6月21日にウィルコムから発売され、同社初のAndroid OS採用端末として注目を浴びた京セラ製スマートフォン「DIGNO DUAL WX04K」(以下、DIGNO DUAL)。デュアルコアCPUを採用し、ワンセグや防水機能を備えるなど、他社のミドルクラス並みの性能を持った機種だが、その最大の特徴はソフトバンクがMVNOとして提供する3G回線を利用した定額データ通信サービスと、自社のPHS回線を利用した定額通話サービスにある。
その特異な仕様から発売前より大きな注目を集めていたが、3G+PHSによる“全方位定額”という「いいとこ取り」の戦略は成功したのだろうか。実機レビューの第1回である今回は、購入前に注意すべき点や端末の仕様、MNPの可否などについてチェックしていこう。
DIGNO DUALは基本的に「PHS」として契約することになるため、これまでウィルコムのPHS端末を利用してきた人ならそのまま問題なく機種変更が可能だ。ただし、PHS回線だけでなく3G回線の2契約が必要となるため、購入時に契約書を2つ書くことになる。店頭などで混乱することのないように留意しておこう。
またDINGO DUALでは、従来のウィルコム端末で使用されていた「〜@pdx.ne.jp」「〜@xx.pdx.ne.jp」「〜@willcom.ne.jp」ドメインのメールアドレスが使えなくなり、新たに「〜@wcm.ne.jp」から始まるドメインが提供される。
それまでpdxドメインを利用していた場合は、オンラインサインアップからメールの転送設定を行う必要がある。2012年8月現在はDIGNO DUAL本体からも「My WILLCOM」にアクセスすることで転送設定が可能になっているが、Gmailなどの外部メールサービスをすでに利用しているなら、機種変更前に任意のメールアドレスへ転送設定を済ませておくといいだろう。
また「ライトメール」が使えなくなる点も要注意だ。ライトメールはPHSの電話番号を使ってショートメッセージを送受信するウィルコム独自のSMS機能。ほとんどのPHSを相手にして短文のやりとりができるが、PHSの機能が音声通話のみに絞られたDIGNO DUAL WX04Kでは利用できなくなった。
その代わりに、3G回線の電話番号を利用したソフトバンク網によるSMSが利用可能になっている。ドコモやauの端末とのSMSによる相互通信が可能になるが、これまでウィルコム同士でライトメールを利用してきた人は、機種変更を行う前にライトメールが使えなくなる点を十分に考慮しておこう。
DIGNO DUALのパッケージには、端末本体のほかに各種取扱説明書(クイックスタートマニュアルなど)、3G通信用のMicroSIMカード、ACアダプター、イヤフォン変換ケーブル、リチウムイオンバッテリー、microSDカード(2Gバイト)、保証書と注意事項が書かれた説明書などが同梱されている。
これまでのPHS端末と大きく異なるのは取扱説明書で、従来のような数100ページに渡るような分厚いものは同梱されていない。両面印刷された1枚のクイックスタートマニュアルと50ページ強の「お願いとご注意」だけを頼りに端末を利用する事になる。
持つだけで読みたくなくなるような分厚い取扱説明書がないことはメリットでもあるが、初めてAndroidスマートフォンを利用する人にとっては分かりづらさの理由ともなる。購入の際は、Androidスマートフォンの利用方法などをあらかじめチェックしておくと混乱を避けられるだろう。また同梱されたクイックスタートマニュアルは非常に分かりやすく使い方を解説しているので、既にAndroid端末を利用したことがある人でも一度しっかりと読んでおくことをお勧めしたい。
ACアダプターは汎用のmicroUSBタイプなので、市販のスマートフォン用充電器なども利用できる(ただし利用は自己責任)。PCなどと接続するUSB⇔microUSBケーブルなどは同梱されていないので、PCとのデータ同期や音楽データの取り込みなどを行いたい場合は、あらかじめ市販のケーブルを購入しておくと良いだろう。
SIMカードスロットは背面カバーを開けバッテリーを取り外したところにある。SIMカードはMicroSIMサイズで、通常のSIMの半分ほどの大きさ。非常に小さなカードなので、紛失しないためにも必要がない限り抜かない方がいいだろう。
SIMカードを抜いて使用した場合、3G回線によるデータ通信と音声通話ができなくなるが、PHS回線での通話や各種アプリの利用、また通信が必要なアプリやインターネット閲覧なども、Wi-Fi環境があればほとんどのものが使用可能である。ワンセグ視聴も可能だ。このあたりは非常に自由度の高い設計だと言える。
誤ってSIMカードを抜いてしまうことはほとんどないと思われるが、万が一抜いていたとしてもロック画面で大きく警告表示が出るほか、画面上部のピクトエリアにもSIMカードが挿入されていないことを示すアイコンが表示される。
DIGNO DUALの契約時には、すでに持っている携帯電話番号をMNPで移行させることが可能だ。当然ながらMNPできるのは3G回線のみで、PHS回線は新規契約か機種変更になる。3GケータイとPHSの2台持ちをしているなら、MNPと機種変更を使って1台のDIGNO DUALに電話番号を集約できる。なおソフトバンクモバイルの端末からDIGNO DUALに買い換える際も機種変更ではなくMNPになる(形式上、別のキャリアに移ることになる)。
もちろんDIGNO DUALからのMNPで転出することも可能だ。ただしその場合はPHS回線も連動して解約か機種変更の扱いになるため、DIGNO DUALは回線契約ナシの状態になる。3Gだけ、あるいはPHSだけでDIGNO DUALを運用することはできない。
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