韓国でスマートTVのネット接続遮断 通信容量増大
通信最大手のKT
【ソウル=尾島島雄】韓国通信最大手のKTは9日、インターネットに接続して使う「スマートテレビ」のネット接続を10日から遮断すると発表した。動画など大容量データを伝送する結果、トラフィック(通信量)が増え、通信網の許容量を超えかねないためとしている。KTが米アップルの「iPhone」を2009年に扱って以来、サムスン電子と不仲なことも背景にありそうだ。
スマートテレビは韓国で約100万台が普及しているとみられる。KTはかねて、トラフィックを急増させるスマートテレビのメーカーを「(KTが整備した通信網に)ただ乗りしている」と批判。サムスンやLG電子にインフラ投資への応分の負担を求めていた。
KTは日本経済新聞の取材に「サムスンは基本的に(インフラ整備費を)支払わないと言っているが、LGとは友好的に交渉している」(広報室)とサムスンけん制の思惑をにじませた。8日にスマートテレビの新製品を発表したサムスンは販売で打撃を受けそうだ。
KTは10日のどの時点で遮断を実施するかは明かしていない。スマートテレビのサーバーだけが対象のため、地上波放送の受信やパソコンなど他の機器には影響しない。スマートテレビの所有者で、実際にネット接続しているユーザーは1割程度とみられている。
一方、サムスンは「(韓国当局が発表しているネットの)中立性のガイドラインに背く」と反発のコメントを発表した。韓国政府の放送通信委員会も「利用者の権利が不当に侵害されないよう可能な限りの措置を講じる」としている。今後はSKブロードバンドやLGユープラスなど他の通信大手がKTに追随するかが焦点になる。