マーケティングにおいて何かをひもとこうとすれば、誰もがたどり着くのがマーケティングの大家、フィリップ・コトラーの著作であろう。この地球上で、マーケティングの全領域を網羅する著作を有する識者はコトラーただ1人だと筆者は認識している。

 筆者は学生時代にコトラーを学び、マーケティングの実務に携わるようになってからはその理論を実践する機会に何度も出会ってきた。さらに最近、フィリップ・コトラーの解説書を作るという少々勇気のいる仕事も手がけた(『コトラーのマーケティング戦略』、PHP研究所)。それらを通じて改めて痛感したのが、日本のCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)におけるマーケティング理論の不在、あるいは軽視という現実である。

  • 第1回 出だしでつまずいた日本のCRMシステム
  • 第2回 コンタクト・マネジメントを学ぶ機会を失ってきた日
  • 第3回 CRMとは何か?顧客リレーションの論理
  • 第4回 顧客関係醸成のプロセスと手法を学ぶ
  • 第5回 コミュニケーションのIP化の影響
  • 第6回 間違いだらけの顧客リレーション醸成
  • 第7回 インターネットとマーケティング
  • 第8回 チャネル/メディアでのミックスを考える
  • 第9回 ミステリー・ショッピングの可能性
  • 第10回 サービスの本質をとらえ直す
  • 第11回 ITに傾斜しすぎた販路開拓
  • 第12回 あくまで目的を実現するのは人や組織