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「どうやって」よりも「どうして」に目を向ける

大橋悦夫何か問題にぶつかると、それを解決するべく「どうやって」に目が向きがちです。
何かうまい方法があるはずだ、ということで「How」を探し始めるのです。

toodledohow

幸いにして「うまい方法」が見つかれば、めでたく問題は解決。前に進むことができます。

が、見つからなければ立ち往生してしまいます。

そもそも「うまい方法」が見つかるということは、

  • 誰かがすでに同じ問題に直面し、
  • 試行錯誤の末にこれを解決し、
  • その方法が探索可能な形式で保存されている

という条件がすべて揃っていることでしょう。さもなければ、自分で考えるしかありません。

逆に言えば、すでに「うまい方法」が発見されている場合には、あれこれ自分で考えるよりもまずその「うまい方法」を試してみる方が試行錯誤をショートカットできる、という意味では効率的です。

でも、これ自体は「うまい方法」ではありません。

どこかのタイミングで自分で考えることを通して「自分にとってのうまい方法」にレベルアップさせる必要があります。さもないと、飛んできた球を打ち返す以上のことができるようにならないからです。


「どうやって」よりも「どうして」に目を向ける

とはいえ、あらゆることについて自分で考えていたら時間がいくらあっても足りません。

ほとんどの問題は、既存の「うまい方法」で何とか切り抜けて時間を節約し、できた時間を自分で考えるべき問題のために使う、という切り分けが必要になります。

こちらでも取り上げた4象限でいえば「備え」に当たる部分が自分で考えるべきエリアと言えます。

» 時間の使い方を改めれば、好きなことに使える時間が増える



この「備え」のマトリックス、もともとは『成果を5倍にする ライブハックス!』が初出でした(電子書籍版はタイトルが変わりまして『今を大切にして成果を5倍にする「時間畑」の法則』)。

名前を付けることで、にわかに精細さが加わり、「今日は憂い多き一日であった」とか「すっかりやさぐれて憂さ晴らしに明け暮れる毎日だ」と、人間味も増します。

イメージしやすくなるわけです。

さらに、上記のマトリックスをご覧いただければわかるとおり、「憂い」と「備え」、「憂い」と「憂さ晴らし」、「備え」と穀潰し」という、各領域間における対立関係が浮かび上がってきます。

「備えあれば憂いなし」の通り、「憂い」を減らそうと思えば「備え」を厚くすればよいことがわかりますし、「憂い」を減らすことができれば自然と「憂さ晴らし」も減るでしょう。きちんと準備をしておくことにより、時間の浪費(穀潰し)を防ぐことができます。

「備え」(第二領域)の大切さが立体的に見えてきます。

たとえば、何かの事業を興そうとしたとき、すでに誰かがやっている事業をそのまま真似ても、勝算は薄いでしょう。

「どうやって思考」で臨む限りは、答えは見つかってもその答えでは勝てないのです。

代わりに必要になるのが「どうして思考」です。

たとえば、以下のようにです。

» 社長は25歳「最年少」、東証マザーズに上場へ

アルバイト求人サイトの「ジョブセンス」は、村上社長自身が高校時代のアルバイト探しで実感した不便さを解消しようと考案したのがきっかけ。

どうして自分はそれがしたいのか、という根源的な問いが前進の原動力になります。

英語の勉強やコミュニケーション能力の向上などは、「どうやって思考」の「うまい方法」で切り抜けた方が効率が良いかもしれませんが、それらを手段にして達成すべき目的については、じっくりと時間をかけてた「どうして思考」が必要です。

レビューすべきは「どうやったか」より「どうしてやったか」

毎朝、前日の記録を読み返して今日の過ごし方を決める、という日課を僕は持っています。

これを日次レビューと呼びます。

時間を置いてふり返ることで客観的に自分の時間の使い方をチェックすることができます。「うまい方法」で切り抜けるべきだったのにそうしなかったことを見つけ出し、次回(=今日)以降に改善を加えることで、自分で考えるための時間を捻出します。

このレビューには15分ほどかかりますが、これをせずに今日に臨むと、前日までの(間違っているかもしれない)やり方を踏襲することになってしまいます。

日次レビューにはもう1つ目的があります。それは自分の中に眠る行動の源泉を探り当てること。

記録を読み返す過程で「どうしてそれをやったのか」という自問を行うのです。無意識にやったことであっても、何か意図や理由や背景があるはずです。

先ほどの記事に「高校時代のアルバイト探しで実感した不便さを解消しようと…」という一文がありましたが、こうしたモチベーションは日頃から自分の中を意識的に点検していないとなかなか意識の上にのぼってこないものです(それが事業として軌道に乗り、人々の目に触れるようになったとき「あぁ、確かに自分もそれを不便だと思っていた!」という人が続出します)。

こうしたモチベーションを見つけるための「うまい方法」が日次レビュー、ということになるかもしれません。