世の中を変えるもの

世の中を大きく変える要素にはどんなものがあるのか、考えてみました。


<技術>

「技術が世の中を変えた」というと、今ならすぐに「インターネット!」と言いたくなりますが、歴史を振り返れば、「世の中を変えた技術」は多数存在します。たとえば、


・印刷技術:これによって「思想」を広めることができるようになりました。聖書の印刷による宗教権力の拡大、技術書の印刷による学びの継承が実現し、共産主義思想だって印刷技術なしには広まらなかったでしょう。

・動力:産業革命につながるエネルギー技術の革新も世の中を変えました。汽車から船、そして飛行機という、人力の限界を超えた力による移動&運搬が可能になり、また製造業の生産性も一気に引き上げて、世界を圧倒的に豊かにしました。

・食料関係の技術:保存や冷凍、収穫量を上げる農薬や交配技術など様々な分野の技術を含みます。これがなければ「70億人の人口」は実現していません。ちきりんは「経済発展とは人口増加のこと」とさえ思っていて、それを可能にしたのは、生きるために不可欠な食料分野での不断の技術革新のおかげでしょう。

・もちろんインターネットを含む通信技術や、今後はバイオ技術や宇宙開発も大きく世の中を変えていくでしょう。


<自然>

これは技術より大きい要素だと思います。たとえば気候変動です。氷河期がやってくれば大半の生物は死んでしまうし、温暖化で灼熱の世の中になっても生きていけません。

地震や噴火、地盤沈下により(“日本沈没”のように)国が丸ごと消えてしまうことさえありえます。宇宙から星屑が飛んできて一気に地球滅亡とかもあるかも。

また、HIVはなんとか押さえ込めているようにも見えますが、感染症により崩壊した古代文明があるように、万が一、超高い致死率と伝播力をもつウィルスが拡がれば現代文明だって崩壊の危機に瀕するかもしれません。

人間はこれに“技術”で対抗しようとしていますが、今のところ勝てるメドは全くついていないようです。


<人>
世の中を変えるのは、「技術」、「自然」、「人」です、というと、綺麗な結論になりますね。実際、歴史は卓越した個人によって作られてきたといっても過言ではないでしょう。

ただこの話は深掘りすると別のテーマになってしまうので、ここで止めておきます。


<グローバル化>
これも今だとすぐに「TPP?」みたいな矮小な議論になってしまいますが、大昔から私たちの文明は「つながること」により大きく発展してきたのです。

古代には、エジプト文明、メソポタミア文明、黄河文明、インダス文明、さらにアンデス文明など、地球のあちこちで異なる文明が発展しました。それらはいつしか“つながり”始め、“交易”が始まって、特定の地にのみ存在した貴重なモノ、技術、人などが共有、交換されはじめます。

機械動力のない時代にさえ、歩いて、もしくはラクダにのって、文明と文明をつないだ人がいて、さまざまな“異種”の出会い、混合、衝突、融合が起こりました。それは島国であった日本でも同じで、遣唐使や遣隋使を通じて、また黒船襲来を機に社会は大きく変化しました。

この「遠くにある異質なものとつながる、ぶつかり合う、混じり合う」ことによって引き起こされる“化学反応的なる現象”が、世の中を大きく変えたと思いますし、移動や通信の発展により、このことが起こるスピードは格段に速くなりつつあります。今も、そしてこれからも、「つながる」ことが世界を大きく変えてゆくでしょう。


<社会制度・社会的イベント>
私が欧米人やアラブ人であったなら、今日のエントリの最初に挙げるべきは「神」もしくは「宗教」であったでしょう。

でもここでは、宗教も含め「社会制度」や「社会的なイベント」が大きく世の中を変えうる、と規定しておきます。宗教は避妊や離婚を禁じて「人口増加」を推し進めたり、戦争の理由となったり、新大陸への移民を促進して新しい価値観のグループを作り出したりしました。

「共産主義体制」という社会制度は、その成立により世界を「東西対立」というレジームに追い込み、その崩壊もまた新たなパワーバランスへの導線となりました。もちろん世界大戦を含む戦争の多くが、世界の体制を変えてしまいます。

産油国の民族主義の台頭から始まったOPECの結成も、“エネルギー”が先進国世界の生存権を握るというパラダイムシフトを引き起こしました。中国のような巨大な国が「一人っ子政策」を採ることが、どれほど歪な社会を創り出すか、私たちはこれから見ることになるでしょう。

ユーロの結成(そして崩壊?)、アラブの民主化など、世の中を大きく変えうるであろう社会体制の変革、大きな社会イベントは今も継続的に起こっています。



というわけで、世の中を変える要因は様々に存在しており、これからも世界は変わり続けます。私たちは今後もそれらの変化に翻弄されつつ、楽しく生きていくことにいたしましょう。


そんじゃーね!