米フェイスブック、会員以外と電子メール可能に
新たな情報交換サービス開始
【シリコンバレー=奥平和行】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックは15日、電子メールや携帯電話の簡易メール(SMS)などの機能を組み合わせた新たな情報交換サービスを始めると発表した。フェイスブックの会員同士が情報交換に使う「メッセージ」のサービスと電子メールなどを一体化、会員以外とも情報をやり取りできるようにして利便性を高める。
新たなサービスは段階的に利用できる会員を増やす予定で、数カ月以内に世界に5億人以上いるフェイスブックの会員が利用可能となる。フェイスブックの独自サービスであるメッセージとチャットに加え、電子メールや簡易メールを一体化。様々な手段でやり取りした情報を1つの画面で確認できる。
新サービスではフェイスブックが実質的に電子メールの機能を取り込む格好になり、会員に「@facebook.com」で終わるメールアドレスも付与する。このアドレスを利用する際、参考情報を知人などに送るカーボンコピー(cc)の機能が使えないといった制限があるが、米マイクロソフトの「ホットメール」やグーグルの「Gメール」などと競合する形になる。
フェイスブックは「誰と誰が友人であるか」に関する人脈情報を保有しており、この情報を利用した電子メールなどの情報の振り分けサービスも提供する。商品の勧誘など迷惑メールにより必要な情報にたどり着くための手間がかかるケースが増えているが、「友人」や「友人の友人」からのメールを選別することでこうした手間を軽減する。
15日に米サンフランシスコで記者会見したマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「電子メールはスピードが遅く、かしこまりすぎている」と述べた。一方、電子メールにも一定の役割があることを認め、簡易メールや電子メールなどを統合した新たなサービスが情報交換の主流になるとの見方を示した。
ザッカーバーグCEOは米国で「フェイスブックが電子メールサービスに参入」との事前報道が過熱していたことを受け、会見では「新サービスは電子メールそのものではない」と強調した。ただ、会員数で世界一のSNSが電子メールの要素も持つ新サービスを始めることで、既存の電子メールサービスなどとの競争が激しくなるのは確実だ。
インターネット検索最大手のグーグルも電子メールなどのサービスを提供しており、利用者が急拡大しているフェイスブックに対して神経をとがらせている。グーグルは今月上旬、フェイスブックへの情報提供を中止する方針を表明。情報の入手や友人との交流にフェイスブックを使うネット利用者が増えると、検索サービスで"ネットの入り口"を押さえたグーグルの地位が揺らぎかねない情勢だ。