「放課後ティータイムII」を聴いた。その8

前回レビューの続き。

いつも熱のこもったけいおん!記事を書いているたまごまごごはんさんの、この一文にちょっとハッとさせられた。

実は軽音部メンツの中で、練習時間が一番長かったのは唯の可能性もあります。

澪、ムギ、梓と違って勉強はしない、律と違って家事は憂にまかせていたから時間はたっぷりある。他の4人よりも楽器を始めるのが遅かったせいもあるだろう、時間をぜんぶギターに注いだのが唯。そのギタリスト平沢唯の成長と、同じギタリスト中野梓との関係がよくわかるのがこの曲。

「わたしの恋はホッチキス」

  • 2期での「ホッチキス」といえば、印象的な1話アバンタイトルのアレ。あの時に唯が弾いていた、16ビートのコードカッティングをCassetteMixで弾いているのは梓だ。
  • 1話アバンタイトルは新歓ライブの練習だったので、ライブ本番でイントロのリードを弾いたのは梓のはず。1年前の新歓ライブで心を奪われた「ホッチキス」のリードを、梓が弾いたと考えると感慨深い。音源化希望。
  • 今回CassetteMixでのリードは唯。つまり、唯と梓はお互いのパートを取り替えて弾くことが少なからずあるということ。1期12話で唯が遅れたとき、「ふでペン」のリードを梓が弾けたのも同じ理由だ。
  • ここからは完全に想像。16ビートのコードカッティングってHTTでは梓のトレードマークのようなものだから、唯は梓のフレーズを弾きたかったんじゃないか?
  • このイントロのリード、メロディは前アルバムと同じだがニュアンスはかなり異なる。前は全てテヌート(音を伸ばす)、今作はスタッカート気味な部分が入ってより表情が豊かになった。唯の表現力の向上…でもいいけど、いったん梓に預けたフレーズが唯に戻ってきてこうなった、と見たいと思う。
  • 画面だけだと「あーずーにゃーん」「やめてくださいよ先輩!」の関係に見えてしまうけれど、二人のギタリストとしての関係は深く強いものとして描かれていることがわかる。
  • 間奏部分のギターアルペジオがなくなったのは、きっとムギのピアノを引き立てるためだろう。ここのピアノは「U&I」の大サビに通じる部分。
  • この曲の律は、ドラムインテリジェンスのかたまりというか、多彩で確実なプレイだなあ。かなり細かくアレンジがいじられているので心配したけれど、自分が好きな間奏で一発だけ入るリムショットは残っていた。よかった。
  • まさに「しらないうちに あつくなって」*1を体現したような曲であり、演奏だった。

さて、レビューは残り1曲。

*1:放課後ティータイム・作詞:稲葉エミ『私の恋はホッチキス』ポニーキャニオン 2010年 より引用