SNSでよく見るテレビ番組のキャプチャー画像、著作権上の問題は?
何気なく行われていることですが、実は……?
最近、出版社に無許可で漫画を配信するサイトが物議を醸しています。以前から音楽やアニメについても同様の議論があり、コンテンツの違法配信はもはや特定のサイトに限定できる問題ではありません。
例えば、Twitterやブログなどに、録画したテレビのGIF画像を投稿している人もいます。TVアニメ「ポプテピピック」や「恋ダンス」などは、よく見かけるように思います。実際のところ、テレビ番組の画像や動画をインターネットにアップロードするのは法的に問題ないのでしょうか?
テレビに関する著作権
テレビ番組の著作権はどうなっているのでしょうか。NHKのWebサイトにはこう書かれています。
「テレビ番組は著作権法では『映画の著作物』になります」
「テレビやラジオの番組の画面や音声をパソコンに取り込んでインターネットに流すことは、著作権者、著作隣接権者の『複製権』や『送信可能化(インターネットでアクセス可能にすること)権』に抵触します」
(出典:NHKオンライン|放送番組と著作権)
つまり、テレビ番組は、制作したスタッフやドラマの原作者、出演者などによる「映画の著作物」として保護されており、その「画面や音声」をネット上に流すと著作権に抵触するというわけです。
この「画面や音声」というのは分かりやすいようで、実は微妙な表現です。著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています。
例えば、「東京の適当な街並みを何の工夫もなく撮影しただけのテレビ映像」があったとしましょう。それをキャプチャーしてネット上で使用した場合、「思想や感情が創作的に表現された著作物」を流したといえるでしょうか。キャプチャーそれぞれが著作権の侵害にあたるかどうかは、議論の余地があります。
とはいえ、わざわざアップロードされるようなシーンには、有名人が映っていたり、映像のハイライトとなる部分が含まれていたりすることが多いはず。基本的には、著作物を流していると考えてよいでしょう。
「引用」であれば問題ない
著作物を勝手にインターネットに流すと「無断転載」となり、著作権に抵触します。
しかし、例外的に、テレビ局などの著作権者に断らず作品を使用してよい場合がいくつかあります。報道や学校教育目的の使用もありますが、一般人の多くが利用できる形態は「引用」です。
文化庁によれば、引用には7つの要件があり、これらを満たした場合は例外的に著作権・著作隣接権を侵害したことになりません。それぞれの要件をざっくり解説してみましょう。
1.すでに公表されている著作物であること
そもそも一般人が、公表前の番組を入手することは困難。今回はあまり気にしなくてよい問題です。
2.「公正な慣行」に合致すること
要するに、「示している他の6項目を満たし、業界のさまざまなルールにも従おう」ということ。ですが、どこまでを公正な慣行とするかには議論があります。
3.報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
著作物の内容や作者の誹謗中傷、デマの流布などを目的とした掲載は、正当な範囲を超えており、「引用」と見なされない可能性があります。
4.引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
引用は、あくまでも補助的に行うもの。自分で創作・研究した部分の内容や分量がメインでなければ、「引用」とは認められません。ただし、どのくらいの比であればよいかは、場合によって異なります。
5.カギかっこなどにより「引用部分」が明確になっていること
自分の文章や作品と、引用したものとの境界がハッキリ分かるような形式で引用されていなければならない、ということです。この記事内にも引用部分がありますが、基本的には以下のように示しています。
――――――(引用文・他人の発言など)
出典など(ここは7.の「出所の明示」に関わります)
6.引用を行う「必然性」があること
引用しなくても、引用部分以外の内容や分かりやすさに影響がない場合は対象外とされます。簡単に言うと「どうしても必要なときに、最小限で引用しましょう」ということです。
7.「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
先の5.「カギかっこなどにより『引用部分』が明確になっていること」を参考。
以上を踏まえて考えてみると、Twitter上に個人が投稿しているテレビ番組の画像、映像は、ほとんどが引用の要件を満たしていない無断転載だと思われます。
ブログで長々と批評・考察を書き、形式も守っている場合、引用と認められる可能性があります。しかし、Twitterでは複数ツイートにまたがっていない限り、自分で書く分量は基本的に140字以下しかありません。また、単に「このシーンが面白かった」「この俳優さんがかっこよかった」と思って投稿しているだけで、批評・研究を目的としていないケースが大半なのでは?
テレビ番組の映像・画像をネット上に載せるのは絶対にNG……というわけではありませんが、引用の要件を満たしておらず、著作権に抵触しているケースはかなり多いはず。なお、著作権だけでなく、肖像権の問題から違法になることもあるのでご注意ください。
しかし、無断転載の量に反して、「著作権を侵害しているので賠償金を」「裁判で訴えます」と法的トラブルになった話はあまり耳にしません。著作権侵害を問うために裁判を行うと費用も手間もかかりますから、テレビ局側が見て見ぬふりで済ませてしまうことが多いのでしょう。
ただし、もし自分が投稿したテレビ番組のキャプチャー画像、映像などに対して削除依頼が来たら、引用の要件を満たしている自信がない限りは従った方がいいはずです。
参考文献
作花文雄『詳解 著作権法(第4版)』ぎょうせい、2010
吉田大輔『全訂版 著作権が明解になる10章』出版ニュース社、2009
北村行夫『新版 判例から学ぶ著作権』太田出版、2004
公益財団法人 日本写真家協会著作権委員会編『写真著作権 第2版』太田出版、2016
関連記事
- 「16×4は?」「68−4だから64」 小学1年生の掛け算の計算方法が斬新だと話題に
発想が見事。 - 30代以上しか知らない? 「平成の米騒動」ってなんだったんだろう
30代以上「あったなあ……」 20代以下「何それ?」 - なんで僕たちはシングルCDをあんなに買うお金があったんだろう
「3枚同時発売!」とかありましたね……。 - 21年前のワープロ「書院」で2018年にインターネットをしたら、無間地獄に突入した
ネット機能を搭載した21年前のワープロで、2018年のネットの世界を見てみました。 - ビル・ゲイツもジョブズも知らない女子高生、「はじめてのパソコン」を買う
父と娘のパソコン奮闘記、始まる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
彼女が「ほんまやめて」と嘆く“彼氏の撮影”が1231万表示 電車で見ちゃダメな傑作に「歯磨き中に吹いた」「どう撮ったらそうなるの?」
-
夜道をさまよう子犬を見た、幼い息子の一言に「ハッとします」「何度見ても涙が…」 天使のような優しさに95万再生の反響
-
四肢欠損症のママタレント、第1子出産時に受けた“心ない言葉”明かし悲嘆「心がとても痛みました」「私は甘えたのではない」
-
1歳娘、海外赴任帰りのパパを見た瞬間…… 涙なしには見られない“再会”に「かわいすぎる!!」「よかったねえええ」
-
【今日の計算】「7−7×7+7」を計算せよ
-
土を使わずペットボトルでイチゴを育てたら…… 225日後の夢のような光景に「とんでもなかった!」「アイデアの勝利ですね」
-
大雨の中ソロキャンしてたら思わぬ客が…… そばを離れず寄り添う姿に「楽しさ100倍やん笑」「優しいひとには寄ってくる」
-
83歳・巨人OB張本勲の“激変”姿に驚きの声 「一気にお爺さんになった」「人間ってこんなに激変するものなのか」
-
浅野温子、金髪ボブの“激変”姿が話題 デコルテ露出のタイトなドレス姿に「かっけー」と注目の声も
-
子犬のころはタヌキのようだった愛犬、成長すると…… 激変のビフォーアフターに「1匹で3度美味しい」「かわいい事に変わり無い」
- 「これを見つけたら緊急事態」 農家が恐れる“生えると危険な雑草”の繁殖力に「悪いやつだったんですね」「よく食べてました」
- 「虎に翼」、ヒロインの弟役が初登場 演じた人物のギャップに驚き「同一人物なのか?」「朝ドラにも出るの凄いな」
- 【今日の計算】「9−9×9+9」を計算せよ
- スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
- YUKI、大胆なスリット入った近影に驚きの声 「52歳なの意味わからんな」「ここまで変わらないって本当凄い」
- 誰にも懐かないボス犬を、1歳娘が散歩へ連れて行くと…… 従えて歩く驚きの光景に「あの狂犬が…」「凄い…凄すぎる」
- 晩酌中、ふと机の下をのぞいたら…… 背筋が凍える光景に反響続々「皆様は覗かないようにしてくださいね」
- 小林麻耶&國光吟、600万円超する“新型外国車”購入に「中古で売る時の値段は考えてません」 高額iPadもゲットで生活フルエンジョイ
- 真田広之の俳優息子、母・手塚理美と“超大物司会者”に対面 最新ショットに「ご立派な息子さん」「似てる雰囲気」
- 「トップバリュを甘く見てた」 ジョブチューンで審査員大絶賛の“マストバイ商品5選”に反響 「買ってみよ」
- 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
- 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
- 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評