【12月23日 AFP】自閉症の子どもは、脱いだ靴を見失ったり八百屋でリンゴを見つけられないなど、視覚的に物を探し出すことに困難があり、そのため日常的な生活能力が弱体化しているとの研究を、英ブリストル大(University of Bristol)の研究チームが20日発表した。米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)の最新号に掲載される。

 これまでの研究では、自閉症児では視覚探索能力が発達しているとの結果が示されている。研究チームは、実生活レベルでの実験で、この学説の真否を確かめた。

 研究チームは、子ども40人(うち半数が自閉症児)を対象に、一室内で目標物を探してもらうという実験を行った。従来のようなコンピューターを使ったり卓上で行う実験より、実生活を反映した結果が出るという。

 なお、「自閉症児は体系の中に潜む規則性を見出しやすく、規則性に敏感である」との最新理論を確認するため、目標物はあちこちに置くのではなく片側に寄せるように置いた。

 実験の結果、自閉症児の間に「系統立った」行動はさほど認められず、目標物の捜索においては非効率的で混乱する傾向が見られた。これは、自閉症児は実生活では、物を効率的に探すことができないことを示唆している。目当ての物を効率的に見つけることは、自立した生活を送る上では不可欠な能力だ。

 自閉症児はなぜ、動物園でお目当ての動物を探し当てることにも困難をおぼえるのか。こうした謎は、今回の研究結果で説明できるかもしれないという。(c)AFP