情報収集のためにメルマガやブログのRSSフィードを次々と購読したはいいが、最近では全く読まなくなってしまった――筆者のみならず、こんな悩みをお持ちの方は多いのではないだろうか。

 情報収集のコツは、いかに少ない情報源から有益なものだけをピンポイントでピックアップできるかという点に尽きる。だがこれがなかなか難しい。

あなたに最適化したニュースをメールでお届け!<br />未来の新聞を予感させる「Gunosy(グノシー)」に注目!一日一回、ユーザーの興味関心に即したニュースをメールで届けてくれる「Gunosy」。今後は、英語ソースのニュースなども情報源に加えていく予定だ。

 そんな人にお勧めなのが「Gunosy(グノシー)」である。Twitterのつぶやき、Facebookの「いいね!」、はてなブックマークのリストなどのアクティビティからユーザーの興味関心を分析し、その興味にあったニュースや記事を推薦してくれるサービスだ。

 以前小欄で紹介した「Board」も、ユーザーの興味関心を分析して、似たようなつぶやきやユーザーを勧めてくれるサービスであった。Gunosyも同様に感じられるかもしれないが、その最大の特徴は“シンプルさ”にこだわっている点だろう。

 Gunosyの場合、その目的はあくまで“効率的で的確な情報収集”になる。ユーザーはログイン後、Facebook、Twitter、はてなアカウントとGunosyを連携させるだけでよい。あとは自動的に解析がスタートし、一日一回、ユーザーの嗜好に適った情報がメールで配信される(ウェブサイトからも閲覧可能)。情報源は、ニュースサイトやブログなどで、配信時間やニュースの本数は任意で指定することができる。ユーザーは、毎日届くメールを確認するだけで、自分の関心に近いニュースに素早くアクセスできる仕組みだ。

「アプリを起ち上げたり、Webサイトにいくという行動は、それ自体が面倒なものです。TwitterやFacebookを見にいく、特定の人物をフォローする、ブログのRSSを登録する。どれも行動コストが高く、特殊なテクニックを必要とします。しかし、メールならば誰もが毎日自然とチェックしにいきます。その中にGunosyが溶け込むことで、余計なストレスを感じることのない情報収集が可能となります」(Gunosy Project Team 福島良典氏)

 さらに「Gunosy」は、“使うほど賢くなる”という特性を持っている。ユーザーがどの記事を見ているかを学習し、その都度アルゴリズムを改善していくのである。つまり「Gunosy」は使えば使うほど、ユーザーにとってより最適な記事を推薦するようになるのだ。

 そこには、開発者である東京大学大学院生チームの“研究と実践の溝を埋めたい”という強い思いが込められている。

「もともと我々は、大学院でデータマイニングの研究をしていました。ですが、研究で良いと考えられているアルゴリズムを実際に試してみると、ユーザーの反応が良くないということが多々あります。研究で良いと考えられている基準と、ユーザーの満足度との間に乖離があるのです。Gunosyというサービスを通じて、研究の成果は実際に世の中の役に立つし、また、そこから得られたフィードバックを基に、さらに良い研究ができるようになるということを身をもって示したいと考えています」(同氏)

 目下の課題は、アルゴリズムの精度を上げ、より「多様性」と「意外性」のある情報をユーザーに届けられるようにすることだ。ソーシャルサービスを基盤としたキュレーションサービスからの情報は、往々にして既知のものであったり、情報に偏りが出てしまうことが多い。Gunosyが挑戦するのは、そこからさらに踏み込んで、大きな情報の陰に隠れつつも、その人が欲するであろう情報を拾い上げて提案することだ。

 朝起きたらGunosyをチェックする。ユーザーに最適化された情報を届けてくれるGunosyは、未来の新聞の雛形を私たちに見せてくれているのかもしれない。

(中島 駆/5時から作家塾(R)