在仏日本人や日本好きフランス人の間で静かに広まりつつある食べ物がある。その名も「ドラゴン納豆」。
南仏ドラギニャンという町で作られるオーガニック納豆だ。納豆といえば、まず外国人が日本食材で苦手にするものの一つと思われがちだが、なぜフランスで、しかもフランス人が納豆を作っているのか。早速、取り寄せてみた。

じつはドラゴン納豆、店頭では取り扱っていない。毎週金曜までに受けたオーダー分の納豆を週末に製造し、週明け月曜に各家庭へと発送する完全注文生産方式を採っている。価格は1パック150グラムで3.6ユーロ(約366円)。
最小3パックより注文可能だ。送料は15パックまで4.5ユーロ(約458円)。フランス国内だと発送から約2~3日で到着する。日本の価格と比べれば高いが、フランスの日本食材店で日本産の納豆を購入しても、大手食品メーカーのものが3パック各30グラム(計90グラム)で3.4ユーロ(約346円)なので、有機農法や手作りということを考慮してもお値打ちだ。

早速届いた段ボールを開けてみると、ナットー・ドゥ・ドラゴン(ドラゴン納豆)のロゴと一緒に、原料の大豆をむいている龍のイラストが描かれていた。パッケージには納豆に馴染みのないフランス人へ向けて「醤油とマスタードとネギを加え、しっかり混ぜたら、さあ出来上がり。
穀物類やサラダと合わせたり、細かく切ってフレンチドレッシングに入れましょう」と食べ方の説明もある。有機農産物の認定マークもしっかりと刻印。今回はスタンダードに白飯にのせる形でいただいた。

納豆を口へ運ぶと、手作りの素朴さがダイレクトに伝わってくる。これぞ納豆の味。よく日本の店頭に並んでいる、においに配慮した商品や、納豆が苦手な人でも食べられるように納豆のクセをマイルドにした商品とは少々異なる。
しかし、素朴といえども日本の“通常”の納豆と味が微妙に違うのは、南仏ドラギニャンのテロワール(風土)が表現されているためか。

ちなみに、フランス人はどのようにして納豆を食しているのだろう。ドラゴン納豆によれば、納豆ご飯の他に海苔納豆パスタ、ジャガイモとネギを加えた納豆ミソスープ、納豆入りサラダドレッシング、薄切りトマト・黒オリーブ・ハツカダイコンと合わせた納豆カナッペ等が、おすすめの調理法として提案されている。

平成24年は辰年。ドラゴン納豆提案のフランス流納豆アレンジで、新年の食卓を彩ってみてはいかが。
(加藤亨延)