My Home Town(旧風力発電と子育て日記)

観光と風力発電と子育ての日記です。

当日記の内容については風車ファン以外の無断での転載転用を固くお断りします。

犬吠埼沖に風車を建てると東電の電力を賄える件について

2011-03-28 20:35:01 | 風車日記
ツイッターやブログなどネット上で、今回の原
発事故を受けて、「犬吠埼の沖に風力発電用風
車を建てると東京電力管内で必要とする電力を
賄える」という話が流布されているようです。

対象エリア全体の風力エネルギーの賦存量の評
価としては間違いではありませんが、風力発電
の特性から考えると実際上はまったくのデマと
言われてもしょうがないでしょう。

年間の電力需要量(kWh)と風車での発電量(kWh)
を比較してもあまり意味はありません。
なぜなら、風が吹かない時は発電量はゼロにな
るからです。広い海域に風車を建てれば、すべ
ての風車で風速0m/sになる可能性は小さいで
すが、膨大な電力需要と比べればほとんど意味を
なさない発電しかできない時間帯があるのは当然
のことです。

こんなの子供でもわかることだと思ですが、東
京電力が都合の悪い話だから隠そうとしている
というオマケまでつけて拡散している人が多数
いるから困ったもんです。
実際には、この論文はネット上で誰でも見るこ
とができます。(私は一部しか読んでませんが)。

それから、「賄える」の反論として「夏は風が吹
かないから、風力発電は役に立たない」という意
見を散見しましたが、傾向としては正しいものの、
すべての場所がそういうわけではありません。

例えば、東伊豆町の町営風力発電所の8月の設備
利用率は平成16年(27.6%)、17年(15%)、18年
(10.9%)、19年(18.5%)、20年(21.4%)、
21年(17.6%)、22年(15.2%)となっており平
均で18%です。年によってバラツキが大きいのは
8月の風況を決める大きな要素が台風の発生件数
とその経路だからです。

この「賄える」を拡散している人の多くは「反原発」
の立場の方のようです。自分は風力発電を推進する
立場ですが、現在の災害に乗じて風力発電を反原発
に利用するようなやり方は好きになれません。

全原発を停止することになれば、当面の間は火力発
電に頼らざるを得ませんが、日本が化石燃料のほと
んどを海外に依存していることや、化石燃料の採掘
のために世界中で毎年、千人単位で亡くなる人がい
る現実をどう考えればよいのでしょうか。
また、温暖化対策や電気料金が値上がりすることに
よる、国際競争力の低下についてはどうするつもり
なのでしょうか。

考えなければならないことはとても多いですね。

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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (サトキ)
2011-03-30 22:38:49
数年前東京湾の千葉沖でどこかの方が検討されたがすぐに取りやめた。期待したのですがね。
犬吠崎から海をながめて、風力発電所の発想は湧いてきません。風力や太陽光で東京電力の発電量を上回ると本当に考えている人がいるのですね。終戦直後の首都圏の電力は100万kw程でしたが、今は6000万kw。どうしても新エネでは間に合いません。100w一個で過ごしたころに帰る覚悟があれば別ですが、東伊豆町のように1700の市町村が直営で2000kw 1か所建設してもらうほうが現実性はありますが。ガソリンや軽油は電気以外の燃料として使いたいし、電気は大事に使いたいものです。
Unknown (通りすがり)
2011-04-01 02:05:33
この話が気になって調べている中でここにきました。

問題の論文は以下のもののようです。
http://windeng.t.u-tokyo.ac.jp/ishihara/paper/2007-7.pdf

内容を読む限り、現実的かどうかはともかく、一応実現可能のようですね。
論文内容では「海岸からの距離 50km までの全海域を対象とした場合に, 風力エネルギー賦存量は年間 287TWh と 2005 年の東京電力の年間電力販売量とほぼ等しい」とあるので、話の元はここではないかと思います。
ただ「一応理論上は可能」ということで、実現するとなると、海岸から50kmの全海域という恐ろしい前提がないと不可能っぽいです。
一応論文内ではそのことも考えて、最も厳しく想定した海域の利用で100TWh/year強を示していますが、それでも実現するのは難しそうですね。
誤解を与えますね (kynthm)
2011-04-02 18:09:11
サトキさん、600~1500kWの風車を日本中にまんべんなく建設するというのがいいかもしれません。風況に対するリスクも分散されますね。石油は代替が難しいものに使って欲しいと思います。

通りすがりさん、風のエネルギー賦存量としては間違っていませんが、この情報が流布される元になった対談は風が吹かない時のことを考えるとちょっと誤解を与える内容ですよね。

機械技術は使いながら育てていくもの (Unknown)
2011-04-19 10:05:25
すべての機械は進歩します。
今の能力がこれから未来永劫続くことはありえません。
これは風力発電においても同じことであり、より研究費をつぎ込めばつぎ込むほど完成度は高くなっていきます。
以上の前提で自然エネルギーにまずは舵を切っていくことが大事です。
また、夜間の風力発電で得た電力をどこに使うかということを考えましたが、やはりまずは電気自動車への充電ではないでしょうか。
まだ先の話ですが、すべての車を電気自動車におきかえることができれば、夜間の余った風力発電を昼に消費する車のエネルギーにおきかえられ、その分の石油を火力発電に使えます。
原発次第 (kynthm)
2011-04-19 11:12:22
自然エネルギーに舵をきる段階で残念ながら日本はかなり遅れてしまいました。ただ、今からでも遅くはないでしょう。

夜間電気が余るというのは、現在のように原発をベースロードと位置付けているからですが、今後はそれもどうなるかわかりませんね。

今後のエネルギー政策も原発をどうするかということに大きく左右されそうです。
自然エネルギーは24時間営業 (Unknown)
2011-04-19 12:13:23
自然エネルギーは太陽光以外24時間営業なので、その割合が増えれば夜間の電力は余ってくるはずです。
バッテリーの性能 (kynthm)
2011-04-19 17:52:47
原発を減らしても夜間電力が余るほど、再生可能エネルギーが普及すればそれはすばらしいことです。

そうなった場合、揚水力発電の他にEVも重要なバッファーになりえると思いますが、そのためにはバッテリーの性能が現在の2倍ぐらいは欲しいところです。
自然エネルギーは24時間、でも休み有り (enutea)
2011-04-22 22:47:27
 太陽光発電は、夜は発電できません。
朝や夕方、曇りや雨の時、効率が落ちます。
日差しが強く太陽光発電パネルの温度が上がっても発電効率が落ちます。

 風力発電は、陸上において、普通は朝夕に"凪"があるはずですので、一時的に発電が出来なくなるはずです。
風が弱過ぎても、強過ぎても発電は停止します。
風が安定して吹かないと送電電力は、次々に変化して電力を送り出す為に接続している"配電線"の電圧や電流に影響を及ぼしてしまうため、何らかの設備で送電電圧や力率などを調節し、配電線に実質的な影響が出ないようにしているはずです。

発電設備は、送り出す電気の電圧が上がり過ぎたり下がり過ぎたら"保護装置"が働き、発電設備は配電線から切り離され停止し。
配電線の電力を利用している"需要家"には迷惑をかけない(つまり波及事故を防止する)のが原則です。

少し話がそれかかりましたが、
水力発電の場合も①長い間雨が降らずに"干ばつ"になる。②大雨が降り川の水位が上昇し、取水口と放水口の落差が取れなかったり、取水口に流木・塵芥が詰まったり、土砂が流入する等でも発電できなくなります。

多目的ダムの水力発電は、洪水調節と農業用水や水道利用という相反する利用目的がありますし、河川維持や観光、川や海の漁業協同組合からの要請にも対応する必要もあります。こういう諸条件をも達成しつつ1日の中で電力が必要とされる時間帯に出来るだけ発電(ピーク運転)します。

大きなダムのすぐ下流に"逆調整ダム"がある場合は、こちらで下流の河川に流す水を緩やかな変化になるよう流します。小水量で連続的な運転ができる発電になります。

ダムと異なり上流の"堰"等から取水し水圧鉄管などで落差を取り発電するものや、
農業用水や工業用水の水路や管路の途中に発電機を設置し水の流れで発電するものもあります。

ご存知のとおり、ダム式水力発電以外の発電電力は"流れに任せ"ている状態で
系統の電源が不足する場合の調節には利用できません。
原発は発電開始や発電停止、出力増減に相当時間が掛かります。
火力発電の場合、出力増減に1日や半日くらいの時間が掛かると昔聞きました。
ダム式の水力は、水が有って洪水等でなければ、直ぐにでも"増発"対応が取れます。
しかし、ダムの開発可能地点は既にほとんど開発され尽くしているので現状より簡単には増えません。
中小水力開発地点も採算割れ地点が多数のようです。

というところで、論点もズレつつ有りますし長くなりましたので、今回はこの辺で
小水力 (kynthm)
2011-04-23 09:33:59
論点整理ありがとうございます。

私の町には2,900kWの水力発電所が
あります。この程度の規模なら、まだ
開発余地があるように思うのですが、
実際の所はどうなんでしょう。
風力と違って設備利用率が高いのでこ
れくらいの規模でも小さな町ならかな
りの電力を賄うことができます。

これに町営風力発電1,800kWを合わせる
と発電量だけ見ると当町も全世帯分の
電気を賄えることになります。
凪(な)ぎ (kynthm)
2011-04-23 09:59:17
風力について1点追加。

朝夕の凪ぎですが、風速3m/s程度の穏やか
な日にはそこからさらに凪ぎの状態となる
ことは実感できますが、発電に適した風が
吹いている時は、朝夕の凪ぎというのは関
係無いように思います。風速10m/sの時に
ある決まった時間帯になると凪ぎるという
ことは無いですね。データを細かく分析し
たわけではありませんが、風車を運用して
いての実感です。

風力が間欠性のあるエネルギーであること
は当然のことですが。

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