製本は未経験の事業だったので、慣れるまでは大変でした」と照れ笑い。ただはじめてみると、福祉事業所にとって相性の良い作業だと気づいたそう。

初芝:ミシン縫製以外に「機械を使う仕事」はあまりなかったので、製本作業の特別感は利用者さんにとってモチベーションにつながっています。それから、フォトブックの作業は紙にラミネートをかける、2つ折りにする、カットする...と、工程が1つずつはっきりしていますよね。利用者さんの役割分担がしやすく、作業量に応じた出来高制をとっていることもあって、私たち職員にとっても割り振りやすい仕事なんです。

あと、ラミネート加工は2人ペアでやるのですが、その時に利用者さんとコミュニケーションが生まれるのも助かります。そこが面談や相談の時間になるんです。悩んでいる人や仕事が手に付かない人を呼んで手伝ってもらえば、その人の悩みを解消できる機会を得られて、工賃もお支払いできますからね。

おまかせ!フォトブックができるまでの12プロセス

140529omakase_photobook_6.jpg

1.印刷用紙が届く。カラーバーは「同じ依頼者か」を確認できる工夫。

2.用紙を1枚ずつラミネート加工。ラミネートを定着させるために一昼夜おく。

3.ラミネートを施した用紙を、まず半分にカットする(断裁)。

4.折りやすくするミゾを入れ(筋押し)、手で1枚ずつ半分に折る。

140529omakase_photobook_7.jpg

5.きれいな2つ折りが保てるように、用紙をプレス機にかけておく。

6.待っている間に、表紙に厚手のボール紙を貼り付け、形を整える。

7.プレスした用紙を一枚ずつ、両面粘着紙で貼り合わせていく。

8.貼り合わせた用紙を、きれいな断面になるようにカットする(化粧断裁)。

140529omakase_photobook_8.jpg

9.表紙と本体を粘着紙で貼り合わせる。

10.圧着プレス機にかけ、表紙の「背」になる部分をつくる。

11.箱に梱包し、裏面に送り先の住所を貼り付ける。

12.ビニール袋に入れて、できあがり。

おまかせ!フォトブックなら「卒業アルバムのドキドキ感」を味わえる

松本さんは「作るのが簡単なこと」以外に、おまかせ!フォトブックにはもう1つ魅力があると言います。「ドキドキ感」です。

松本:「レイアウトデータを事前に見られたらいいのでは」というご意見もわかりますし、悩んだポイントでもあるのですが、今はこう思っています。感覚としては「卒業アルバムをもらうときの気持ちなんだな」と。どういうものができあがるかわからない、待っている時のドキドキ感や不安感がギャップとなって楽しめる。

それに「こういう写真もあったなぁ」という発見もある。自分でレイアウトしてしまうと、どういう写真が並ぶかがわかっているので、あとは「完成品を見るだけ」になってしまいますよね。僕らは「作る楽しみ」は提供できないけれど、家族や仲間で「こんなのできてきたよ!」と話すきっかけを作ることができるんです。

今後は「もっと簡略的にフォトブックが作れるようにしたい」とのこと。まずは、スマホのみで発注できるようにする。それから、クラウドサーバーに写真がある程度まとまったら、自動でアルバムを作って届ける「定期購読パッケージ」のようなものも考えているそう。特に後者は、送り先を実家にしておき、両親へ子どもの成長を知らせるツールとして使うと良さそうです。

「いいね!」が押せないアルバムを手に、いいね、と笑いあう時間

写真の主役がフィルムからデジタルへ移ってから、私たちはいつからか写真を撮りっぱなしにするようになり、SNSになんとなくまとめるだけで、「アルバム」という"物"を持たなくなりました。しかし、アルバムを手にして1ページずつめくりながら、みんなでのぞきこんで「いいね」「なつかしいな」と思い出を話すおだやかな時間は、デジタルの画面では味わえない、まだ表現しきれていないものではないかと思います。

そのおだやかさは、きっと「豊かさ」とも言い換えられるはずです。おまかせ!フォトブックでつくる1冊は家族の和やかな時間を作り、そして社会貢献となって雇用も生んでいる。このサービスの本質は「誰でもカンタンにフォトブックが作れる」だけではないところにあるのだと私は感じます。

最初の1冊は返品もできますので、気軽に試してみるのもよいでしょう。おまかせ!フォトブックは、あなたと、家族と、そして仲間たちとをつなぐアルバムとなって、会話に花を添えてくれるはずです。

フォトブック・フォトアルバム作成なら写真を送るだけできる「おまかせ!フォトブック」

(長谷川賢人)