「すでにこの1年間、副大臣として国土交通行政に取り組んできた。改革の継続を前面に打ち出して、さらなるスピードアップ、そして手がけてきた様々な政策の整理、体系の構築にしっかり取り組ませていただきたい」――。馬淵澄夫国土交通相は、9月17日深夜から18日未明にかけて行われた国交省での就任会見で、前原誠司前国交相が進めてきた路線を継続する姿勢を強調した。

馬淵澄夫国土交通相は、首相官邸での会見に引き続き、国交省での就任会見に臨んだ(写真:日経コンストラクション)
馬淵澄夫国土交通相は、首相官邸での会見に引き続き、国交省での就任会見に臨んだ(写真:日経コンストラクション)

 「前原前大臣のリーダーシップの下に、政務三役が一丸となって取り組んだ成果が、公共事業の削減。事業評価の検証、事業評価の方法の見直し、恣意的な裁量行政を減らし、無駄を削減するといった取り組みは、一歩一歩着実に成果を上げている。現在も進行中だが、公益法人改革、成長戦略分野への選択と集中的な資源の投入、今後こうした取り組みについては、何ら方向性は変わらない」(馬淵国交相)

 馬淵国交相は会見で、一括交付金の創設への協力、公共交通を含めた総合交通体系の確立、高速道路無料化に向けた社会実験の実施、大型公共事業の見直し、観光立国の実現、新成長戦略の推進など、菅直人首相から9項目の指示を受けたことを明らかにした。

 副大臣から昇格した馬淵国交相は、前原前国交相がぶち上げたまま未解決となっている課題に取り組むことになる。菅首相が改造内閣を「有言実行内閣」と名付けたことについて、「具体的に果実が見える形で提示したい。今、これをやりますと明確に示すよりも、継続の中でしっかりと提示していく。これが私なりの進め方だと思っている」と語り、次のように続けた。

 「例えば、経済が厳しい中で、公共事業をやらなければいけないという意見がある。公共事業は景気対策として長年、自民党政権時代に取り組まれてきた。一方で、地域への再配分の機能を果たしてきた。しかし、本来であれば社会資本整備は、景気対策、地域の再配分よりも、むしろネットワークの構築を急ぐべきではなかったか。こういった整理が必要だ。まずは、整理を行った上で、具体的に国民に見える成果を提示していく。これが私に課せられた使命だ。有言の『言』の部分を、これから実行する中で発していきたい」