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2010年11月9日

東京大学大学院医学系研究科 大橋靖雄教授の監修で、透析病院で臨床試験
高濃度プラズマクラスターイオン※1により 世界初※2臨床試験において、ヒトへのインフルエンザウイルス感染率低減の傾向を確認

シャープの研究委託により、生物統計学を専門とする東京大学大学院医学系研究科 大橋靖雄教授らは、世界で初めて臨床試験※3において、高濃度プラズマクラスターイオン(イオン濃度10,000個/cm3)がインフルエンザウイルス感染率を低減させる傾向があることを確認しました。

今回、国内44の病院施設の透析室において、イオン発生装置745台を設置し、透析室をイオンありのエリアとイオンなしのエリアに区分けし、通院患者3,407名を対象として、一般的な検証方法である二重盲検法※4を用いて、インフルエンザ発症件数を約6ヶ月間にわたって調査しました。(試験実施委託先:財団法人パブリックヘルスリサーチセンター)

その結果、イオンありのエリアでは、イオンなしのエリアに比べて、インフルエンザウイルスの感染率が約30%低減することが確認されました。本試験ではインフルエンザ発症件数が合計23件(イオンなしで14件、ありで9件)であり、感染率低減の傾向が確認されました※5

なお、今回の発表内容は、2011年1月21日、22日開催の日本疫学会で、東京大学大学院医学系研究科 大橋靖雄教授が発表される予定です。

当社はアカデミックマーケティング※6に基づき、2000年より世界の学術研究機関と連携して、プラズマクラスター技術が、ウイルス・菌・アレルゲンなど29種類の有害物質の活動を抑制する効果があることを実証するとともに、安全性を確認※7しています。今回の試験はこれをさらに発展させ、臨床でヒトの健康への直接的価値を示唆したことになります。

今後も、健康的な環境を創出するためにプラズマクラスター技術のさらなる進化と実証を進め、社会への貢献を実現してまいります。

東京大学大学院医学系研究科 大橋靖雄教授のコメント

インフルエンザウイルスの感染予防に関する機器の二重盲検ランダム化臨床試験は他に類がなく、今回の試験は先駆性が高いと言えます。毎年国内で1,000万人が感染すると言われているインフルエンザに対し、プラズマクラスターが感染リスクを低減する可能性が示されました。今回の試験は方法論の発展に寄与するとともに、プラズマクラスター技術が社会へ貢献することを示唆したものと考えます。臨床研究・疫学研究を通じた更なる検討が必要ですが、プラズマクラスター技術がうがい・手洗いのように日常のインフルエンザ感染リスク低減対策の1つとして位置づけられることを期待します。

  • ※1 プラズマクラスターおよびPlasmaclusterはシャープ株式会社の商標です。
  • ※2 2010年11月9日現在。
  • ※3 東京大学が参画する「文部科学省 橋渡し研究支援推進プログラム」からの紹介と協力を得て実施。
  • ※4 治験薬の薬効を客観的に調べる臨床試験の方法。多数の患者に調べたい薬と偽薬とを投与し、だれにどちらを与えたかは患者にも医師にもわからないようにしておき、結果を統計学的に判定する方法。
  • ※5 昨シーズンのインフルエンザ発生は少なく、本試験でも発症件数が少なかったため、試験の結果は統計的には有意な水準であるp値片側5%には至っていませんが、傾向があると判断できるp値片側10%を確認しました。
  • ※6 技術の効能について、先端の学術研究機関と共同で科学的データを検証し、それをもとに商品化を進めるマーケティング手法。
  • ※7 三菱化学メディエンス(株)にて試験(吸入毒性試験、眼および皮膚の刺激性・腐食性試験)。

臨床でのインフルエンザ感染抑制効果検証方法と結果

<評価項目>
インフルエンザ感染症(新型および季節性)発症件数/合計観察日数

<試験施設>
透析病院(44施設、3,407患者)

<期間>
2009年12月1日~翌6月30日

<比較方法>
イオンありのエリアとイオンなしのエリアに区分けした二重盲検ランダム化試験

<イオン濃度>
10,000個/cm3

<統計手法>
コクラン・マンテル・ヘンツェル検定※8、並べ替え検定※9

<結果>
インフルエンザウイルス感染率約30%低減、p値片側10%であり有効性の傾向を確認。

  インフルエンザ発症件数 観察症例 合計観察日数
イオンありのエリア 9件 1,154例 219,057日
イオンなしのエリア 14件 1,274例 237,167日
  • ※8、※9 統計的検査手法。データ信頼性を判定する手法の1つ。

試験スケジュール

【図1】試験スケジュール

試験エリアのイメージ

【図2】試験エリアのイメージ

透析室

【写真1】透析室

東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻生物統計学 教授 大橋 靖雄

生物統計学者、疫学者。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻生物統計学教授、同研究科健康科学・看護学専攻疫学・予防保健学教授。臨床試験や疫学研究など活動は多岐にわたる。工学博士(東京大学)。

財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター 常務理事
NPO法人 日本臨床研究支援ユニット 理事長
スタットコム株式会社 取締役会長
NPO法人 日本メディカルライター協会 理事長
社団法人 日本臨床試験研究会 代表理事

財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター

心身の健康に及ぼすストレスの影響に関する研究並びに生命科学に関する研究及びその支援を行うとともに、その成果を国民の疾病予防及び健康増進に反映させることにより、国民保健の維持向上に寄与することを目的に、1984年設立。理事長は奥島孝康氏。

ストレス科学研究所と先端生命医科学研究所の2つの研究所を有し、健康増進事業(健康診断実施、健康度測定、健康指導)、臨床研究支援(がん(乳がん)臨床研究支援事業、骨粗鬆症至適療法研究支援事業、生活習慣病臨床研究支援事業、ヘルスアウトカムリサーチ支援事業)、広報事業(あらゆる疾病の予防、治療に関する啓発・教育情報の企画・制作・発信、疫学研究・臨床試験研究の推進と医療エビデンス作成支援)及び医学やメンタルヘルスに関する研究に対しての倫理審査を行っている。

プラズマクラスター技術の有害物質活動抑制効果実証一覧

対象有害物質 種類 実証機関
細菌 セラチア菌 米国 ハーバード大学公衆衛生大学院 
メルビン・ファースト名誉教授
大腸菌 (財) 石川県予防医学協会
大腸菌、白色ブドウ球菌、カンジダ菌 中国 上海市予防医学研究院
バチルス菌 (財) 北里環境科学センター
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授)
MRSA 
(メチシリン耐性 
黄色ブドウ球菌)
(財) 北里環境科学センター
(学) 北里研究所 北里大学北里研究所メディカルセンター病院
MDRP 
(多剤耐性緑膿菌)
(学) 北里研究所 北里大学北里研究所メディカルセンター病院
シュードモナス、 
エンテロコッカス、 
スタフィロコッカス
ドイツ リューベック医科大学
エンテロコッカス、 
スタフィロコッカス、 
サルキナ、 
マイクロコッカス
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授)
アレルゲン ダニ、花粉 広島大学大学院 先端物質科学研究科
ダニ 大阪市立大学大学院 医学研究科 分子病態学教室
真菌 クラドスポリウム (財) 石川県予防医学協会
ドイツ リューベック医科大学(増殖抑制効果)
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授)
ペニシリアム、 
アスペルギルス
ドイツ リューベック医科大学(増殖抑制効果)
アスペルギルス、 
ペニシリアム(2種)、 
スタキボトリス、 
アルテルナリア、 
ムーコル
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授)
ウイルス H1N1型ヒト 
インフルエンザウイルス
(財) 北里環境科学センター
韓国 ソウル大学
中国 上海市予防医学研究院
(学) 北里研究所 北里大学北里研究所メディカルセンター病院
H5N1型トリ 
インフルエンザウイルス
英国 レトロスクリーン・バイロロジー社
新型H1N1 
インフルエンザウイルス
英国 レトロスクリーン・バイロロジー社
SARSウイルス 英国 レトロスクリーン・バイロロジー社
ポリオウイルス (財) 北里環境科学センター
コクサッキーウイルス (財) 北里環境科学センター
(学) 北里研究所 北里大学北里研究所メディカルセンター病院
コロナウイルス (学) 北里研究所 北里大学北里研究所メディカルセンター病院
イヌパルボウイルス (株) 食環境衛生研究所


上記有害物質に対して、濃度3千個/cm3以上のプラズマクラスターイオンを照射して活動抑制効果を実証しました。

プラズマクラスター技術について

プラスイオン(H(H2O)n)とマイナスイオン(O2(H2O)m)を同時に空中へ放出し、浮遊する細菌/カビ/ウイルス/アレルゲンなどの表面で瞬間的にプラスとマイナスが結合して酸化力の非常に高いOHラジカルとなり、化学反応により細菌などの表面のたんぱく質を分解して、その働きを抑制する独自の空気浄化技術です。

プラズマクラスター技術について

酸化力の比較

プラズマクラスターイオンは、プラスとマイナスのイオンが浮遊ウイルスや菌に付着して化学反応し、酸化力の一番強いOH(水酸基)ラジカル(標準酸化電位2.81V)を生成して、浮遊ウイルスの感染力や菌の活動を抑制します。

酸化力の比較

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