英連邦の次の首長はチャールズ英皇太子に決定 女王の強い意向
英連邦加盟国の首脳は20日、53カ国の連合体の次期首長について、チャールズ英皇太子がエリザベス英女王の地位を継承すると決定した。
2年に1度の首脳会議は19日、ロンドンのバッキンガム宮殿で開幕。その後、加盟国首脳はロンドン郊外のウィンザー城に集まり協議していた。46カ国の首長と7カ国の外相が出席した。
英連邦首長の立場は世襲制ではなく、エリザベス英女王から自動的に息子のチャールズ皇太子に移譲されるものではなかったが、女王は開幕に際して、皇太子が「いつの日か」首長の地位を引き継いでくれることが「切なる願い」だと述べていた。
BBCのジェイムズ・ランデイル記者によると、加盟国の間で首長職を持ち回り制にすべきという案も出ていた。
首脳会議閉幕の記者会見で、テリーザ・メイ英首相は、英連邦を当初の8カ国から53カ国に成長させた女王の「ビジョンと義務感」を称えた。
メイ首相はさらに、「40年以上にわたり」英連邦を「誇り高く支援してきた」チャールズ皇太子が、女王の後継者として連邦首長になるのは「ふさわしいこと」だと述べた。
英連邦の首長職は主に象徴的な役職で、決まった任期はない。加盟53カ国を連帯させ、貿易や国際協力を通じて連邦の目的実現を確保するのが役割で、各国のつながりを促進するために自ら定期的に加盟国を訪問する。
エリザベス女王は首脳会議開催にあたり、「皆さんをお迎えするのは大きな喜びで、大変光栄なこと」だと挨拶し、「連邦の結びつきの発展を、誇らしく満足して見ている」と語った。
首長職の継承については、「英連邦が引き続き未来の世代に安定と一貫性を与えてくれること、そしてウェールズ公(チャールズ皇太子)がいつの日か、私の父が1949年に始めたこの重要な仕事を引き継いでくれること、これが私の切なる願いだ」と述べた。
2日間の首脳会議ではこのほか、海洋保護や気候温暖対策、オンラインの犯罪や脅威と戦うサイバーセキュリティ、加盟国間貿易などについて合意した。
メイ首相によると、貿易については連邦内貿易を2030年までに2兆ドル規模に拡大するため、「保護貿易主義と戦う」ことで各国首脳は同意したという。
さらに、連邦として暴力的な過激主義や人身売買と戦い、2023年までに連邦内のマラリア発生を半減させるほか、2030年までに連邦内の全児童が少なくとも12年間の義務教育を受けられるようにすると合意した。
英連邦53カ国には約24億人が暮らす。しかし、加盟国の構成はあまりに多岐にわたるため、「いったい何のための連邦なのか」本人たちも分かっていないという批判の声もあると、BBCのジョニー・ダイモンド王室担当編集委員は指摘する。
バッキンガム宮殿の大広間での開会式では、歌手のエミリー・サンデさんが英国の事実上の国歌「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン(神よ、女王を守りたまえ)」を歌った。英国国歌は、英連邦の多くの国でも国歌として歌われている。
白人農場の強制徴用や対抗勢力の強権的取締りを理由に、英連邦の加盟資格を停止され、2003年に連邦を離脱したジンバブエについては、英政府は再加入を歓迎すると表明した。
37年間に及んだムガベ政権が昨年11月に終わり、エマーソン・ムナンガグワ新大統領のもとで「見事な前進」を見せていると、ボリス・ジョンソン英外相は称賛。ただし、7月に「自由で公平な選挙」を確実に実施する必要があると強調した。
次回の英連邦首脳会議は2020年、ルワンダで開かれる。