iPhoneアプリのコンバージョンを改善するためにやったこと
iPhoneアプリって、いろいろありますよね。ユーザーとして見たら、「いっぱいあってなんでもできそう」という感じで楽しいのですが、提供する側からすれば、競合が山ほどいる状態です。それでもかなりの広告費をかけることができればいいですが、実際に月に何百万円もかけてプロモーションし続けることができるのは、ごく一部の企業だけだと思います。そうなると、いかに効率よくユーザーを獲得するか、ということが大事になってきます。ここでは、「はてなココ for iPhone」で実際に実施して、コンバージョンが3.6倍になったいくつかの策を紹介したいと思います。
その前に
内容としては、当たり前のことを当たり前に実施した、というものなので、とりあえずiPhoneアプリ公開したけどこれからコンバージョンの改善をしたい・・・という方のちょっとした参考になればと思います。逆に、すでにいろいろ実施されている方には物足りないと思います。(最初っから期待を裏切って申し訳ないです。)
はてなココとは?
いきなり「はてなココ」、と言われてもなんのこっちゃ、という方も多いかと思います。はてなココとは、自分の居場所をともだちに伝えたり、ともだちの居場所を確認できる位置情報サービスです。詳しくはこちらからご確認いただけます。
はてなココ for iPhone ガイド - はてなココ
コンバージョンの定義を決める
まずは、コンバージョンの定義を決めました。はてなココでは、「1度でもイマココ(位置情報を投稿)したことがある人」をユーザーとしてカウントしているので、初回のイマココがコンバージョンとなります。
現状を把握する
さぁ対策、といきたいところですが、まずは現状を把握するところからはじめました。初回のイマココをコンバージョンと設定したため、そこに至る道のりを洗い出すと、結構長いことが分かりました。
これを単純に、「イマココ人数/広告クリック数」として管理してしまうと、どこに手を入れればいいか分かりません。なので、まずは以下のようにコンバージョンまでの道のりを3つのステップに分けて管理することにしました。
- 広告クリック〜インストールは何%か
- インストール〜ユーザー登録は何%か
- ユーザー登録〜イマココ完了は何%か
広告クリック〜インストールの改善
ここでは、2つの対策をしました。
- 広告の文言を最適にする
- App Storeの紹介文を最適にする
広告文言は、「何を得ることができるか」というユーザーメリットを簡潔に説明することで、効果があがりました。具体的には、「●●を投稿しよう!」ではなく、「●●が確認できる!」とするイメージです。自分のことをアウトプットすることよりも、情報をインプットできる・何かを得ることができる、という方が、受け入れられやすいのかもしれません。
App Storeの紹介文は、短い文で簡潔に説明することで効果があがりました。よく見かける「主な機能」を箇条書きで記載して長文化すると、インストール率が大幅に下がってしまいました。iPhoneでApp Storeのアプリページまでいったときに、スクショの上部分が少し見えるくらいに、紹介文を短くまとめる方がいいと思います。
これらを実施して、1.6倍の改善効果を得ることができました。
インストール〜ユーザー登録の改善
ここでも、2つの対策をしました。
- スクロールを短くする
- 入力項目を減らす
ユーザー登録が必要ないアプリであれば考えなくていいのですが、必要なアプリではここがハードルになります。どうしても入力項目を減らすことができない場合、レイアウトを工夫して、スクロールを短くしてみるといいかもしれません。
これらを実施して、1.3倍の改善効果を得ることができました。
ユーザー登録〜イマココ完了の改善
ここでは、ログイン後の画面にイマココまでのナビゲーションを入れる対策を実施しました。明確なナビゲーションをしていなかった時と比較すると、1.7倍の改善効果を得ることができました。
飲食店でも店に入ったら席まで案内してほしいですよね。ついでに、本日のおススメなんかも教えてくれたら、なおうれしいですね。それと同じで、キッチリ次に何をしてほしいか伝えるのは大切だなぁと思いました。
最後に
このように、各ステップで改善したことで、全体で3.6倍の改善効果を得ることができました。ただ、一つのアプリで実際にやってみて出た結果から分かったことなので、他のアプリで通用するかどうかは正直いって分からないです。それでも、コンバージョンまでを何ステップかに分けて管理することで、分析、対策、効果測定・・・のサイクルが回しやすくなる、ということは言えると思います。これさえやれば!という必殺技を期待することなく、細かい修正・改善をコツコツやっていくことが、実は一番の近道かもしれません。そしてこの努力は、ユーザーのみなさんにとっても良いものである、ということは間違いないと思うので、それは何よりうれしいですね。(とは言っても、必殺技を発見された方がいれば教えてください。w)
さて、そんな「はてなココ for iPhone」は、不具合があったため、App Storeで非公開にしていました。ご迷惑をおかけしたみなさま、申し訳ございません。本日、修正版が公開されましたので、以下からインストールしていただけばと思います。友達と居場所を共有して、『見たよ』『いいね』の気持ちをスターで伝えたり、コメントしあったりして、ぜひ新しいコミュニケーションを楽しんでください。