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ユーロ・アニメの傑作『イリュージョニスト』、ジブリ提供で日本公開決定

 フランスのアニメーション作家シルヴァン・ショメ監督の新作アニメ『イリュージョニスト』が、三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー提供作品として、来年春に全国公開されることが決まった。ショメ監督は、短編オムニバス映画『パリ、ジュテーム』(2006年、実写作品)にも参加(7区・エッフェル塔を担当)していたが、アニメーション作品では前作『ベルヴィル・ランデブー』(2003年)から7年ぶりの新作となる。

三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー提供作品 『イリュージョニスト』(C)2010 Django Films Illusionist Ltd / Cine  B / France 3 Cinema tout droits reserves 

三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー提供作品 『イリュージョニスト』(C)2010 Django Films Illusionist Ltd / Cine B / France 3 Cinema tout droits reserves 

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 同作は、1982年11月5日に75歳で亡くなったフランス“喜劇”映画の巨匠ジャック・タチ監督が、娘へ遺したとされる幻の脚本を初めて映像化したもの。タチ監督が1956〜59年に執筆したその脚本は「FILM TATI No4」と名付けられ、半世紀にわたってCNC(フランス国立映画センター)に保管されていた。その脚本を手に入れたショメ監督は、「初めて脚本を読んだのは2003年、『ベルヴィル〜』のワールドプレミアが開催されたカンヌ映画祭へ向かう電車の中だった。とても美しく、想像以上に感動的だった。『ベルヴィル〜』が複雑な話をシンプルに語っているとしたら、こちらは逆で、ごくシンプルに見えるが極めて深い。それは普通、アニメーション作品としては目にしないようなものだった」と語っている。

 物語は、ロック音楽やテレビが世界を席巻する1950年代のパリ(フランス)、そしてエジンバラ(スコットランド)を舞台に展開される。昔ながらのマジックを披露する初老の手品師・タチシェフはかつての人気をすっかり失い、場末のバーでドサ回りの日々。ある日、スコットランドの離島に流れ着いた彼は、電気が開通したばかりの片田舎のバーで、貧しい少女アリスと出会う。手品師のことを何でも願いを叶えてくれる“魔法使い”と信じるアリス。彼女に生き別れた娘の面影を探すタチシェフ。2人は言葉が通じないながらも、エジンバラの片隅で一緒に暮らし始めるが…。

 ショメ監督はもともとタチ監督やチャールズ・チャップリン、バスター・キートンらの“喜劇”やマイムに影響を受けてきたそうで、今回の新作も人間的な温かさをたたえたユーモアや哀愁に満ちた作品に仕上がっているという。ショメ監督が日本での公開決定に寄せたコメントにも「アニメーションが成し得る限界を押し広げた。そして、自分自身の限界も。僕は登場人物たちに魅了され、もう何度も観ているのに、ラストでは今でも感動し涙が出てくる。自分に委ねられたジャック・タチという植物にきちんと水をやり、それが愛すべき新たな人格へと育ったんだ。これ以上に、一体何を望むことが出来るだろう」と自信に満ち溢れていた。

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