十和田観光電鉄(青森県)は24日、国土交通大臣宛に鉄道事業廃止届出書を、東北運輸局長宛に鉄道事業休止届出書を提出したことを報告した。同社が所有する鉄道路線は今年4月1日より休止し、来年1月31日をもって廃止されることになる。

十和田市駅周辺の再開発計画も影響し、十和田観光電鉄線は4月1日から休止することに

十和田観光電鉄線は、十和田市駅と青い森鉄道と接続する三沢駅を結ぶ14.7kmの路線で、1922(大正11)年に開業。1970(昭和45)年度に輸送人員が165万人を記録したが、以降はモータリゼーションの進展や沿線人口の減少などの影響を受け、2010年度の輸送人員は約46万人。ピーク時の28%程度まで落ち込んでいた。

これまでに駅無人化やワンマン運転などの経費削減策のほか、集客イベントの実施や企画きっぷの販売といった増収策も実施したものの、2010年度は2,331万円の赤字に。さらに、現在の老朽化した施設の機能を維持するには、今後10年間で総額7億2,000万円程度かかると見込まれている。

同社は鉄道事業の存続協議および設備投資への追加支援を要請していたが、昨年10月、十和田市、三沢市、六戸町より、全面的な支援はできないとの回答を受けていた。

同社単独での運行維持は困難となることから、昨年10月11日に行われた十和田観光鉄道活性化協議会の臨時総会にて、鉄道事業からの撤退を表明。関係市町村や利用者代表などから代替バスの承認を受けたため、このほど国土交通大臣宛に鉄道事業廃止届出書を提出したとのこと。

また、十和田市駅周辺の再開発計画にともない、今年4月1日から十和田市駅舎が使用できなくなるため、同社は東北運輸局長(国土交通省)宛に鉄道事業休止届出書を提出。十和田観光電鉄線の休止予定期間は2012年4月1日~2013年1月31日。廃止予定日は2013年1月31日となる。