「おしっこ我慢」は好判断導く、オランダの研究者グループが発表。

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日常生活の中では、何らかの理由でおしっこを我慢しなければならないシチュエーションがあります。そうしたとき、どうしてもモジモジとしてしまってほかのことに気が回らず、判断力や決断力が一時的に鈍るような感覚に陥るかもしれません。しかし、先日発表されたある研究結果によると、人間はおしっこを我慢している状態にあるときほど、普段よりも衝動的な行動を抑制し、より良い判断力を持つそうです。

英紙デイリー・テレグラフによると、この研究結果はオランダのトウェンテ大学の心理学者らが、学術誌「サイコロジカル・サイエンス」に「“尿意と決断力”の関係」を説いた論文を発表したもの。それによると、人間の判断力には衝動的な行動をコントロールする脳の機能が深く関係しており、その脳の部分は、尿意を覚えつつも我慢するといった生理現象をコントロールする際にも活発化するそうです。

そして興味深いのは、その“抑制シグナル”はひとつの物事に対してのみ働くのではなく、無意識にほかのことに対しても働くという点。すなわち、「尿意をもよおす→我慢しなければならない状況にある→“抑制シグナル”が活発化し、尿意を我慢するように身体に命令する→その“抑制シグナル”がほかの決断にも影響を及ぼす(例えば『高いものを購入する』など)→衝動的な行動を慎み長期的に良い決断がなされる」といった流れが出来上がるというわけです。

オランダの研究者グループはこの研究のため、次の実験を行いました。まず、被験者に750mlの水分を摂取させ、膀胱におしっこがたまると考えられる40分後に、彼らの判断力を計るテストを実施。例えば「16ドルをいま手に入れるのと、35日後に30ドルもらうのと、どちらを選択しますか」といった質問です。

その結果、膀胱が一杯になっている状態の人たちは、そうでない人たちと比較して、将来を見越した判断(例題の場合だと「35日後に30ドル」)を選択した割合が高くなりました。

「おしっこを我慢している方が判断力が上昇する」という研究結果を導き出したこの研究グループの代表者は、「今後、高い買い物をするときは、水をたくさん飲んでから考えたほうが懸命なのでは」とコメントしてます。逆に考えれば、衝動買いをしてもらいたい店側としては、お客さんが使えるトイレをきちんと確保すると良いのかもしれませんね。