南スーダンPKOでの駆けつけ警護について

連休の朝っぱらからPKOとか。時差ボケで早起きしてしまったので仕方がないですね。備忘録。
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nobu akiyama @nobu_akiyama

安保法制の成立を受け、南スーダンでのPKOに参加している自衛隊に駆けつけ警護のマンデートを与えることを検討しているという報道が出ている件ですが、安保法制に反対する運動からは、以下のような意見が出てきています。 twitter.com/iwakamiyasumi/… (続)

2015-09-22 07:58:02
岩上安身 @iwakamiyasumi

「中国の脅威」に取り憑かれている集団的自衛権支持者に、冷水。RT @kazumyagu: 南スーダンで自衛隊が援助するのは主に中国軍。 twitter.com/kentpage/statu… twitter.com/nhk_news/statu… pic.twitter.com/rY4Odo4XIR

2015-09-22 07:37:36
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前1)しかし、こうした見方はどちらかと言うと見当はずれではないでしょうか。これは、日本の平和の維持を単なる「国防」という観点からしか見ずに、安全保障という視点を忘れているがために起きたことだと思います。中国というのは、抑止の対象でもあり、協調のパートナーでもある、(続)

2015-09-22 08:00:27
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前2)というのは、全く不思議なことではありません。実際すでにアデン湾あたりでの対海賊対策では、日本と中国を含む多国間での協調体制が確立されています。  厳密に言えば、日本の自衛隊が活動する地域と中国の人民解放軍が活動する地域がどの程度近接しているかで実際に駆けつけ警護(続)

2015-09-22 08:02:29
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前3)のような状況が人民解放軍との間で生まれるかが決まりますが、理論上は、逆に人民解放軍によって自衛隊が守られるということもありうるわけです。一般論でいえば、相互主義的な観点からも、オペレーションの円滑化・単純化の観点からもPKOに参加する各国部隊は、この決定を歓迎(続)

2015-09-22 08:04:19
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前4)するのではないかと思います。もちろんこれは、日本政府がそのような決定をしたら、という前提の話です。  安全保障の話に戻すと、hedge and engage、つまり、他方で抑止力を構築して万が一に備える体制を整えなが、関与を通じて相互に脅威を削減していく(続)

2015-09-22 08:06:58
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前5)という行動の原則は、今やアメリカを含めどの国でもやっていることです。そして、抑止も関与も簡単に割り切れるものではなく、それぞれの活動にまた別の要素も包含されています。例えば、南スーダンにおける国づくり、平和構築への活動には、人道支援や治安維持といった平和構築(続)

2015-09-22 08:09:11
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前6)のコアとなる任務もあるでしょうし、それに参加する各国の思惑は、例えば中国であれば石油ビジネスへの影響力の拡大(これは僕が知る雨限り2000年代初め、南スーダン独立前からの中国の対スーダン外交の中心的な課題でした)などが絡んでいることは間違いありません。(続)

2015-09-22 08:11:23
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前7)前のツイート日本語がおかしい…  また、イスラム教徒が多数を占めるスーダンに対してキリスト教徒の多い南スーダンという構図の中で、アフリカにおけるテロ組織の浸透をどのように食い止めるか、というのは周辺諸国にとっても大きな関心事でしょう。こうしたところに日本の自衛隊が(続)

2015-09-22 08:13:35
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前8)なぜ関与すべきなのか、というのは、民主党政権が自衛隊派遣を決めた際にそれなりに議論されましたが、グローバルな安全保障環境の安定への貢献と、そして一つの隠れたアジェンダとしては、アフリカにおける中国の影響力へのカウンターバランスという配慮もあったと思います(続)

2015-09-22 08:15:07
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前9)日本の自衛隊の規模は中国のそれに比べて小さいわけですが、少なくとも国連においても極めて大きな関心を集めたスーダン・南スーダンの平和構築に日本が関与していく姿勢を示すことは、外交上非常に重要な事であったと思います。これを、消極的な論理で説明すれば、(続)

2015-09-22 08:17:23
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前10)世界中が関心を持ち、主要なプレーヤーが何らかの形で関与しているときに日本は知りません、というわけにはいかない、ということになるでしょうし、またそうなると(好き嫌いは別として)安保理改革において常任理事国になるという日本政府の悲願は遠のく、ということでしょう。(続)

2015-09-22 08:18:35
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前11)他方、より積極的な説明をすれば、日本が南スーダンという直接的には日本の安全保障に影響がないような地域であっても日本は関心を持ち、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位」を占めるという憲法の前文に(続)

2015-09-22 08:21:08
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前12)沿って、日本が国際社会においてあるべき役割を果たそうとしている、と見ることもできます。  またなんか横道にそれてしまって長くなってしまいましたが、いずれにしても、日本の「安全保障」とは、中国に対して抑止力のみを強化するだけでもないし、中国を抑止の対象として(続)

2015-09-22 08:23:20
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前13)見ることをやめることでもない。ましてや、南スーダンにおいて自衛隊が駆けつけ警護をするようになりその対象が中国の人民解放軍だったとして、それを取り立てて騒ぎ立てて、安保法制推進のロジックの崩壊だと論じるような話ではないということです。そういうポジショントークは(続)

2015-09-22 08:24:54
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前14)なんのメリットも生み出しません。  ところで、同じ南スーダンにおける自衛隊の駆けつけ警護については、それが可能になることによって、日本のNGOによる人道支援が敵視されるようになりより脅威が高まるという議論があります。それについては、私自身は、実際にその因果関係(続)

2015-09-22 08:26:33
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前15)を示すようなデータを持ち合わせていないので、何とも言えませんが、どなたか、PKO参加国のNGOとPKO非参加国のNGOに対する襲撃回数の違いに統計上有意な差が存在するか、ご存知でしたらお教えいただけると幸いです。  南スーダンのPKOは、国連安保理の決議を受け(続)

2015-09-22 08:28:22
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前16)て、国連とアフリカ連合のハイブリッドのミッションとして成立した、国際社会的には正統性が高いと考えられるPKOです。これに部隊を派遣している国はほとんど集団的自衛権を行使できることになっているはずですから、PKO派遣国とそうでない国の間でNGOへの襲撃に差異(続)

2015-09-22 08:30:19
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前17)が認められれば、駆けつけ警護によって日本のNGOのリスクは高まると言えるでしょう。復興や平和構築に対する非軍事的な貢献というのは、自衛隊の活動がどうであれ、日本という国、国民の国際社会におけるアイデンティティにとって極めて重要なアセットであるので、印象論(続)

2015-09-22 08:32:47
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前18)だけで論じるのではなく、客観的なデータや事例などをしっかりと様々な角度から研究したうえで結論を出すことが望ましいと思われます。  従来のようにできる活動とできない活動を機械的に線引きすることができなくなった以上、このような分析がより重要になると思われます。 おしまい。

2015-09-22 08:35:23
nobu akiyama @nobu_akiyama

(つづき)一つ書き忘れていましたが、南スーダンで中国人民解放軍と一緒に活動することは、信頼醸成の観点からも大変望ましいものです。また、最近、米豪中の合同サバイバル訓練が豪州で行われましたが、それについても、日本は外された、などと騒いでいる人がいますが、これも信頼醸成として(続)

2015-09-22 08:47:33
nobu akiyama @nobu_akiyama

(承前)むしろ日本はその実施を歓迎すべきことだと思いますし、多くの安保関係者はそのように見ていると思います。 ほんとにおしまい。

2015-09-22 08:48:13
nobu akiyama @nobu_akiyama

そういえば、最初に南スーダンに行ったのは、2005年だったな… これは、ジュバ近郊の村に行ったときの写真です。 その次は、2011年3月11日。ジュバに向かう国連機の経由地で東日本大震災の一報を聞いた。 pic.twitter.com/WqW9F7v76r

2015-09-22 09:16:35
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