アジアビジネスで成功する25の視点 (PHPビジネス新書)

アジアビジネスで成功する25の視点 (PHPビジネス新書)

アジアビジネスで成功する25の視点 (PHPビジネス新書)


すっかり読書のペースが落ちているが、まぁいいや。


この本も何で手に取ったのか忘れたけど、たぶん何かの暇つぶし用だったと思います。


「HARVEYROAD WEEKLY」という会員制レポートに記載された記事を再構成したもので、ASEAN進出の事例をトピックス的に分析というか紹介している感じで読み物としては取っ付きやすいです。


震災後の刊行だからか、若干ニッポンびいきというか頑張れニッポン的なニュアンスがリアリティを削ぎ落としてる部分もあるように見受けられるのですが、元記事が2009/6-2011/2ぐらいみたいなのでタイムラグの問題ですかね。


日本企業がASEANでどう頑張っているか、みたな話も面白いのですが、参考になるのは日本以外の企業がどのようにASEANを攻略しているか、という話。


新聞読んでれば知ってるでしょぐらいのレベルなのかもしれませんけど、自分に取っては意外と初耳な話が多く、どちらかという反省気味です。普段のフォーカスがニッチすぎることを言い訳には出来ませんよね。


P.186のあたりの差別感情という話、これは根が深そうというか教育の話ですよね。家庭内教育だけでも何とかしないと、というかそえ以前に自分自身が適切な国際感覚を身につけないと。。。


メモ:

  • P.56 中堅中小企業の海外展開は、追随型から自立型へ。中略。その背景にあるのが東アジアの広域フラグメンテーションの広がりです。中略。経済用語としてのフラグメンテーションは「分散立地」。中略。東アジアには東西回廊、南北回廊と呼ばれる高速道路網が出来上がり、物流の効率化が進んだ事にくわえ、FTAEPAなど自由貿易が急速に進んでいるため、広域フラグメンテーションが劇的に加速をしています。


  • P.64 香港が賑わっている理由は、メインランドからの観光客の増加。03年以降、香港への旅行解禁となる都市が年を追うごとにふえてきたこと。


  • P.72 日本の衣料品市場の内訳。12.5兆円の中身は、点数で見ると海外からの輸入品が95%、金額ベースで見ると輸入品は70%。金額にすれば4兆円。
    • この比率で中国市場を見るとすごいことになる。


  • P.124 ある日本のエレクトロニクスメーカーでは、韓国に本社を置き、韓国の会計基準にしたがって決算をしたら決算書の中身がどれだけ変わるのかをシミュレーションしたそうです。詳細は明かしてはくれませんでしたが、サムスンとの業績格差は「相当程度埋まる」と豪語しておられました。


  • P.141 もはや政権運営の巧拙どころか、党内抗争で自滅寸前の民主党政権やそれを好機と政局に走る野党の姿を目の当たりにすれば、「日本は民主化で何を得たんだ」との問いに積極的に答えたいという意欲は失せてきます。


  • P.158 家族ぐるみの付き合いまでできるようになれば、中国人は信用できます。中国人は計算高いけれど、人間関係の深まりがある一線を超えた瞬間、計算が入り込む余地のない、血の通った人間関係ができあがります。日本ではもはや得難い人間関係です。
    • これはうちの家族構成の観点から日々痛感しています。利害を超えた人脈がないとビジネス上の成果を出せない厳しい世の中ということか。


  • P.175 日本人技術者には想像もできぬ中国人作業者の悪辣非道な不正行為を中国人技術者は次々とあげつらい、それらを抑止するシステムを次から次へと開発していったのです。その結果でき上がったコマツのGPSは世界最高のセキュリティ機能を備えたシステムへと昇華。中国国内で開発したシステムが、先進国に逆上陸、世界のどこでも売れるグローバルヒット商品となったのでした。GEに先んじたコマツの「リバース・イノベーション」です。


  • P.186 BRICSは勿論、インドネシアもタイもフィリピン、ベトナムも貧しいばかりだと思い込み、先進国である日本とは未来永劫に並ぶことの無い国々であるという差別感情があなたの心の奥には存在していないでしょうか。


  • P.216 「より良い生活をより多くの人々に(IKEA)」この理念がロシア人の笑顔を造り出し、北京の昼寝を許容させてもいるのです。企業理念は言葉としての価値ではなく、それをビジネスチェーンのすべてにわたり、どこまで深く浸透させる事が出来るか。それがポイントです。


2011年06月10日のできごと