久々にうれしいビッグニュースです。
60-70年代に数回にわたり『現代詩手帖』に連載され、多くの読者を惹きつけた「垂翅の客 李長吉伝」が本になります。ちょっと早いですが、お知らせ。
出版社は、『中国文化大革命の大宣伝』を出して下さった芸術新聞社です。
李賀(字は長吉。791-817)は、独特の幻想怪奇な映像的詩で知られる唐の詩人。
幼少の頃から才能は際立っていたものの科挙の試験を受けることができず、27歳で失意のうちに亡くなります。
「長安に男児あり 二十にして心巳に朽ちたり」(陳商に贈る)の詩句は、どこかで目にされたことがあるかもしれません。
草森紳一が一瞬にして李賀の虜になるのは、慶應大学中国文学科二年の奥野信太郎氏の授業のとき。
卒論には500枚を越える李賀論を書き、卒業後、27歳までに李賀伝を完成させたいと連載をスタートさせましたが、出版社の都合で休載。
70歳で亡くなるまで李賀は一生のテーマとなったのでした。
余談ですが、60年代後半から70年代は、学生運動の挫折の季節と重なります。
ポール・ニザンの「ぼくは20歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」(『アデン・アラビア』)という言葉も
当時の若者たちの心を撃ちました。
1965年から『現代詩手帖』でスタートした草森紳一の李賀「垂翅の客」が、当時どのように読まれたのか、そして2013年にどう読まれるのか。
とても興味深いものがあります。
遺品の中に『現代詩手帖』から切り抜いた「垂翅の客」を合本したものが、きちんと残されていました。
このブログでの李賀関連は
2011年6月12日
荒井健先生による追悼文が『飈風』(ひょうふう)で。続々…と続きます!