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日本はBlu-ray Disc大国、2014年にDVDを逆転? ブルーレイ拡大会議

» 2013年02月15日 19時48分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 DEGジャパンが2月15日に開催した「ブルーレイ拡大会議」では、セルパッケージのDVD/BDの構成比で日本が世界一になったことが明らかにされた。DEG(Digital Entertainment Group)ジャパンは、映像ソフトメーカーや機器メーカー42社が加盟するデジタルコンテンツの普及促進団体。「ブルーレイ拡大会議」は、加盟社や販売店向けにBlu-ray Discのプロモーション戦略を説明するもので、昨年に続き2回目の開催となる。

DEGジャパンの福田太一副会長(左)。2012年のDVD/BD構成比(右)

 DEGジャパンでBD部会長を務める福田太一氏(ワーナー エンターテイメント ジャパン)は、まず2012年のDVD/BDセル市場が前年比−5.3%となる2174億円だったと報告。過去数年にわたって縮小傾向が続いているものの、BDに関しては金額シェアで31.6%(686億円)にまで成長した。一方のDVDは前年比−12.9%となる68.4%(1488億円)だった。

 まだDVDにダブルスコアをつけられているBDだが、世界を見ると日本はBDへの移行がもっとも進んでいる。「BD構成比は、昨年はカナダが29.7%で一位だったが、今年は日本が31.6%と超えた。日本はレンタル市場が強いことも考えれば、この数字は日本は“パッケージ大国”といえる」。


 2012年の販売状況を見ると、コンテンツはジャンルごとに明暗が分かれた格好だった。例えば音楽ビデオは前年比13.7%増と大きく伸張した一方、映画は不調。洋画は−19%、邦画も−24.6%と大きく下げた。この点について福田氏は、「映画の売れ行きは、前年の興行成績に大きく左右される。2011年は、震災の影響で興業が厳しかった」。

 ただし、2012年の興業成績は前年比107.7%と回復傾向にあり、とくに下半期だけを見ると112.1%と伸張した。「アニメ映画などの好調さもあわせ、2013年は下げ止まり傾向になるのではないか」。そのほかのジャンルでは、竹島問題などの影響もあり、韓国テレビドラマも前年比−29.6%と大きくシェアを落としている。

ジャンル別の実績(左)。BD比率の今後の見込み(右)

 2013年のBD市場については、引き続き音楽ビデオが牽引すると予想する。「音楽ジャンルは、BDの比率が16.7%とまだ低い。成長の余地と需要増を考えると、2013年も継続して成長していくだろう」。この傾向が続けば、DVD/BDセル市場の縮小傾向は2013年に底を打つという。ただし、昨年の拡大会議で掲げた「2013年にDVDを逆転する」という目標については、現状を考慮して2014年に後ろ倒ししている。「BD構成比の拡大こそがDVD/BDセル市場の成長を実現するドライバー。音楽セグメントのBD化がそれを牽引する」。

 今後はBD構成比を高めるため、従来なら新作映画のセル商品が中心だったプロモーションを、旧作を含めた『BDセルカタログ』、あるいは『BDレンタル』まで活動を拡大し、リテーラーも巻き込んだ企画を実行する予定。具体的には、CDV-J(日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合)とのジョイント企画としてCDV-J主催のショップコンテストに協賛するほか、販売店店頭への3D体験モニター設置、BDの特長を生かした作品を表彰するDEGアワードと連動した店頭プロモーションなどを予定している。また、映画好きで知られる俳優の竹中直人さんをBD普及の“アンバサダー”に起用。店頭POPなどを通じて30〜50代ユーザーにアプローチする。

プロモーション施策

 会議後に行われたトークセッションでは、竹中さんとAV評論家の麻倉怜士氏が登場。自宅に100インチのスクリーンと数千枚のBDを所有しているという竹中さんは、「本当にキレイで驚いている。大好きなブレードランナーは、以前はVHSで満足していたのに、LD、DVD、BDときて、もっともっとキレイになった。以前は見えなかった“壁に書かれた日本語の落書き”まで見えて感動した」などとBDの魅力を熱く語った。

「でも、ぼくの作った映画はなかなかブルーレイにならない」(竹中さん)

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