安倍首相は消費増税撤回を、経済・物価が頑健とは言えず-サイナイ氏
藤岡徹-
消費増税対策不十分で消費冷やすリスク、必要なのはむしろ減税
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社会保障費の財源を確保するには消費増税以外の方法あるはず
米ディシジョン・エコノミクスのアレン・サイナイ社長は、日本の経済・物価動向はいまだ頑健とはいえず、安倍晋三首相は10月に予定している消費増税を撤回すべきだとの見解を示した。
政府関係者との意見交換のため来日したサイナイ氏は16日のインタビューで、消費税の8%から10%への増税について「大きな過ちだ」と指摘。「消費増税をする理論的根拠は歳入を増やして対国内総生産(GDP)比で債務残高を減らすことにあるが、もしそれが経済成長を妨げることになったらどうするのか」と語った。
安倍政権は2014年の消費増税後に景気が落ち込んだことを踏まえてさまざまな対策を打ち出しているが、それでも十分ではなく消費を冷やすリスクがあるとサイナイ氏は説明。足元の日本の経済成長率と物価上昇率が1%程度と考えると、むしろ必要なのは減税だとの見方を示した。
30年以上にわたり日本経済をみてきたベテランエコノミストのサイナイ氏は、「この程度の成長率、この程度の物価上昇率であれば、もし私が首相なら財務省に恒久的な減税を指示する」とし、社会保障費の財源を確保するには消費増税以外の方法があるはずだと指摘した。
安倍首相はこれまで10%への増税を2度延期しており、今回はリーマンショック級の出来事がない限り予定通り引き上げることを表明している。