ニャート

パニック障害で退職→ひきこもり→非正規雇用の氷河期世代。だめ人間が何とか日常を投げずに生きていくためのメモ書き。

タイでは年30日まで有給で、病気休暇が取れる

日本には、短期の病気に使える「病気休暇」(sick leave)がない。
(注:公務員は取得できる場合もある)

そのため、風邪やインフルエンザで有給休暇を全て使ってしまった、という人も多いのでは。

そこで今日は、タイのバラエティ豊かな休暇制度を紹介しよう。

タイでは年30日まで有給で、病気休暇が取れる

タイでは労働保護法により、

まず、年6日以上の有給休暇を取れる(勤務1年以上)(第30条)。

それに加えて、病気休暇を取ることができ、年30日までは有給となる(第32・57条)。
(3日以上の場合、雇用者は診断書の提出を要求できる)

その他に、下記の休暇がある。

  • 避妊手術のための休暇(有給)(第33・57条)
  • 用事休暇(通常は就業規則により無給)(第34条)
  • 兵役休暇(年60日まで有給)(第35条)
  • 能力開発休暇(通常は就業規則により無給)(第36条)
  • 産休(年90日・45日まで有給・残り45日も社会保障基金により所得保障あり)(第45・59条)
  • 出家休暇(法律には定められていないが、タイでは一般的)

The Labour Protection Act B.E. 2541(労働保護法)|Department of Labour Protection and Welfare(タイ労働保護福祉局)

大事なのは、病気休暇は年30日まで有給だと法が定めているので、企業が就業規則などで「うちは年10日まで」と勝手に定めれば、違法になることだ。

さて、この休暇の多さについて、経営者はどう思っているのだろうか。

あるコンサルティングのサイトが、本音があふれてて面白かったので引用してみる。

傷病休暇:労働者は、仮病でない限り、傷病の程度に応じて年30日以内の傷病休暇を取る権利があり、使用者は賃金を支払わなければいけない(本来重い病気での入院を想定したものですが、タイ人はこのマイサバイ休暇制度を悪用し、際限なく休みを取りがち。上記の有給と合わせると年に36日、月に3回ですから毎週のように休んでいい、と考える労働者もいます。結果として、タイでは土曜日を休みに定めず、週休1日制とする企業が多いです)。

「タイ人は際限なく休みを取りがち」とあるが、個人的には、日本人もこのくらいのゆる〜い労働観になってくれれば生きやすくなるのにと思う。

10年間で、タイの最低賃金は2倍以上になった

さて、日本だったら「休みを取りたがるヤツは仕事に就けない」と攻撃されそうだが、タイは現在売り手市場である。

タイでは、2013年1月に最低賃金(日額)が全国一律で300バーツに引き上げられた。

2013年1月からタイ全土で最低労賃300バーツの引き上げへ|農畜産業振興機構

2003年〜2013年の10年間で、バンコクでは2003年:169バーツ→2013年:300バーツと178%増、プラチンブリでは2003年:135バーツ→2013年:300バーツと222%増で最低賃金が上がったのだから驚きだ。

(参考:タイの最低賃金表|PERSONNEL CONSULTANT

2017年1月にも最低賃金の更新があり、現在では県ごとに300〜310バーツのグループに分かれている。

中央賃金委が最低賃金の引き上げを決定-2017年1月から実施予定-|日本貿易振興機構

上記は最低賃金だが、在タイ日系企業がタイ人に支払う給料も上昇している。

バンコク日本人商工会議所による「2017年度賃金労務実態調査」によると、製造業で4.5%、非製造業で5.0%の賃上げが予定されている。

日系製造業の賃上げ率は4.5%-2017年度のJCC賃金労務実態調査-|日本貿易振興機構

ちなみに、連合による春季闘争の回答最終集計によると、(上記のタイと同じ)2017年の賃上げ率:全体1.98%・中小1.87%、2018年:全体2.07%・中小1.99%であり、非正規労働者にいたっては、時給引き上げの加重平均は24.7円である

中小の賃上げ率1・99%/連合の18春闘最終集計|機関紙連合通信社

つまりタイでは、人手不足解消のために対価を払うという、ごく当たり前のことが実現しているように思われる。

タイの派遣社員は、正社員と同じ待遇が保証されている

ここはまだ裏を取っていないので後日に回そうと思うが、タイでは派遣社員は法でしっかりと守られている。

派遣労働者を使う場合、当該労働者の業務が、事業者が責任を負う生産工程または事業運営のいずれかの部分であるならば、事業者は当該労働者の使用者と見なされる。派遣労働者が、雇用契約に基づく労働者と同じ態様で労働する場合、使用者は公正な権利および利益並びに福祉を、差別なく受けさせなければならない。

平たく言うと、派遣労働者と正社員の勤務態様が同じならば、派遣労働者に対して、正社員と同じ給与、賞与、各種手当などを支給する必要がある。この規定があるため、タイでは人件費抑制のために派遣労働者を使うメリットが薄れている。

タイの労働法制について(タイビジネスセミナーメモ書き)より引用

まとめ

文中に「タイ人は際限なく休みを取りがち」とあった。
しかし、タイ人の労働環境は法律で守られ、賃金も上がっている。

結局は、休日や賃金などの労働環境は、「熱が出ても休まない」といった労働者の(間違った)意識の高さとは全く関係なく、法律や政治によって整備されるのだ。

こちらもどうぞ
社畜の洗脳。「日本人は決して働きすぎではない」への反論