求めるのは「世界を変える人」--起業家向けオフィス「Venture Generation」

岩本有平 (編集部)2012年03月09日 12時02分

 インキュベーション事業を手がけるジェイ・シードは、国内スタートアップや日本進出を希望する海外企業を入居対象にした東京・八重洲のインキュベーションオフィス「Venture Generation」を3月30日にオープンする。

 Venture Generationは東京駅や有楽町駅、銀座一丁目駅などの駅へアクセス可能な位置にあり、座席数は30席。デスクやキャビネットなどのオフィス家具や3つの会議室、電源や無線LAN環境などを用意。オープン席であれば月額3万円、固定席であれば月額4万円で提供する。動きの速いスタートアップに対応するため、1カ月前の事前連絡で退去できる。スタートアップを支援する士業やスペシャリストの入居も応相談となっている。

 ジェイ・シード代表取締役兼CEOのC.ジェフリー・チャー氏は米国で弁護士としてNetscapeの上場などを担当。その後金融業界などを経て2000年に同社を設立し、これまで多くのインターネットサービスを立ち上げ、エグジットしてきた人物。Venture Generation設立について、「“インキュベーション”という言葉が適切かどうかは別にして、2000年に(米国から)日本に戻ってジェイ・シードを始める前から、『まずやろう』と思っていたことだった」と語る。


ジェイ・シード代表取締役兼CEOのC.ジェフリー・チャー氏

 ジェイ・シードを設立した2000年当時、チャー氏は東京・新宿に同様のオフィスを立ち上げたが、サービス立ち上げまでのハードルも高かった当時、「これぞ」と思う起業家に出会えなかったのだという。そこで起業家と組んで自社内で共同創業する、といった手法のインキュベーション事業に切り替えたのだそうだ。

 そしてSozonやソリスといった企業のインキュベーションを手がけ、「12年間やってきたうちに、国内でさまざまなネットワークができてきた。また、日本にもスタートアップとベンチャーキャピタルのコミュニティができてきた」(チャー氏)とのことで、今回のVenture Generation開設に至ったという。

 Venture Generationへの入居条件は面談が必須となる。「スケールできそうなベンチャーを求めている。もともと大きいことをやろうとしている人が好き。1年後でも5年後でも1人でやっているという訳ではなく、サービスで世界を変える、豊かにするという思いの人を優先したい」(チャー氏)。すでに3社の入居が決まっているという。

 入居者に対してジェイ・シードが投資をするかについては「ケースバイケース」(同氏)とのこと。Venture Generationでは、チャー氏をはじめとしたジェイ・シードのスタッフ、起業家や投資家、企業のマネジメント、マーケティングや会計、法律などの専門家との交流の場を持ち、勉強会なども開催する。「我々の人脈と時間は提供していく。この中で仲間を見つけてもらう機会も用意する。ただ、Y Combinatorや500 startupsのようなコミュニティを用意するのではなく、アーリーステージの人たちに、必要なコネクションを提供していくイメージ」(チャー氏)

 学生インターンについても積極的に採用する。「『いい大学に入り、いい会社に入る』というのはもはや神話に過ぎない。危険であってもベンチャーで自分の腕を磨き上げる方が社会人として競争力をつけられる。今3つの大学で定期的に講義をしているが、ここで修行して、その先に起業という道もあるということを体験してもらいたい」(チャー氏)

 日本進出を狙う海外の企業家についても誘致していくという。「国内の企業家と海外の企業家が同じフロアでいれば、いい意味で影響される。海外から日本に入るためにもいろいろな壁があるが、ここではお互いがお互いの話も聞けるメリットがある」(チャー氏)

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