ライフハッカー編集部さま

我が子には精神的に安定した幸せな大人になってもらいたいのですが、特に社会性に関しては困っています。というのも、2人の子どものうち1人はいつも独りで他人に興味がなく、もう1人はどうしようもない悪ガキなんです。この子たちに、生きていくうえで必要な社会性を学ばせるには、いったいどうしたらいいのでしょう。

「悩める親」より

悩める親さま

お子さんの社会性に目を付けたのは素晴らしいことだと思います。なぜならそれは、勉強の成績や知能よりもずっと、人生の成功や幸福に大きく関わってくることだから(それに、誰だって映画『Mean Girls』のようないじめっ子を育てたくはないですよね)。今こそ、お子さんの社会的な知性に大きな影響を与えることができるチャンス。友だちの作り方や断る方法など、私たち大人だってまだ完璧でないことについて教えるときです。それらはいつまでも学び続けなければならない大切な教訓であり、始めるのは早い方がいいのですから。

すべての子どもが学ぶべき社会性

子どもの中には(いえ、どんな年齢でも)、他人よりも社会性に秀でている人がいます。他者をひきつけ、誰でも友達になりやすいタイプの人です。とはいえ、我が子がそのタイプでなくても、人気者コンテストで入賞しなくても、心配は無用。ほかのスキルと同様、社会性のスキルも、学ぶことで身に付けられるのです。それに、「社交的になること」それ自体が最終目標ではありません。

もっと大事なことは、我が子が他者との間で有意義な絆を築けるようになること。人の気持ちを知り、うまく人づきあいができるようになること。そして、困った状況にも適応できるスキルを身に付けることです。ところが、米メンフィス大学では、こんなことを指摘しています

多くの学生が、指示に従う、適切な会話をする、人の話を聴く、相手を褒める、移行期に適切な行動をとる、からかう、いじめる、友達とただ時間を過ごすといった、他者がかかわる社会的状況への対処法を知りません。

これらは、すべての子どもに持ってほしい基本的なスキルです。これに加えて、年齢に応じた適切な社会性が必要になってきます。

幼稚園児~小学生に必要な社会性

米ヴァンダービルト大学では、8000人の小学校教員を対象とした調査と20年にわたる研究を行い、子どもたちが学校生活で成功を収めるために必要な社会性スキルのトップ10を発表しました。

  • 人の話を聴く
  • 段階を踏む
  • 規則に従う
  • 気が散るものを無視する
  • 助けを求める
  • 順番に話す
  • 人と仲良くする
  • 人に怒らない
  • 自分の行動に責任を持つ
  • 人のためになることをする

一見すると、「人と仲良くする」にチェックが入るような子どもは、ただの「いい子」に過ぎないように見えますが、社会的規範に重点が置かれる社会で子どもが成功するには、これらのスキルが基礎となります。ここでの目的は、協調性のある子を作ることではありません。それよりも、自己主張をしながらも人のことを気にかけられる子どもになれるようになることが目的なのです(もちろん、大人でもこれらのスキルを習得できる人は少ないですが)。

10代の子どもに必要な社会性

中高生になると、思春期と呼ばれる厄介な時期が訪れるため、もっと複雑な社会性が必要になります。この時期は自立が始まりますが、自分とはいったい誰なのか、そして将来どうなりたいのかという大きな判断をするために、群れを成す傾向があります。さらに、他人の目が過剰に気になり始める時期でもあります。

問題の多いこの時期でも、以下のスキルを身に付けることで、若者は感情に対して経験を積めると、作家のジェームズ・ウィンデル氏は言います

  • 個人目標を定める
  • 自滅的行動を特定し、改める
  • 自分の要求を積極的に主張する
  • 他人の気持ちを知る
  • 怒りには建設的に対処する
  • 争いを平和的に解決する

「幼児は指示に従うことを学ぶべき」「10代は自己主張の仕方を学ぶべき」と言うのは簡単です。でも、親である私たちが、そのプロセスを助けてあげるにはどうしたらいいのでしょうか。以下に、いくつかの方法を紹介します。

社会性の模範になる

誰でも、最初に社会性を学ぶのは家庭です。親の行動は、言葉よりも大切なのです。『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』のロバート・フルガム氏は、「子どもが親の言うことを聞かなくても、心配いりません。むしろ、常に親の行動が見られていることを心配した方がいいでしょう」と言っています。

ポジティブな社会性の模範を示すためにも、知らない人と仲良くする、人を助ける、我が子に敬意を持って接するなど、親自身が、他者とかかわるときの行動に自信を持たなければなりません。ローラ・マーカム博士は、『Aha! Parenting』にこう書いています。

人が大事であることを子どもに教える:親は、何に集中するかを選択しなければいけません。ですから、汚い部屋や怠惰な状態には目をつむっても、子どもには他人を思いやることを教えるべきです。早いうちに模範を示し、できたら褒めて、仲間の問題解決のためのブレインストーミングを助けてあげましょう。意図的であるかどうかにかかわらず、子どもが他者を軽視することを許さないでください。その場で指摘すると子どもを当惑させてしまうような場合、あとで必ずそれについて話します。子どもが大きくなるにつれて、大人やほかの子どもの目の前で感謝を示すことを明確に主張する必要が出てくるかもしれません。中高生には、このことを頻繁に思い出させて、面倒だと思う人間関係への対処法を教えてやる必要があります。

子育てをしていて面白いのは、子どもだけでなく親も人間として成長できる点です。米オーバーン大学のジャクリン・マイズ教授とエレン・アベル教授は、子どもの社会性に関する研究をまとめた記事に、こう記しています。

高い社会性を持つ子どもの親は、建設的で快活な態度を促すように、社会的事象を解釈させようとします。例えば、「そんなことをするなんて意地悪な子だね!」と言うのではなく、「もしかしたら、何かつらいことがあったのかもね」と言うのです。そう言われた子どもは、「仲間に入れてくれないなんてひどい」という感情を持たずに、「誰でも1人で遊びたいときがある」と、建設的な態度をとることができるのです。親は、「きっとあなたのことが嫌いなのよ」なんてコメントはせずに、「一緒に遊びたかったけど、もっと面白いことを見つけたのかもね」と言います。このように、ポジティブで建設的な言葉をかけてあげることで、子どもたちは他者と自分自身を、遊びのパートナーとして楽天的な見方ができるようになるのです。そのようにして育った子どもは、社会的な挫折にも優れた回復力を見せ、社会的状況は努力とポジティブな行動で改善できるという信念を持てるようになります。

「恥ずかしがり屋」というレッテルを貼らない

もし我が子がシャイな性格や心配性でも、そのようなレッテルを貼らないでください。そして、シャイな状況から無理やり引っ張り出そうとすることもやめた方がいいでしょう。心配性の我が子には、同調と問題解決のアプローチが有効だと、マーカム博士は言います。

シャイというレッテルを貼らない:子どもの気持ちを理解して、その恐怖は克服できると伝えてあげましょう。例えば、「新しい環境に慣れるまでは時間がかかるもの。ビリーの誕生日を覚えてる? 皆でゲームしている間、ずっとママ(パパ)から離れられなかったでしょう。でも、パーティが終わるころには皆と一緒に楽しく遊んでたよね」

シャイな自分への効果的な対処法を教える:一般的な経験則としては、不安な気持ちは誰にでも訪れるものと教える、どんなことがあっても自分は大丈夫と言い聞かせる、自分よりも他人に注目するなどの方法があります。例えば、他人から興味を持たれるよりも他人に興味を持つことが大事であると伝えたり、他人に質問をして答えを聞くことを教えたり。不安になる状況への対処法を、子どもと一緒に考えてみましょう。

子どもにシャイのレッテルを貼らないもう1つの理由は、それが自己成就的予言になってしまう可能性があるからです。筆者は子どものころシャイだと言われて育ちましたが、実際は、大人しくて内向的な性格だっただけです。でも、そのようなレッテルを貼られていたせいで、社会的な状況になると、緊張と不安が襲ってきたものです。強制された習慣が、私を本当にシャイにしてしまったのです。

社会的行動を学べる機会をたくさん作る

子どもが最初に社会的スキルを学ぶのは親からですが、そのうち、仲間からも多くを学ぶようになります。人とかかわる機会が増えるほど、人との関わり方もうまくなっていきます。

そのために、子どもの友情をサポートしてあげましょう。子どもの遊び場まで送迎してしてあげることや、公園で子どもたちが遊ぶのを見守ることをいとわないでください。

子どもは、親と遊んでいるだけでも、大切なことを学んでいきます。前述のマイズ博士とアベル博士によれば、親と一緒に遊ぶ子どもの方が社会的スキルが高く、仲間と関われるという研究結果があるそうです。特に、親が子どもと同じ目線で遊んでいる場合、その傾向が強まります。子どもに主導権を持たせつつ、「友達のように」遊ぶのです。

このような遊びが子どもに好影響を与える理由はたくさんあります。親と一緒に、バランスの取れた遊びをすることで、高い社会性を持つ幼児が持つスキルを学ぶことができます。それに、親が子どものアイデアに反応してやることで、子どもは自分が遊び仲間として優れた存在であると感じるようになり、友達と一緒に遊ぶ意欲が湧きます。さらには、楽しくてバランスの取れた遊びを親とすることで、家族以外の人と遊ぶ機会を楽しみにするような、ポジティブな考え方を持たせることができるのです。

「Parenting Science」に、子どもと一緒にできる社会的スキルを育む遊びが載っていました。これらは研究に基づくものですが、ジェスチャーゲームのように楽しいものばかりです。英文ですが、興味があれば確認してみてください。

リラックス

いろいろ書きましたが、子どもたちは、放っておいても試行錯誤を繰り返して、自分なりにポジティブな社会性を身に付けていくものです。ですから、(担任にしつけの問題を指摘されるなど)深刻なトラブルの兆候が見られない限り、心配し過ぎたり介入し過ぎたりしないようにしましょう。ほとんどの子どもが、人のことに無関心(むしろ不親切)だったり、社会的に不器用なものですから。

以下に、子どもにソーシャルコーチング(社会性を身につけるための訓練)が必要かもしれない兆候を示します。

  • 親友が1人もいない
  • 潔く負けまたは勝ちを認められない
  • 他者が傷ついたり拒絶されたときに同情しない
  • 頻繁に人に命令をしたり、自分のやり方を押し通そうとする
  • 会話を始めたり続けたりできない
  • 他の子より声が大きい
  • 他の子からいつも無視されている、もしくは何らかの被害を受けている。または、いつも他の子をからかっている、もしくは嫌がらせをしている。

上記のどれかが当てはまるなら、「対人能力」を改善するための積極的なアプローチが必要かもしれません。どれも当てはまらないようであれば、一緒に遊び、社会的な模範を示し、人間関係の構築を助けてあげるだけで、子どもの社会性は育まれるはずです。

幸運を祈ります。

ライフハッカー編集部より

Melanie Pinola(原文/訳:堀込泰三)