2020年、あの人気マンションの値段はこうなっている!~全117物件の「予想価格」を実名公開

不動産業界が大声では語れない「真実」

マンションは地域の「シンボル」。その価格次第で、周辺の地価、戸建て価格も左右される。そんなマンションの詳細な未来図を見ることで、将来のニッポンの不動産の「全貌」が浮かび上がってきた――。

湾岸のタワマンは壊滅へ

東京オリンピックが開催される2020年にかけての不動産市場は、エリアによって「明暗」が色濃くわかれる激動の時代へ突入する。

「都心の住宅地はこれまで『西高東低』と言われていました。西の東急沿線や中央線沿線などと、東の下町エリアで人気差がありましたが、変化が起きています。東急沿線でもエリアによっては空き家が目立つ一方、墨田区や荒川区でも開発が進み、地価が上昇する地点が見られています。今後はこうした新しい『優勝劣敗』がさまざまなエリアで起こるでしょう。

新築マンションの供給は2020年まで高水準で推移するとみられ、エリアやカテゴリーによっては供給過剰になりかねない。立地、構造から景観までさまざまな要素で比較されることで、価格が上昇する物件と下落する物件の差が大きく広がっていくでしょう」(ニッセイ基礎研究所主任研究員の増宮守氏)

それでは、どこが上がり、どこが下がるのか。

本誌は今回、史上初の大調査を敢行した。

不動産価格推定サービス『GEEO』を用いて、東京23区内の人気マンション117物件について現在から2020年にかけての価格の推移を予測し、その詳細な結果をもとに「不動産の未来」がどのような姿になるかを徹底分析した。

その調査結果は不動産業界が大きな声では語れない「真実」を赤裸々に示すものとなったが、詳細については後述するとして、まずはどのように予想価格を弾き出したかを説明しておこう。

今回、価格予測を行った『GEEO』開発者で株式会社おたに代表取締役の小谷祐一朗氏が語る。

「『GEEO』は、莫大な数のビッグデータを使って現在から未来の不動産価格を予測計算することができます。

利用するデータは、路線価、国勢調査、住宅・土地統計調査など官公庁のオープンデータに加えて、過去の不動産売買の成約価格、駅からの距離、建物の面積、マンションのブランド価値まで含みます。さらに、それぞれの土地の地価推移データも駆使して、1000を超えるデータから、人工知能が不動産の価格を予測します。

人工知能が決められた計算式で導き出すので、恣意性が極力排除されて、人間が弾き出すよりも客観的な結果になります」

そうして算出された結果をまとめたのが、本文最後からの表である。

まず驚きなのが、「マンションブーム」の象徴である湾岸エリアが軒並み壊滅状態となっていること。マンション評論家の榊淳司氏が指摘する。

「中央区の勝どき、月島や江東区の豊洲、有明などのタワーマンションで1割以上の暴落が予想されていますが、実はこれは業界内では『既定路線』とされているシナリオです。これまで買い漁っていた海外投資家が去り始め、相続税対策で盛り上がった富裕層による購入も下火。ブームはすでに終焉に向かっているのに、今後も新規物件が次々に建てられるため、供給過剰感から価格下落は必至と見られている」

不動産エコノミストの吉崎誠二氏も言う。

「湾岸エリアは開発が集中して進み価格高騰の勢いもすごいのですが、これまでの例から考えると、こうしたエリアでは落ちる時もかなりの暴落となる。同じく急激な開発で価格高騰したエリアでいうと、二子玉川や中目黒も『危険信号』です」

言い換えれば、これまで過大評価されてきたエリアは今後の下落リスクが高いということだ。

実は、高級住宅街の代名詞とされるあの田園調布も、「要注意エリア」。みずほ証券上級研究員の石澤卓志氏が指摘する。

「田園調布はこれまで地区計画で小型物件を規制することで、巨大豪邸が立ち並ぶ住宅街としてのスターテスを保ってきました。しかし、現在は多額の相続税の支払いのために区割りして土地を売却したい人が増加し、土地が分割される可能性が高まっている。街のステータスが崩れてしまえば、これまで過大評価されていた分の価値が剥がれ落ち、地価下落のリスクに直面しかねない」

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