ボーズ、新型イヤフォン「IE2 Audio headphones」を発売

-新形状型イヤーチップ。新ヘッドフォン「AE2」も登場


IE2 Audio headphones。新デザインのシリコンイヤーピースを採用する

 ボーズは、イヤフォン新製品として「IE2 Audio headphones」を9月25日に発売する。価格は12,600円。本日より予約販売を開始する。

 さらに、同イヤフォンをベースに、アップル製品専用として開発され、iPhone/iPodなどの操作が可能なマイク付リモコン搭載ヘッドセット「MIE2i mobile headset」も10月30日に発売する。価格は15,750円。

 加えて、アラウンドイヤーヘッドフォンの新モデル「AE2 Audio headphones」も発売する。10月30日発売で、価格は18,900円。これらの製品は直営店や直販サイトに加え、一般の店舗でも販売される。

 ボーズは2006年に、同社初のイヤフォンとして「in-ear headphone」(15,540円)を発売。独自形状のイヤーピースを採用した個性的なモデルとして展開。さらに2009年には、ケーブル途中にマイクやコントローラーを追加した「mobile in-ear headset」(15,330円)も投入している。これら従来モデルは販売終了となり、「IE2 Audio headphones」と「MIE2i mobile headset」に切り替わる。




■ IE2 Audio headphones

装着したところ。耳の上部のくぼみにウイングをフィットさせてる事で、ホールド性を高めている

 「IE2 Audio headphones」の特徴は、従来の「in-ear headphone」とも異なる、ウイングを供えたシリコン製の新形状イヤーピース「StayHear」を採用すること。ウイング部分を耳甲介艇にフィットさせることで、ホールド性や装着安定性を向上。「エクササイズなど、アクティブなシーンでも耳の中に確実におさまる」(ボーズ)という。StayHearはS/M/Lの3サイズを同梱する。

裏側から見たところ横から見たところ
従来モデル(左)との比較。イヤーピースの形状は変わっているが、イヤフォン本体のサイズは大きく変わらない

 従来モデルと同様に、内蔵ユニットの口径など、詳しいスペックは公開されていないが「ユニット自体は従来モデルから大きな違いはない」(ボーズ)という。しかし、ハウジングは大きく改良されており、裏面に用意されたポートが、従来は小さな穴だったが、IE2では大型化。中低域の量感や音圧のアップに寄与しているという。

 これと関連し、初代モデルでステレオミニのプラグの付け根に搭載していたパッシブイコライザも無くなっている。従来はイヤフォンに最適化したサウンドにイコライジングしてから、イヤフォン部に音を送る構造になっていたが、新モデルではイヤフォン側の構造を工夫することで対応しており、イコライザが無くなる事での音質向上も期待できるものとなっている。

新モデルのイヤーピースを外したところ。裏側に大きなポートが新設されているのがわかる
初代モデルの前面と背面。背面に穴が無いように見えるが、「L」の文字の左に、小さな穴が空いているのがわかる入力部。初代モデル(写真下)は入力プラグの付け根パッシブイコライザがある。新モデルでは無くなり、スッキリしたプラグになっている

 ケーブルの長さは115cm。柔らかな素材で、黒と白のツートンカラーになっている。

 iPod/iPhone/iPad用のヘッドセット「MIE2i mobile headset」は、前述の「IE2 Audio headphones」のケーブル途中に、マイク内蔵リモコンを備えたもの。音量調節、再生/一時停止/スキップなどの操作ができるほか、ハンズフリー通話、着信応答や終話の操作も可能。MacBook proなどもコントロールでき、「ボーズとして初のApple製品専用設計になる」という。いずれのモデルにも、キャリングケースとクリップが付属する。


ケーブルは黒と白のツートンカラーヘッドセットモデルでは、ケーブル途中にマイク付きリモコンが追加される
使用イメージ


■ AE2 Audio headphones

AE2 Audio headphones。ハウジングを平らに折りたためる

 「AE2 Audio headphones」は、既発売「around-ear headphones」(20,790円)の後継となる、オーバーヘッドタイプのヘッドフォン。世界に先駆けて日本で初公開された。

 さらなる高音質化を追求しつつ、装着性も改良。新開発の低反発素材を使ったイヤーパッドを採用し、密着性を維持しながら圧迫感を低減。また、人間工学をベースに、緻密な計算のもと決められたというイヤーカップの取り付け角度により、クランプ圧の最小化を実現。長時間の装着でも負担が少ないという。

 また、利便性も向上。ケーブルは従来の両出しから、片出しに変更された。長さは169cmで、着脱も可能。なお、リモコン/マイクは備えていない。また、ハウジングは平らに折りたためるようになっており、可搬性も向上している。ユニットのサイズなど、詳細な仕様は公開されていない。


AE2 Audio headphonesハウジング部分。手にすると非常に軽量なことがわかるケーブルが片出しになった
ケーブルの着脱も可能新開発の低反発素材を使ったイヤーパッドを採用しているパッケージ


■ ファーストインプレッション

試聴の様子

 発表会場で短時間ではあるが、試聴することができた。再生には第6世代iPod nano + ALO AudioのDockケーブル + ポータブルヘッドフォンアンプiBasso Audio「D2+ Hj Boa」を使っている。

 「IE2」は、音を出す前に従来モデルとの違いがわかる。遮音性が大きくアップし、周囲の騒音をより低減している。また、ホールド性も大幅に向上し、ケーブルを引っ張ったり、頭を振ったりしても外れる気配が無い。さらに、イヤーピースとイヤフォン本体のホールド性もアップ。従来はイヤフォンを外すとイヤーピースまで外れ、ピースが耳に残る事もあったが、「IE2」ではイヤフォンがピースを抑える突起の角度が工夫されたようだ。

 従来モデルの音質は、音を色付け無く出力するモニター系とは異なり、音場の密度や広がり、音楽のダイナミックさなどを重視した、“ドラマチックなサウンド”という印象だった。「IE2」でも傾向としてはこれを踏襲しているが、音の鮮度やクリアさが向上。細かい音がより聴きとりやすくなり、特に中高域の抜けの良さが向上している。


AE2 Audio headphonesの装着イメージ
 また、中域の張り出しや音圧もアップしており、従来モデルを正常進化させつつ、解像感やクリアさの面でも1歩進化したサウンドになっているようだ。この解像感やクリアさは、イヤーピースの改良で耳との密着度がアップし、遮音性が向上した事で、より細かな音まで聴き取れるようになった事も寄与しているだろう。

 「AE2 Audio headphones」はニュートラルなバランスで、密閉型ながら“こもり”や“閉塞感”が少なく、クリアでさわやかなサウンド。どちらかと言うと、わずかに高域寄りのバランスで、全域に渡って楽器の動きや細かな音がよく聴き取れる、モニターライクなサウンドだ。しかし、最低域の量感や沈み込みは確保しており、音楽が痩せるような事は無い。どちらかと言うと個性のある音作りのイヤフォンに対し、ヘッドフォンは幅広い人に勧められるニュートラルサウンドになっている。




■ 「耳に未知なる驚きを。」

 マーケティングディレクターの伊東奈津子氏は、同社のこれまでの製品の革新性を紹介しながら、今回の新モデルを「耳に未知なる驚きを。」というキャッチフレーズと共に発表。「これまでにないオーディオパフォーマンスを実現した製品。それでいて、構えて音楽を楽しむのではなく、カジュアルに、気軽に音楽を楽しむスタイルにピッタリと合うモデル」と、特徴を紹介した。

マーケティングディレクターの伊東奈津子氏今後のヘッドフォン/イヤフォンラインナップ発表会の参加者には、StayHearを模したクッキーがお土産として用意された

「IE2」のホールド性能の高さをアピールするため、装着したままダンスをしたり、ケーブルに重り(60g×2個)をぶら下げるなどのデモが行なわれた利用シーンやスタイルも合わせてアピール

(2010年 9月 15日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]