新球団が、船出の試合を主砲不在で迎えることになった。DeNAは19日、アレックス・ラミレス外野手(37)が左大腿(だいたい)直筋の軽度の肉離れで、全治3週間程度と発表した。30日阪神との開幕戦(京セラドーム大阪)の欠場は確実となった。復帰は早くても4月下旬となりそうだ。4年連続最下位からの浮上に向け軸と期待していた助っ人のまさかのケガ。中畑清監督(58)は開幕戦オーダーの再考を余儀なくされた。

 ラミレスはこの日、横浜市内の病院でMRIなどの検査を受け、軽度の肉離れで全治3週間程度と診断された。広報を通じ、「1日1日状態を見極めて、開幕戦でプレーできるように全力を尽くしたいと思う」とコメントしたが、開幕戦は10日後に迫っている。37歳の年齢からも、早期回復は難しい。新球団として晴れの門出は、4番不在が確実となった。

 ラミレスは前日18日のソフトバンクとのオープン戦に4番左翼で先発出場。6回に左中間への二塁打を放った際の走塁中に、左太もも前に痛みを感じ、途中交代していた。試合後には「痛みは若干あるけど、開幕戦は全然大丈夫」と軽症を強調。自ら車を運転して帰宅したが、予想より重い診察結果が出た。

 報告を受けた中畑監督は「(開幕は)厳しいかもしれない。まず治すことに徹底してほしい」と、主砲離脱を冷静に受け止めた。3番起用を想定していた筒香も、左足首骨挫傷で離脱中とあり、思い描いていたクリーンアップは白紙となった。4年連続最下位からの脱出を狙うチームにとって、あまりに大きな誤算だが、その表情は決して暗くなかった。

 「現実をきちんと受け止めて、こういう場合に自分たちが何をすべきか、おのずと見えてくる」と気持ちを切り替え、早くも次の策に言及した。ラミレスに代わる4番には「今ならノリ。キャンプは本当に頑張っていた。頑張ったやつは答えを出せる」と、ベテラン中村を指名。さらに「逆にチャンス。選手層を厚くするための試練かもしれない。ラミレスは絶対的な存在だけど、帰りにくい空気をつくりたい」と、前向きに捉えて若手の奮闘を促した。

 梶谷、森本の1、2番コンビが結果を出すなど、機動力は形になってきたが、主軸不在となれば得点力低下は否めない。ただでさえ選手層の薄い新球団。非常事態での船出を乗り切るには、若手の台頭という望みにかけるしかない。

 ◆中畑監督の描くオーダー

 機動力を新たなチーム作りのテーマに掲げていた中畑監督は、足の速い選手を1、2番に置く打順を考えている。1番には2年目の荒波も候補だったが、守備能力も高く、ここまで打撃でも結果を出している梶谷が確実。2番には状況に応じての適応力の高い森本を置く予定だ。クリーンアップには、打撃の才能を高く評価する筒香を3番、4番ラミレスと1発のある長距離砲を据える予定だった。だが、両者の離脱により開幕時はつなぎの打撃もできる石川を3番とし、現戦力でもっとも長打が期待できる中村に4番を任せる。外野の守備力を優先するため、左翼には啓二朗を起用することになりそうだ。