【6月15日 AFP】星間空間の生物学研究に重要な意味を持つ有機分子がこのほど発見されたと専門家らが14日、発表した。発見は、ある「長年の謎」を解く鍵となる可能性を秘めているという。

 人間と同様に、宇宙を構成する有機分子にも、キラリティー(掌性)として知られる「右利き」や「左利き」といった性質がある。地球上の分子の多くは「左利き」だが、その理由は不明となっている。

 このほど発見された星間分子は、太陽系外で発見されたものとしては最も複雑で、星間空間で発見された初のキラル分子だ。

 米国立電波天文台(NRAO)は声明を発表し、酸化プロピレン分子が「銀河系中央付近のちりとガスの巨大な星形成領域の中で」見つかったと述べた。

 科学者らは超高感度の電波望遠鏡を用いてこれを捉えた。この発見は、米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)で開かれた米国天文学会(AAS)の会議で発表され、米科学誌サイエンス(Science)に論文が掲載された。

 分子におけるキラリティーの起源は謎に包まれたままだが、科学者らは今回の発見を通じて太陽系の基礎的構成要素を解明し、最終的な謎解きに期待を寄せる。

 研究者らはこれまでに、電波望遠鏡で探知可能な特徴的な振動を有する180以上の分子を宇宙空間で発見している。

 宇宙で発見された酸化プロピレン分子のキラリティーについて理解が深まれば、地球上のキラル分子をめぐる謎の解明にもつながるかもしれない。(c)AFP