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ドキュメント 子どもとマンガ

2010年12月20日

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写真:わが家のマンガ棚拡大わが家のマンガ棚

写真:唐沢なをき「ウルトラファイト番外地」(角川書店) 息子のお気に入りはガッツ星人拡大唐沢なをき「ウルトラファイト番外地」(角川書店) 息子のお気に入りはガッツ星人

写真:私屋カヲル「こどものじかん」1巻(双葉社) かなりきわどいけど真摯(しんし)な問いかけも含む作品です拡大私屋カヲル「こどものじかん」1巻(双葉社) かなりきわどいけど真摯(しんし)な問いかけも含む作品です

 成立してしまいましたねえ、東京都の青少年健全育成条例改正案。問題点については前々回の本欄「想像力の領域」に書きましたので、今回は子どもとマンガのつきあい方について、身辺雑記的にダラダラと書くことにしましょう。

 わが家(名古屋に単身赴任中の現在は「東京の家」という意味ですが)の私の部屋には壁一面のマンガ棚があり、息子(小3)が幼児のころから特に制限もせず勝手にいじらせておりました。少年マンガ、少女マンガ、青年マンガもごちゃ混ぜに並べてあるのですが、不思議なもので息子は自分の成長に応じて的確に?チョイス。まず手に取ったのは「ドラえもん」や「天才バカボン」「もーれつア太郎」で、これは小学校に上がったころ。やがて「ケロロ軍曹」が加わり、ちょっと変わったところで唐沢なをきさんの「ウルトラファイト番外地」もお気に入りで(ウルトラ怪獣好きなので)模写までしました。それがちょうどコミックマーケットの時期だったので、コミケのブースで唐沢さんにごあいさつした時、携帯で撮った息子の絵の写真を見せたりして(親バカですね)。

 ちなみに定期購読誌は「コロコロコミック」。ライバル誌「ケロケロエース」は取材資料として買ったとき中身を見たら、コロコロより下ネタ度が激しいように思えたので、カミさんと「こっちはやめておこう」ということで一致。1年ほど前から息子は「ONE PIECE」にハマっているのですが、バチ当たりなことにあの大河マンガを順不同に読んでいくという荒業。ドラマを楽しむより、まずはギャグやアクションなど個々の描写を楽しむところから入っていったようです。最近は「ギャグマンガ日和」を読み出して、あんなヘンテコなギャグもいけるのか、とちょっと意表を突かれました。

 毎週視聴するアニメの中に「ドラえもん」や「ポケモン」などに加えて、この春から「銀魂」(正しくは「よりぬき銀魂さん」)が加わった時は、子どもの成長を感じました。酒を飲みつつ私が大笑いして見ているのを横からながめて興味を持ったので、きっかけは私なのですが。息子は録画したものを繰り返し視聴し、犬の交尾みたいな下ネタギャグにしっかり反応、ケラケラ笑っています(カミさんは苦い顔)。さてこうなると、いろいろ分かってくる時期に入ったので、親の方もいろいろ気遣いが必要になってきます。

 やはりこの春に将棋を覚えた息子は、マンガ棚の「ハチワンダイバー」を手に取るように(チラチラ見る程度ですが)。「巨乳のメイドさんかあ、そのくらいはいいかな」と思っていたら、カミさんが「『ハチワンダイバー』の並びのマンガがちょっと……間違えて開いたりしたらタイヘン」というので棚を見てみたら、なんと「恋風」「こどものじかん」「ゆびさきミルクティー」と、「よりによって」というラインナップが並んでいました。

 おっとっと、これはいけない。すみやかに「しおんの王」とか「サマヨイザクラ」などに入れ替え、懸案の本はマンガ棚の最上段や別の本棚の奥の方に移動させました。ついでに岡崎京子さんのマンガなどもこれを機にお引っ越し。「じみへん」は……まあ、これはいいでしょう、どうせ手に取らないだろうし。「鈴木先生」は、これが読めるようになったらむしろ読んだ方が教育上いいんじゃないかなぁ、うーむ、どうかなあ。

 子ども時代の私はこんなにマンガが家にありませんでしたが、記憶を探ると、新「ルパン三世」(1977〜80年)の放映が始まる前に、旧「ルパン」ファンだった私はモンキー・パンチさんの原作マンガを何冊か持っていました。たぶんお小遣いで双葉社のコミックスを買ったんでしょう。当時、私は8歳か9歳のはず。だめじゃん! まあ、お色気シーンといったってハダカの男女の脇に♂と♀の記号が組み合わさったりするくらいだったはずなのですが、それでもやっぱりいけませんよねえ。

 先日、名古屋から東京に帰ったときのこと、もっか息子の一番のお気に入りアニメ「爆丸バトルブローラーズ ニューヴェストロイア」を2人でおやつを食べつつ見ていたら、悪のボスらしきオッサンにバトルを挑んだキャラクターが、とどめの一撃を食らってあえなく消滅というか爆死(あとで生き返るのか知りませんけど)。

 息子がニコニコして「こーいうのさあ、子どもが見るアニメとしてはどおなの〜?」。

 私も茶などすすりつつ「そーねえ、よくないんじゃあないかねぇ〜」。

 なんだか父親に教育を促してるよ、この子は。しかもわざとらしく。別にいいですよ、この程度の「暴力的描写」くらい。「イデオン」の皆殺しシーンとかじゃないんだから。いつの間にかそれなりのリテラシーってものが身に付いてるようだから、お父さんは心配していません――ていうか、もっと素直に楽しんだら?

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。2010年10月から名古屋報道センター文化グループ次長。

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