第7回新横浜ユーザビリティ研究会

第7回新横浜ユーザビリティ研究会(ユーディット特集)

上記勉強会に参加してきました。この新横浜ユーザビリティ研究会は、浅野先生主催の他の勉強会に比べてメーカーやコンサルティングの人の参加が多いため、雰囲気がちょっと固め、アカデミックです。そして特定のテーマや企業についての特集になっており、今回はユーザビリティ界の大御所、ユーディットさんから3名の方が発表してくださいました。

最初にユーディットさんについて。

最近のノマドワーキングブームに先駆けて、以前からテレワークの可能性を模索し実践してきていたのは知りませんでした。素晴らしい。

「高齢者の慣れ」に関する長期的ユーザビリティ調査

今井さんの発表。

高齢化の現状

  • 一人で暮らすシニアが増える
  • 一人で情報機器をどのように使っているのか?

難しいところ

  • 短期記憶能力が落ちるため、数日前のことを覚えていないことがある
  • 質問の意味がわかってもらえないことがある
  • すぐあきらめてしまう
  • 体調が整わず、急に調査予定が狂ってしまうことがある

ウォシュレット操作パネルにおける長期的調査結果

  • シニアは慣れるまでに時間がかかる
  • 若い人は試して失敗を繰り返すが、シニアは不安からトライしない

設問設計

特に以前のことを振り返る「回顧的インタビュー」が行いにくい点は大変だなぁと思います。1週間のことをまとめて聞こうとしても覚えていないのだそう。まぁ高齢者でなくても、1週間前のことなど覚えてない確率が高いですが。その分、日記調査のやり方にも工夫を施し、書きやすい方法、忘れない方法を実践しているようです。

今回はウォシュレットの操作盤についての調査でしたが、個人的にはもっと「楽しみ」や「便利」が実感できるネットサービスの受け入れられプロセスについて調べてみたいと思いました。こうしたプラスのモチベーションがどこまでユーザビリティの問題を「相殺」する可能性があるのか。好きこそものの上手なれではないですが、興味を持ったものに対してどう学習効率が上がっていくのか、一方で興味だけでは乗り越えられないユーザビリティの課題はどういうところなのか、特定できればより効率的なサービス開発ができるかなぁと考えています。

自治体Webサイトの利用者調査

榊原さんの発表。

自治体Webの改善業務でやっていること

  • アクセス解析(特に検索ワード)
  • グループインタビュー
  • ユーザーテスト

ペルソナの作成

この自治体サイトのユーザビリティ問題、もうずっと長く議論されているんですが、なかなか良くなった実感がないですね。一個一個のサイト改善プロジェクトはよく聞くんですが、自治体ごとに全然別のメニューだったりレイアウトだったりと、クオリティがバラついているのが原因だと僕は思っています。せっかくコンサルが入ったりベストプラクティスが生まれている(と聞いている)のに、それが展開されていかないので、引っ越すごとに「あれはどこだ?」と探すことになったり、また予算がない自治体は微妙なデザインのサイトしか用意できず、訪れた方はげんなりしてしまいます。
個人的にいいなと思うのは、アスコエという団体が進めているユニバーサルメニュー化活動です。というか、最終的には全部同じレイアウトフォーマットにしてほしいです。地域の特徴なんかは、スキンやブログで出してもらえれば十分かと。
それに関して最近注目しているのが、自治体サイトをFacebookページ化してしまった武雄市です!始まったときは「行政サイトをいち企業のプラットフォームで?」と度肝を抜かれましたが、今のところ順調にまわっているようです。個人アカウントでもフォローしていますが、お知らせや活動状況などがニュースフィードによく流れてきて、他県ながらとても親しみが沸いてきました。アイコンを子供の笑顔にしてるところとかニクい。
樋渡市長は当選時36歳?このインタビューを読むと、市長というよりネットサービスの経営者のような印象です。
ユーディットさんなら、こういった運用に対してどう回答するのでしょうか?音声読み上げができないからNG?興味があるところです。個人的には行政と市民との関係を変えたイノベーションだと思っているので、絶賛応援したいと思っています。