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湯浅 誠さんからのメッセージ(2) 『若者を追い詰める"ブラック企業"』

2012年10月22日(月)

10/23放送の
「シリーズ貧困拡大社会 若者を追い詰める“ブラック企業”」
ご出演いただいた湯浅 誠さんに収録の感想を伺いました。

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湯浅 誠さん
(反貧困ネットワーク事務局長)

 

 

 


 

Q.新卒切り(※1)や、酷い環境で仕事をさせて使い捨てる企業が
徐々に増えていることに対してどう考えますか?

多くの場合、それは解雇という扱いにはならないですよね。
その人たちは辞表を書かされて自分から辞めていったという
形にされてしまうんです。

先ほど、
3年経たないうちに辞めてしまう若者が多いと
言われることが一般には多いけれど、
実態としては企業が3年以内に辞めさせてしまっている
という見方もできるのだ

と申し上げたかと思いますが、
彼らは実際、統計上3年以内で辞めていった人たちの方に
カウントされてしまうわけです。
酷い労働環境のもとで働かされて、
辞めざるをえなくなったにもかかわらずです。

それは辞めた本人たちに
「我慢強さがなかったからだ」
と責めに帰すべき問題なのかといえば、
そうではありません。

また、職場から退場させてもその人は消えてなくなるわけではなく、
結局は企業もその人もひとつの社会の中で生きていくしかないんですね。
企業からすれば社会全体の問題をリアリティーを持って考えるのは
難しいのかもしれないですが、
このように全体論として捉えていかないと、
この話はなかなか解決しない。出口がないと思います。

 

Q.出口がないというのはどういうことですか?

例えば工場の中は清潔だけど排水を外に垂れ流していた、みたいな話で、
じゃあその外には誰がいるのかというと
結局は自分もそこで生活しているわけです。

企業利益が上がったから
世の中全体がプラスになるのかと言えばそういうわけではなく、
その負のコストを実は自分も背負っているのかもしれない。
全体で見ると結局自分の生活に対してプラスなのかマイナスなのかは
株価を見ているだけではわからないわけです。

そういう全体的見方を身につけていくことが必要ではないでしょうか。
目の前からいなくなってしまえば問題解決というような
偽の解決法で納得することは、
自分と社会をごまかしているということになりかねないと思います。

 

Q.ブラック企業で苦しんでいる若者に対してメッセージをお願いします。

そうした企業で苦しんでいる多くの人が、
「自分より大変な人はたくさんいるんだから、
もっと自分が頑張らないと、我慢しないと」
と思っているのではないでしょうか。

でも私は、あえてそこで発想の転換をお願いしたい、と言いたいです。
なぜなら、あなたがそこで我慢することが
悪質な労働環境を温存させることになり、
労働環境全体をさらに悪い方向に
向かわせてしまっている可能性があるからです。
もしかすると、あなたが我慢することで、
(あなたも含め)大変な人をもっと大変にさせているのかもしれないんです。

他人に迷惑をかけまいと頑張っているのに、そのあなたの我慢が、
実は他の人を支えるどころか、
むしろ他の人たちをも引きずり下ろしてしまいかねないという
結果につながっている。

そう考えると、我慢の意義がよくわからなくなってきますよね。

だから、あなた自身が我慢しないで、
おかしなことはおかしいときちんと口に出して言ったり、
労働組合を含めたいろいろな専門機関に相談したりする方が、
実は結果的に、自分や、自分より大変な人たちを支えることにもなる。

今苦しんでいる若者たちに、もっと声を上げてもらえたらと思います。

 

Q.なぜ発想の転換ができずにいる人が多いのだと思いますか?

心のどこかで「声を上げてもしょうがない」と思っていたり、
そんなことで職場と揉めて自分のやりたい仕事ができなくなるくらいなら、
自分が耐えればいいんだと思っている人が多いからではないでしょうか。

自分より大変な人はいっぱいいる、まだ自分はましな方なんだ、
仕事があるだけありがたいと思えば思うほど、
実はより大変な人たちにしわを寄せていっているんですね。

本人に悪気がなくても。

なので、一度発想を変えてみてほしいと思います。

 

※1
就職したばかりの若者を「正当な理由」のないままに、解雇すること。

コメント

「若者」と一言で言ってもその内情は千差万別では無いでしょうか?
例えば資産家の子供と貧困層の子供ではそもそも持っている余力自体違い、不当な雇用条件や環境に対して声を挙げた際のデメリットへの恐怖も差があると思います。
万が一失業し、一定期間職に就けなかった際にそのまま生活保護という流れに陥ってしまう人は声を挙げるのにどれだけの勇気が必要でしょうか?
社会全体の事を考え、不当な状態に声を上げるという事の必要性は感じますし重要な事だと納得は出来ますが、本質的な社会的弱者の意味合いを考え、それらも踏まえての提案を聞いてみたい気もします。

投稿:トト 2013年02月12日(火曜日) 01時42分

法律すれすれのセーフライン
人を人ではなく物の扱い

いじめと変わらない
そりゃそうさ 学生時代に自分の邪魔になるやつの

人生駄目にしてるのどんだけいんの
思春期のいじめと変わらない
でも逆手にとると
衣 食 住 をできる 有り難みを知らなきゃだめみたいな
雰囲気にも生活で感じる
100円があるだけでもあー一日今日生きれるなあって
という見直しかたができてきた
このままだと経済も人力がつきたとき悪化していくのではないか
20代30代は今はなんとか耐えてる人たちが 10年後の姿を考えると
体力も持つだろうか?
後継ぎがいなくなる
そんなことも免れない

人権と労働を差の内容に同時進行できたらまだ明るい気がする

学生時代に学歴をつけて将来の姿に夢をみてあがってきた若者や労働者の夢をけしている
雇用のバラエティーが多すぎる 少なすぎても問題

今はなんとか衣 食 住ができたらそれでいいと想える思考です

投稿:mitsu 2012年10月31日(水曜日) 08時54分

消費税と法人税の比率を逆転する代わりに労働者の生活を保証する政策を実施すべきです。(最低賃金の大幅な引き上げ、有給休暇の取得義務化、家賃の半額補助制度、等々) 累進課税の強化と政府紙幣の発行で財源は充分に確保出来ます。

投稿:みかん男 2012年10月29日(月曜日) 22時40分

自分が我慢することで、さらに自分も周りも大変になるということは分かる。けど、ぶっちゃけ、変なことにエネルギーを使うより少しでも睡眠時間を確保して体力確保する方がいい。だから「我慢」じゃなく潰れないために精いっぱい楽してるだけなんだよね。

投稿:みちこ 2012年10月23日(火曜日) 23時48分

新卒でPG→SE、精神的におかしくなり退職。貴金属営業に就くもこれもやっとの思いで退職。パチンコ業界へ入るも、過労で風邪をこじらせ43度の熱を出し入院、やはり退職。その他様々なブラック企業を潜り抜けてきました。
奇妙な会社ばかりがひしめいているように感じます。
家も買えない。
車も買えない。
子供も作れない。
若者が誰しも叫んでいる、3か条です。
こんな国に未来が無いのは、老若男女問わずわかるはず。

物凄く短絡的な提案をさせてもらうと、
社長が取り分を減らして、社員に還元。それだけでも生活状況は一変するはず。
優秀な社員をメンテ、フォローしてやる。それだけでも遣り甲斐が俄然変わる。

次々に倒産するIT企業、その他の一発屋のみなさん。自分が一発屋たる理由をわかっていますか?

大切なのは「人」です。金じゃない。
私は人情のある会社に入りたい。

投稿:凄まじい現状 2012年10月23日(火曜日) 23時12分

新卒入社の社員に対して過酷な労働を通じた選別を行い、その内の一定数を辞職や病気、過労自殺に追い込んでも、翌年になれば、またその会社で働きたいという若者が絶えず補充される。企業はその状態に甘えているという趣旨のPosseの川村さんの言葉に納得。世間の常識が、パワハラや過労という働かせ方を当たり前と思うのではなく、それが”おかしい”と思うようになったとき、この社会は本当に変わっていくんだと思います。

投稿:Y.K 2012年10月23日(火曜日) 20時55分