混乱を極めるGoogleのリンク警告メッセージに物申す

最終更新日:2024/03/04

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突然のパンダアップデート導入で激震中の日本のSEO業界、パンダアップデートの状況を確認する前に、なんと同じ週にGoogleが世界的に過去最大規模の警告メッセージ配信を送るという暴挙次の一手を打ちだしてきました。必ずしも警告メッセージ=スパムサイト認定ではないことは今朝速報記事で配信しましたが、サーチエンジンランド主催&検索業界のご意見番ダニー・サリバンが今回の件について詳細に解説した記事があがってきたので早速紹介します。 — SEO Japan

本日、質の低いリンクに対するグーグルの戦いは、ついに常軌を逸したレベルに達した。ここ数ヶ月、グーグルは質の低いリンクに関する警告を発し、ペナルティを受けたくないなら、すぐに行動を起こすべきだとパブリッシャーに警告を行ってきた。そんな中、本日、グーグルは今週新たに送信した警告メッセージは無視しても構わないと言い出したのだ。より“分かりやすく”するためとグーグルは主張しているが、かえって混乱を招いている。

本日のグーグルの投稿でもたらされた混乱を理解するため、まずは過去に遡って警告を見ていく。

経緯: 2012年初めのリンク警告メッセージ

3月の終わり、そして、4月の初め、グーグルは「人為的」または「不自然」なリンクに対する以下のような警告の発動に踏み切っていた:

サイトのオーナー様 …のウェブマスター様

グーグルは、サイトの一部のページがグーグルのウェブマスターガイドラインで認めていない手法を利用していることに気づきました。

恐らく、ページランクを操作するために、人為的または不自然なリンクがサイトに向けられていると考えられます。不自然なリンクには、リンクを買って、ページランクを回す行為、もしくは、リンクスキームに参加する行為が含まれます。

グーグルは、サイトがグーグルの品質ガイドラインの基準を満たすよう、サイトへの変更の実施を推奨しています。変更を実施したら、グーグルの検索結果内でサイトの再審査要請を投稿して下さい。

自分ではコントロール、または削除することが出来ないリンクがサイトに向けられていたら、再審査要請書に詳細を記載して下さい。

この問題の解決策について何か質問がある場合は、ウェブマスターヘルプフォーラムにアクセスして、サポートを確認して下さい。

グーグル検索品質チームより

このメッセージを受けたウェブマスター達は、劣悪なリンクが向けられているためにペナルティを与えられたのか、もしくは、グーグルはただ単にサイトに通知を行っただけであり、特に何もネガティブなアクションは起こしていないのか、どちらが正しいのか分からなくなり、混乱が生じていた。グーグルの反応は明確なものではなかった:

グーグルは様々なリンクネットワークを追跡し、アクションを起こすことが可能です。そして、先日、私達はこの行動をより明確に示すことに決めました。

今までは、グーグルは誰にも打ち明けることなく、一部のリンクの信用度をゼロにする、もしくは、重要度を下げていました。現在は、こういったリンクがランキングやインデックスの改善に役立っていない点を明らかにしています。

ペンギンの攻撃

4月下旬、グーグルのペンギンアップデート(日本語)が発動された。スパム対策のこのアップデートは、劣悪なリンクのアクティビティ(グーグルの判断による)に参加したパブリッシャーにペナルティーを与えるか、もしくは、リンクの重要度を下げるため、リンクのカウントを休止する取り組みを行ったとされている。

その結果、グーグルのガイドラインに背く方法で、積極的にリンクネットワークを活用してランキングを上げる試みを行っていたサイトのオーナー達の間で大混乱が生じた。ペンギンから回復する方法としてグーグルが提案していた方法の一つは、劣悪なリンクを削除する取り組みであった。

グーグルのアドバイス: 質の低いリンクを削除せよ

しかし、リンクを削除することが出来ない場合はどうすればいいのだろうか?ウェブスパムチームを率いるマット・カッツ氏は、特にアドバイスを送ることもなく、このような状況が起こり得るとさらっと示唆(日本語)していた。

この発言は、「ネガティブ SEO」が突然脅威になり、全てのパブッリッシャーは「劣悪なリンク」を向けられる対象となり、グーグルのランキングを落とされる可能性があると騒いでいる人達を元気づけてしまった。しかし、グーグルはネガティブ SEOは稀であり、実現は難しいと強調している(日本語)。今のところ、ネガティブ SEOはウェブのパブリッシャーの多くには広がっていないように思える。

このように心強い発言を行い、さらに、ヘルプページをアップデートして、グーグルがネガティブ SEOを阻止するために全力を尽くしていると言っても、一部の人達は納得していない。 ネガティブ SEOは、特にペンギンの攻撃を受け、グーグルに対抗する手段を探していた大勢のウェブマスター達(その多くはペナルティを受けて当然の人達)のスローガンと化している。

新しいリンク構築: リンクを削除して下さい

ネガティブ SEO騒動はさておき、大勢のパブリッシャー達はグーグルのアドバイスに従い、リンクの削除を試みていた。私自身、サーチエンジンランドのサーチキャップ デイリーニュースレターに以前リストアップされていたパブリッシャーからリンクを削除するよう要請された。常軌を逸しているとしか思えない。私達のサイトのような著名なサイトからのリンクこそ、求められているリンクであり、そのリンクを削除したいと望んでいたのだ。

狂気の沙汰はこれで終わらなかった。リンクを削除するためには裁判も辞さないと脅す連中まで現れたのだ。この点は以前の投稿(日本語)で取り上げている。Boing Boingも本日別のケースを取り上げていた(グーグル自身がこの異様な状況に油を注いでた背景には触れられていない)。

今日、一部のディレクトリがリンクの削除を有料化している件を報じた。どれほどアベコベな事態が発生しているのかハッキリさせておこう。過去、パブリッシャー達はリンクを欲しがり、お金を払うことも厭わなかった(グーグルの規則には違反している)。しかし、現在は、リンクを削除するためにお金を支払うのだ。

6月: リンクの警告を無視するな

それでも、警告メッセージを受けたなら、リンクを削除しなければいけなかった。何しろ、グーグル様の警告である。そして、6月、SMX Advancedカンファレンス(日本語)でカッツ氏はリンクの警告について次のように発言していた:

注意する必要があります。この通知が送られてきたにも関わらず、何も行動を起こさない場合は、通常、ウェブサイトのランキングが落ちます。

以下にこのトピックに関する動画を掲載しておく:

YouTube Preview Image

繰り返すが、リンクを削除することが出来ない場合はどうすればいいのだろうか?カッツ氏曰く、グーグルは「否定」ツール(日本語)をリリースする可能性があるようだ。6月末には、ビングがリンク否定ツールを導入していた。ただし、もちろんグーグルのリンク問題を解決することは出来ない。劣悪なリンクが向けられているとして、グーグルから通知を受け、行動を起こすべきだと促された人達は、いまだにリンクを削除することが出来ない可能性がある。

新たな警告が発動される

そして、昨日、グーグルは新たにリンクの通知を始めた。以下にこの警告文の内容を掲載する:

サイトのオーナー様 …のウェブマスター様

グーグルは、サイトの一部のページがグーグルのウェブマスターガイドラインで認めていない手法を利用していることに気づきました。

ページランクを操作するために、人為的または不自然なリンクがサイトに向けられていると考えられます。不自然なリンクには、リンクを買って、ページランクを回す行為、もしくは、リンクスキームに参加する行為が含まれます。

グーグルは、サイトがグーグルの品質ガイドラインの基準を満たすよう、サイトへの変更の実施を推奨しています。変更を実施したら、グーグルの検索結果内でサイトの再審査要請を投稿して下さい。

自分ではコントロール、または削除することが出来ないリンクがサイトに向けられていたら、再審査要請書に詳細を記載して下さい。

この問題の解決策について何か質問がある場合は、ウェブマスターヘルプフォーラムにアクセスして、サポートを確認して下さい。

グーグル検索品質チームより

ご察しの通りに、これはグーグルが3月下旬に送信したメッセージと全く同じ内容である。このメッセージを読む限り、無視していいとは到底思えない。事実、リンクを削除することが出来ない人達に対して、積極的にグーグルに再審査要請を行うよう促している。

7月: リンクの警告を無視してもOK

しかし、本日、カッツ氏はグーグル+の投稿で今回のメッセージについて次のように述べたのであった:

昨日、不自然なリンクがサイトに向けられている点を指摘したメッセージを受信していても、パニックを起こさないで下さい。以前、グーグルは、サイト全体でアクションを起こした際に、このメッセージを送信していました。

昨日、さらに分かりやすくするため、グーグルは、サイトへの一部の個別のリンクに対する信用度をゼロにした際に、メッセージを送り始めました。これは、サイトによるスパム行為の可能性を示唆しているとも考えられますが、潔白なこともあり得るのです。

例えば、この類の焦点を絞ったアクションを行い、無実のサイトに向かうハッキングされたリンクが信用度を落としている可能性もあります。そのため、グーグルがさらに分かりやすくする試みを進める上で、無実のサイトにもメッセージが送られているのです。しかし、メッセージを受信したからと言って、必ずしも心配しなければいけないわけではありません。

サイトに対してさらに厳しいアクションを取る場合は、検索トラフィックが落ちます。これは例えばウェブマスターツールの“サーチクエリ”機能で確かめることが出来ます。

スパム対策のアクションの影響を受けた場合、いつものように、ウェブマスターガイドラインを違反していない状態になったら、再審査要請を提出して下さい。再審査要請の処理には時間がかかりますが、処理を行ったことを確認する補足のメールを送信します。

先程も申し上げた通り、今回のメッセージに分かりやすくする効果があるとは思えない。このメッセージはグーグルが心配するべきだと指摘していた以前と同じメッセージと同じように思える。

問題があるならそう言ってくれ

この新しいメッセージを受けた場合、危険が迫っているかどうかをどうすれば把握することが出来るのだろうか?どうやら、グーグルからのトラフィックの増減を確認し、大幅に減少していないことを確かめなければならないようだ。減少が見られる場合、劣悪なリンクの問題を抱えていることになる。減少が見られない場合は、無視してもよいメッセージを受信したことになる。

そもそも、行動を起こす必要があるかどうかをメッセージ内に明記してくれれば、そして、ペナルティがあるかどうかを明記してくれれば(過去ペナルティと呼ばれていたペナルティが今は“調整”(日本語)と呼ばれている)、よっぽど助かる。

それこそ分かりやすいというものだ。新たな警告、そして、カッツ氏の発言はさらなる混乱およびパニックをもたらし、明確にする効果も、落ち着かせる効果も見込めない。

また、リンクをベースとした基礎、もしくはサイトの格付けがいかに時代に合わなくなっているかが、今回の件で改めてハッキリした。何が助けとなり、何が害を与えるのかを把握するのが、ますます難しくなっている。リンクを票扱いする方針はもう限界である


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Insanity: Google Sends New Link Warnings, Then Says You Can Ignore The」を翻訳した内容です。

スパム認定されていないサイトに対しても通常の警告メッセージを送ったことに対する見解はSEO Japanの感想と一致していますが、「混乱を呼ぶだけ」とそれ以上に辛口なコメントになっていますね。マット・カッツのコメントが(ウェブマスターに対する)透明性を強調している割には、肝心のメッセージに透明性がない点はやはり気になります。日本のご意見番、渡辺さんも同様の感想を持たれたようですし、外部リンク施策を行っているSEO業者問わず企業のウェブマスターは再申請の必要性の是非の判断含めリンクプロフィールの確認等、対応に苦慮しそうです。しかし短時間にこれまでのGoogleとリンクに関する状況を綺麗に整理して記事にまとめてくれるのは流石ダニー・サリバンでした。また今回の一斉配信警告メッセージが、単純にこれまでスパム認定はしていないものの不自然リンクを一定数認識していたサイトにだけ対して送られたのか、スパムフィルタリングやスパム認定の基準強化も同時に行っており、これまではスパム認定されていなかったサイトの多くが新たにスパム認定されたのかどうかは気になるところです。これにより今後実際に順位が下落するサイトの数が大幅に変わってきますからね。Googleも再審査リクエスト対応が後手に回っている感も否めないですし(今回新たに大量にリクエストが来るでしょうし・・・)、今からリンク削除の作業をしても既にスパム認定されていれば相当数のサイトが一度は順位下落の憂き目にあってしまう(&再申請合格までにそれなりの時間がかかる)気もします。

いずれにしても警告メッセージを受け取ったサイトは一度リンクプロフィールを精査し、不自然リンク率が過度に高い場合は可能な範囲で削除していった方が確実とはいえそうです。同時に、重要性は理解しているけれども、イマイチ危機感を感じずこれまで手を付けてこなかったコンテンツマーケティングによる自然リンク獲得も本格的に検討していく良いチャンスかもしれません。

【追加情報 2012/07/23】Googleが試用を変更し、スパム認定か不自然リンクの指摘のみかを区別できるようにしたそうです。

— SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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