中韓首脳が被災地訪問 22日に菅首相と会談
東京での日中韓首脳会談に出席する中国の温家宝首相と韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は21日、相次いで仙台空港に到着、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県名取市の被災地を訪問した。中韓両首脳が自ら被災地を訪れ、被災者らを励ますことで、隣国として日本の復興を全面支援する姿勢を示す。
両首脳は同日午後には菅直人首相とともに福島県を訪れ、原子力発電所の放射能漏れに伴う風評被害払拭を後押しする。22日の日中韓首脳会談で支援への具体案を示す。これに先立ち、3首脳は21日夜に東京で夕食会を開く。
温首相は名取市閖上の漁港を訪れ、魚市場跡地の前で白いユリを献花した。記者団の取材に応じ「中国は今後も日本を支援、協力していきたい。貿易投資促進団を派遣したい」と語った。
李大統領は、名取市の民家倒壊現場の前で献花。その後、韓国の救助隊が活動した多賀城市文化センターを訪れ、被災者やボランティアに声をかけて励ました。手を振った女の子に近づいて抱き上げ「良かったら一緒に韓国にくるかい」と語りかけ、周囲が笑いに包まれる場面
もあった。今回の訪問にあわせ、洗濯機5台と韓国のり500箱を贈った。
中韓両首脳とも被災地訪問を自ら希望した。外国首脳ではオーストラリアのギラード首相が4月に宮城県南三陸町を訪問している。日本政府にとっては、中韓という隣国首脳の訪問で、福島に限らず、海外からの観光客やビジネス関係者の訪問が急減した日本のイメージ回復のきっかけにしたい考えだ。
温首相は昨年9月の中国漁船衝突事件で冷えた日中関係の改善を強く意識して被災地を訪れた。李大統領も竹島(韓国名・独島)問題などを巡りギクシャクした日韓関係の局面を転換したい思惑があるとみられる。