人間誰しも、というほどではないかもしれませんが、できるだけ正直であろうとするのが一般的な心情ではないでしょうか。しかし、自分をさらけ出すことや、そうすることで他人にどう思われるかを恐れる気持ち、またそれ以外の感情によって、正直でいられない時もあります。しかし、アンケートなどをお願いする側にとっては、なるべく正直な気持ちで当ってほしいもの。

他人から正確な情報を引き出したいという時は、最初に名前を記入してもらうと、正直であらねばならないという気持ちにさせやすいそうです。この興味深い現象に関する、ノースウェスタン大学の心理学者Lisa Shuさんの研究結果が「Wired Science」に載っていました。
署名をすることによって、不正や偽りを抑制する効果があるかを調べるために、Shuさんの研究チームは、101人の大学生と社会人を対象に、2つの自己申告的なタスクをやってもらいました。1つはお金と引き換えに数学の問題を解いてもらうこと。もう1つは建て替えた金額の払い戻しを申告するというものです。それぞれのタスクで、被験者はフォームに記入します。フォームは、最後に署名をするものと、最初に署名をするもの、まったく署名をしないもの(無記名)を用意しました。最初に署名をするものでは、解答の間違いも、払い戻しの額も、他のグループの結果より正確であったそうです。

人に正直であるように仕向ける方法を発見したのは、Shuさんの研究が最初ではありません。デューク大学教授Dan Arielyさんのベストセラー『予想どおりに不合理』の中で、テストでのカンニングを防ぐ10のおきてについて紹介しています。この内容は、Shuさんの研究とほぼ同じようなもので、相手に正直であるよう求めるやり方です。

率直な意見や正確な情報が知りたい場合には、「まず署名してもらう」という簡単な方法を、ぜひとも試してみてください。

Signing Forms at the Top Makes People More Honest | Wired Science via GOOD

Adam Dachis(原文/訳:的野裕子)

Photo by Ken Teegardin.